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ドッキリだと思いました。
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「全くよね」
そう聞こえた気がしたのと同時に暗い画面の中に吸い込まれ、気が付くと真っ暗闇にいた。
「え?……嘘。何ここ……?まさかあのブラックアウトした画面の中?」
「ちょっと違うわ」
思いのほか声が近くから聞こえて息を呑む。
しかも、同じ年くらいの少女の声だ。
「一瞬だけね、あちらとこちらを繋いだの。ここは狭間だから光が届かないのよ」
説明してくれてるようだが、聞いてもさっぱり意味がわからない。
「私ももう、うんざりなの。だから、後はよろしく」
ぽん、と肩を叩かれて前に立ってたらしい少女は私の背後にまわったーーーらしい、急に目の前が光でいっぱいになって今度は視界がホワイトアウトして、その先は、何もわからなくなった。
そうして、気がついたらベッドの上だった。
「あ?」
いつの間に寝てたんだろ……。
ちゃんとベッドに入ったのだから、寝ぼけてたわけじゃないはず……そう思って部屋を見回して「えぇっ?!」今度は悲鳴をあげる。
ここ、私の部屋じゃない。
なんか高そうな家具が並んでるし、やたらだだっ広いし、ペルシャ絨毯みたいなの敷いてあるし。よく見たらベッドに天蓋ついてるし……そうだ、前にテレビで見た外国の古城を泊まれるように改装したシュロスホテルだっけ?あんな感じ。
て事は、もしかしてこれってーーー
「ドッキリ?」
普通は芸能人しかされないものだが今日はハロウィン。
日本のハロウィンは度を超してる。
もしかして“素人女子高生の寝起きドッキリ企画”なんて企画のターゲットに選ばれてしまったのだろうか?
そう思っているとコンコン とドアがノックされ、
「失礼しますお嬢様。先程の悲鳴はーー」
果たしてメイド服が板についたお姉さんが入ってきた。
マイクやプラカードは持っていない。
え このドッキリまだ続くの?
「どうかされましたかお嬢様?ここ一週間誰も近付けずお部屋にこもりきりでいらしてー…お顔の色は良くなられているようですがーー」
いや、確かに一晩中ゲームする気満々だったけど!
一週間はないっしょ。
それにうちにメイドはいない。
てか、コスプレイヤーとメイド喫茶以外にいるのか日本にメイドって。
「お嬢様?具合がよろしいようでしたら今朝は皆で朝食を、と旦那様が仰っていますがーー」
いや誰だよ旦那様って。
いや、それ以前にーー、
「あの、私のことーー名前で呼んでみてもらえるかしら?」
「フェリシアお嬢様……?」
いやいやいやいや。
いくらなんでも雑すぎっしょ。
私の名は紫亜。深堀紫亜。日本のどこにでもいる普通の高校生捕まえて、
「フェリシア」はないでしょ。
ドッキリ仕掛けるにしても本名もじっただけってどうよスタッフの人、雑すぎない?
でもおもしろそうだから引っかかったふりしてみようか?
「行くわ。支度をお願い」
私がちょっとお嬢様ぶっていうと、
「かしこまりました。本日はどれをお召しに?」
とクローゼットの中を示され私は固まる。
中には(どこのブライダルフェアだよ?!)ていうくらいずらっとドレスが並んでいた。
いや、レンタルに決まってる。
〝フェリシアお嬢様”の体は一つなんだからあんなにドレスが必要なわけがない。
て 、
いや、
撮影用の小道具に決まってるじゃない!
ここからだと本物っぽく見えるけど近くで見たら残念に決まってるじゃない?
私は涼しい顔でクローゼットに近付いて直にそれらを手に取ってみる__すごい重厚感。
うわ宝塚の衣装みたい、あ もしかしてレンタルさせてもらったのかな?衣装協力とかで……いやでもあっちはステージ衣装だけあってもっと派手派手しかった気がする、これどっちかっていうとロックハート城のプリンセス体験とかでみるようなドレスをさらに本格的にしたような……?
まさかほんとにこれ全部本物のドレスなの?
なーんて考えながら物色してたら、
「あの、お嬢様そちらは夜会用です。朝食の席には」
「あぁそうね……それじゃ、貴女が選んでくれる?」
そんな区別ただの女子高生につくわけないっての。
そうして着替えさせてもらった私は使用人に案内されて食堂とやらに降りて行った。
ここまでも大概だったけど食堂も広っろ……!
え 何これセットじゃないの?
ここまでの道程といいこの食堂(?)といいセットとは思えない。
“起きたら貴族のお嬢様に?!プロの仕掛人達は果たしてどこまで素人女子高生を騙し通せるか!”
というテロップが脳に浮かんだがこれではいくら気前のいいスポンサーがいたとしても赤字だ。
そんなことを思いながら足を踏み入れた食堂で私は不思議な感覚に陥った。
そして、
「おはようございます、お父様お母様、お兄様」
という言葉が勝手に口をついて出ていた。
向こうも驚く事なく、
「おはようフェリシア」と返してきた。
ーー知らない外国人なのに、私は知ってるらしいーー
映画みたいな朝食を終え、部屋に入って先ほどは見なかった姿見を目にして私は固まった。
鏡には銀色の髪に紫色の瞳の美少女が映っていた。
「えぇー!?」
私は悲鳴をあげて気を失った。
そう聞こえた気がしたのと同時に暗い画面の中に吸い込まれ、気が付くと真っ暗闇にいた。
「え?……嘘。何ここ……?まさかあのブラックアウトした画面の中?」
「ちょっと違うわ」
思いのほか声が近くから聞こえて息を呑む。
しかも、同じ年くらいの少女の声だ。
「一瞬だけね、あちらとこちらを繋いだの。ここは狭間だから光が届かないのよ」
説明してくれてるようだが、聞いてもさっぱり意味がわからない。
「私ももう、うんざりなの。だから、後はよろしく」
ぽん、と肩を叩かれて前に立ってたらしい少女は私の背後にまわったーーーらしい、急に目の前が光でいっぱいになって今度は視界がホワイトアウトして、その先は、何もわからなくなった。
そうして、気がついたらベッドの上だった。
「あ?」
いつの間に寝てたんだろ……。
ちゃんとベッドに入ったのだから、寝ぼけてたわけじゃないはず……そう思って部屋を見回して「えぇっ?!」今度は悲鳴をあげる。
ここ、私の部屋じゃない。
なんか高そうな家具が並んでるし、やたらだだっ広いし、ペルシャ絨毯みたいなの敷いてあるし。よく見たらベッドに天蓋ついてるし……そうだ、前にテレビで見た外国の古城を泊まれるように改装したシュロスホテルだっけ?あんな感じ。
て事は、もしかしてこれってーーー
「ドッキリ?」
普通は芸能人しかされないものだが今日はハロウィン。
日本のハロウィンは度を超してる。
もしかして“素人女子高生の寝起きドッキリ企画”なんて企画のターゲットに選ばれてしまったのだろうか?
そう思っているとコンコン とドアがノックされ、
「失礼しますお嬢様。先程の悲鳴はーー」
果たしてメイド服が板についたお姉さんが入ってきた。
マイクやプラカードは持っていない。
え このドッキリまだ続くの?
「どうかされましたかお嬢様?ここ一週間誰も近付けずお部屋にこもりきりでいらしてー…お顔の色は良くなられているようですがーー」
いや、確かに一晩中ゲームする気満々だったけど!
一週間はないっしょ。
それにうちにメイドはいない。
てか、コスプレイヤーとメイド喫茶以外にいるのか日本にメイドって。
「お嬢様?具合がよろしいようでしたら今朝は皆で朝食を、と旦那様が仰っていますがーー」
いや誰だよ旦那様って。
いや、それ以前にーー、
「あの、私のことーー名前で呼んでみてもらえるかしら?」
「フェリシアお嬢様……?」
いやいやいやいや。
いくらなんでも雑すぎっしょ。
私の名は紫亜。深堀紫亜。日本のどこにでもいる普通の高校生捕まえて、
「フェリシア」はないでしょ。
ドッキリ仕掛けるにしても本名もじっただけってどうよスタッフの人、雑すぎない?
でもおもしろそうだから引っかかったふりしてみようか?
「行くわ。支度をお願い」
私がちょっとお嬢様ぶっていうと、
「かしこまりました。本日はどれをお召しに?」
とクローゼットの中を示され私は固まる。
中には(どこのブライダルフェアだよ?!)ていうくらいずらっとドレスが並んでいた。
いや、レンタルに決まってる。
〝フェリシアお嬢様”の体は一つなんだからあんなにドレスが必要なわけがない。
て 、
いや、
撮影用の小道具に決まってるじゃない!
ここからだと本物っぽく見えるけど近くで見たら残念に決まってるじゃない?
私は涼しい顔でクローゼットに近付いて直にそれらを手に取ってみる__すごい重厚感。
うわ宝塚の衣装みたい、あ もしかしてレンタルさせてもらったのかな?衣装協力とかで……いやでもあっちはステージ衣装だけあってもっと派手派手しかった気がする、これどっちかっていうとロックハート城のプリンセス体験とかでみるようなドレスをさらに本格的にしたような……?
まさかほんとにこれ全部本物のドレスなの?
なーんて考えながら物色してたら、
「あの、お嬢様そちらは夜会用です。朝食の席には」
「あぁそうね……それじゃ、貴女が選んでくれる?」
そんな区別ただの女子高生につくわけないっての。
そうして着替えさせてもらった私は使用人に案内されて食堂とやらに降りて行った。
ここまでも大概だったけど食堂も広っろ……!
え 何これセットじゃないの?
ここまでの道程といいこの食堂(?)といいセットとは思えない。
“起きたら貴族のお嬢様に?!プロの仕掛人達は果たしてどこまで素人女子高生を騙し通せるか!”
というテロップが脳に浮かんだがこれではいくら気前のいいスポンサーがいたとしても赤字だ。
そんなことを思いながら足を踏み入れた食堂で私は不思議な感覚に陥った。
そして、
「おはようございます、お父様お母様、お兄様」
という言葉が勝手に口をついて出ていた。
向こうも驚く事なく、
「おはようフェリシア」と返してきた。
ーー知らない外国人なのに、私は知ってるらしいーー
映画みたいな朝食を終え、部屋に入って先ほどは見なかった姿見を目にして私は固まった。
鏡には銀色の髪に紫色の瞳の美少女が映っていた。
「えぇー!?」
私は悲鳴をあげて気を失った。
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