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反省しても手遅れです
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フェリシアはお前らの思い通りに動く人形じゃないんだよっ!
意思も感情もある人間なんだよ、感情あるから人間なんだよ!
「そもそも王族だからとか婚約者だからとか以前に、人として間違ってますわ。王太子専用サロンで子爵令嬢と二人の世界を繰り広げるのを目の前で見せつけられる事ほど不快かつ無意味な時間を私は知りませんわ、詫びる気があるなら返して頂きたいです、あの無為な時間を。一応お聞きしますが殿下、目の前で同じ事をされたら殿下はどう思われますか?」
「っ!」
にっこり笑うフェリシアに対し、リカルドは罰が悪そうに口を噤む。
が、これは既に学内では有名な出来事だーー例え公爵達が知らなくても、私の知った事ではない。
「君は、そんな愚かな真似はしないだろう」
「あら、愚かな真似という自覚はあるのですね」
「フェリシア!殿下になんてことを」
上の兄が割って入るが、
「良いのだ!__私が悪い。嫌な、気分になるだろうな、そんなことをされたら」
「おわかりいただけて嬉しいですわ__殿下に限らず、ですが。皆さま子供の頃『人の嫌がることはしてはいけない』と教わりませんでしたか?」
!!!!!
フェリシアの言葉に、皆が息を呑んだ。
それは、思ってはいても誰もが相手の身分を慮って口にすることが出来なかった、我が身可愛さに諫言することが出来なかった言葉だからだ。
それは、フェリシア自身もう己の身などかえりみていないということ。
この後処罰を受けようと、婚約破棄も辞さない覚悟でこの場に臨んでいることがわかったからだ___誤解だが。
単に紫亜は許せなかっただけだ、彼らのフェリシアへのやりようというか、あり方が。あまりにもフェリシアという個人を無視しすぎている。
だが、フェリシアのこの宣言に“政略結婚には良くあること”と静観してた父も、対して大ごとに捉えてなかった兄たちに至ってはショックで倒れそうなほど衝撃を受けた。
妹との仲は悪くなかった、はずだ。
だが、確かに王子が子爵令嬢にうつつをぬかし妹が蔑ろにされている現状に対して何もしてこなかった。
娘が、妹がここまで追い詰められていることに全く気が付かなかった__黙ってしまった公爵家に代わり、
「ついでじゃ、ない…」
声をあげたのは王太子だった。
「フェリシナは可愛いけど、王妃の器じゃない」
器として愛でる気だったんかい、花器かなんかか。
「君と結婚して国をおさめていく傍らで可愛いがろうと思って、癒しが欲しくて」
私には癒しなんて必要ないと思ってんのか、確かに花器ならいらんがな!
「ついでにじゃなく、どれが君に似合うだろうかって、考えて、生地を選んで、作らせた……」
なんでだろう、全然嬉しくない。
「シア、僕が悪かった__お願いだ、捨てないで」
捨てたのはお前だ!お前の行動のせいで本物もうこの世界にいないんだよっ!
「シアが一番好きだよ。君が僕から離れていって、楽しそうに笑うのを見て…、帰って書類の山を見て自分がどれだけシアに助けられていたか思い知らされた」
始めの方はともかく結局終着点はお手伝いかっ!
この、クズ野郎……!
紫亜は心の中で叫ぶ。
「お願いだ、昔みたいにそばにいて」
くっ…、クズなのに顔面偏差値が高すぎて破壊力が凄まじすぎるっ!
キラキラ美形の王子様が捨てないでって泣きそうに縋って来るとかヤバい!
庇護欲そそられるけどっ、でもアンタが求めてるのは私じゃないでしょ?!
__その時、心の奥底で何かが揺らぐのを感じた。
「……?……」
まさか、フェリシアもこの揺らぎを感じてる……?
今、繋がってるの……?
__それなら。
“フェリシア!王子反省したよ!貴女に会いたがってる……!だからお願い___戻ってきて……!”
紫亜は瞳を閉じてそう強く呼びかけた。
意思も感情もある人間なんだよ、感情あるから人間なんだよ!
「そもそも王族だからとか婚約者だからとか以前に、人として間違ってますわ。王太子専用サロンで子爵令嬢と二人の世界を繰り広げるのを目の前で見せつけられる事ほど不快かつ無意味な時間を私は知りませんわ、詫びる気があるなら返して頂きたいです、あの無為な時間を。一応お聞きしますが殿下、目の前で同じ事をされたら殿下はどう思われますか?」
「っ!」
にっこり笑うフェリシアに対し、リカルドは罰が悪そうに口を噤む。
が、これは既に学内では有名な出来事だーー例え公爵達が知らなくても、私の知った事ではない。
「君は、そんな愚かな真似はしないだろう」
「あら、愚かな真似という自覚はあるのですね」
「フェリシア!殿下になんてことを」
上の兄が割って入るが、
「良いのだ!__私が悪い。嫌な、気分になるだろうな、そんなことをされたら」
「おわかりいただけて嬉しいですわ__殿下に限らず、ですが。皆さま子供の頃『人の嫌がることはしてはいけない』と教わりませんでしたか?」
!!!!!
フェリシアの言葉に、皆が息を呑んだ。
それは、思ってはいても誰もが相手の身分を慮って口にすることが出来なかった、我が身可愛さに諫言することが出来なかった言葉だからだ。
それは、フェリシア自身もう己の身などかえりみていないということ。
この後処罰を受けようと、婚約破棄も辞さない覚悟でこの場に臨んでいることがわかったからだ___誤解だが。
単に紫亜は許せなかっただけだ、彼らのフェリシアへのやりようというか、あり方が。あまりにもフェリシアという個人を無視しすぎている。
だが、フェリシアのこの宣言に“政略結婚には良くあること”と静観してた父も、対して大ごとに捉えてなかった兄たちに至ってはショックで倒れそうなほど衝撃を受けた。
妹との仲は悪くなかった、はずだ。
だが、確かに王子が子爵令嬢にうつつをぬかし妹が蔑ろにされている現状に対して何もしてこなかった。
娘が、妹がここまで追い詰められていることに全く気が付かなかった__黙ってしまった公爵家に代わり、
「ついでじゃ、ない…」
声をあげたのは王太子だった。
「フェリシナは可愛いけど、王妃の器じゃない」
器として愛でる気だったんかい、花器かなんかか。
「君と結婚して国をおさめていく傍らで可愛いがろうと思って、癒しが欲しくて」
私には癒しなんて必要ないと思ってんのか、確かに花器ならいらんがな!
「ついでにじゃなく、どれが君に似合うだろうかって、考えて、生地を選んで、作らせた……」
なんでだろう、全然嬉しくない。
「シア、僕が悪かった__お願いだ、捨てないで」
捨てたのはお前だ!お前の行動のせいで本物もうこの世界にいないんだよっ!
「シアが一番好きだよ。君が僕から離れていって、楽しそうに笑うのを見て…、帰って書類の山を見て自分がどれだけシアに助けられていたか思い知らされた」
始めの方はともかく結局終着点はお手伝いかっ!
この、クズ野郎……!
紫亜は心の中で叫ぶ。
「お願いだ、昔みたいにそばにいて」
くっ…、クズなのに顔面偏差値が高すぎて破壊力が凄まじすぎるっ!
キラキラ美形の王子様が捨てないでって泣きそうに縋って来るとかヤバい!
庇護欲そそられるけどっ、でもアンタが求めてるのは私じゃないでしょ?!
__その時、心の奥底で何かが揺らぐのを感じた。
「……?……」
まさか、フェリシアもこの揺らぎを感じてる……?
今、繋がってるの……?
__それなら。
“フェリシア!王子反省したよ!貴女に会いたがってる……!だからお願い___戻ってきて……!”
紫亜は瞳を閉じてそう強く呼びかけた。
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