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「カリムからもエドワードからも聞いてはいたけど、本っ当、聞きしに勝るひどさだよねぇ。こんなんでよく国保ってたね?まあほとんどカリムが政務代行してたからだろうけど」
呆れ笑い、と表するしかない口調でジークリードが言い、
「……面目ない」
とカリム王子が俯く。
「子供は親を選べないから気にしなくていいよ?君がいいヤツだって僕は知ってるし」

(ジークリード殿下って随分砕けたかたなんだな……)
しかも、今の口調からするとエドワードとも親しいらしい。
騎士団のトップで王城に執務室があるのだから、当然といえば当然なのだが。

「ふむ。それで、待ってほしいとはどういうことだ?其方が次の王になるということか?」
「いえ。解体してくださって問題ないのですが、即時でなくもう少し時間が欲しいのです。父を旗頭に不正を行なってきた貴族はアデリアと結託していた者たちだけではありません。アデリアに後始末を押し付けるようで申し訳ありませんが、私はそいつらも一緒に潰していただきたい。全ての証拠を揃えるまでもう少し猶予をいただきたいのです。それさえ済めば、私は喜んで平民に降りましょう」
そう言って深く頭を下げるカリム王子はとても立派な為政者らしい風格がある。

(同じ兄弟でなんでこんなに差があるんだろ?)
そう心中でごちたアルスリーアの声が聞こえたわけではないだろうが、
「君の母君の実家は公爵家なんだからそこに戻ればいいだろ?」
とジークリードがあっさり言い、場に妙な沈黙が落ちた。

(レベッカ王女の母親の王妃はこの国の男爵令嬢だったって言ってたよね?もしかして__)
「ミレスナの国王は、クロイツ学園に留学してきた時、既に結婚されていたんだ。既にカリム殿下も生まれていた。前国王の崩御で若くして王位を継いだものの“見聞を広めたい“と強く望まれて一年間という期限付きでクロイツ学園に特別留学生として来ていたんだそうだ。それが国王陛下が最上級生にあがる時、王妃殿下は既にスキップで卒業されていて学園にはもういらっしゃらなかった。元々陛下より年上で既に即位もしている方にとって学園の勉強は然程さほど難しくはない。もうすぐ王位につかれることが決まっていた当時の陛下からしたら既に即位している上に闊達で弁舌達者なミレスナ王は尊敬に値する人物と映ったらしく、兄のように慕ってたんだそうだ」
横にいたエドワードが絶妙なタイミングで説明してくれる。

(あゝ言われてみれば国王陛下は確かまだ三十八なのに、ミレスナ王ってどうみても……そういえばさっき王妃様が“孫がいてもおかしくない“とか言ってたっけ)
アデリアの国王夫妻の第一王子がもうすぐ二十というところなのに、ミレスナは二十三の王女が一番下というのは、計算が合わない。
(そもそも子供が出来てから留学??)

なんだそれ。







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