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王妃のお茶会って飛び入りで参加できるもんだっけ?
「王宮にいきなりやってきて挨拶もそこそこに“エドワード様とその夫人にお会いしたい“なんておっしゃるのですもの、私も驚いたわ」
いや、出来ないよね?しかもこれ怒ってるよね?
「わ私、エドワード様に勝利のお祝いを言いたくて!エドワード様達は帰りは我が国にお寄りになる事なく凱旋してしまわれたから……」
「夫人が待ってるのですもの、速やかに帰国するのは当然。祝いを述べたければ使者を送れば済む話でしょう?」
「直にお祝い申し上げたかったのですわ!」
小国の姫がいきなり大国の王妃を訪ねてこれって度胸あるな。
……いや、単に無神経で図々しいだけか?
「そ それに此度の戦では我が国も__ひっ!」
王妃の絶対零度の視線を受けてレベッカ王女が黙る。
あ“ーやっぱり。
ミレスナ王国は“自分たちが味方したからこの国の勝利に貢献した“とでも思ってるみたいだが違う。
ミレスナは単なる通過ポイントに過ぎないから、エドワード達にはどっちでも良かったはずだ。
入国を拒否されれば多少強引に通ったりついでにあれこれ徴用したかもしれないが、黙認されれば黙って通過したろうし、「味方するのでゆっくりしてってくれ」と言われれば野営せずに兵力も備蓄も温存できるが敵が蝙蝠または罠を張っている可能性を考慮して用心しつつ申し出を受けたのだと思う。
その証拠に、
「用もないのに忙しいフェンティ伯を呼び出す訳にはいかないし、そんなお願いをきくような仲でもないから“これから茶会があるので“って遠回しにお断りしたら“ならぜひ自分も参加したい“っておっしゃるものだから私困ってしまって。今日は気のおけない友人数人とだけ気軽に語り合うつもりでしたのに__ねぇ?」
王妃の口調はおっとりとしているが明らかな非難が込められている。
レベッカ王女はばつが悪そうな顔をしてはいるが、とり乱して平伏したりはしない。
王族としては間違っていないのだが、この王妃とレベッカ王女とでは公爵と子爵くらい差がある__残念ながら、平伏するくらいでちょうどいい。
王妃が横にいる公爵夫人たちに目で促し、夫人たちも心得たように頷くと、
「ええ。飛び入り参加と聞いて驚きましたわ。本日は王妃様に新しい仲間であるフェンティ夫人を紹介していただく場だと伺っておりましたのに」
いや、それ初耳ですけど?
仲間ってなんの??
「わ、私もフェンティ夫人にご挨拶申し上げたかったのですわ!エドワード様が我が城にお寄りになった時にはささやかな歓迎の宴を開かせていただきましたし、我が国に迫った戦線を押し戻して勝利してくださった時には祝勝会をさせていただき、その際には王女である私をエスコートしていただいたのですもの!」
わかりやすい宣戦布告に眉根が寄ってしまうが、私よりきりりと柳眉をつり上げた方がいた。
王妃様だ。
「まぁ__戦時中にあって民も大変な苦境を強いられてる最中にそんなに何度も宴を?我が国でも派手な催しは慎んでいたのに__」
「え?い、いえ!そんな派手なものではありませんわっ?」
「けれど正装してエスコートがいるような催しを開いたのでしょう?」
「それは__で、でも!エドワード様は笑顔でエスコートして下さいましたわっ!」
「まっ……!」
そう呟いたのは私以外のこの国の貴婦人がた全員だったが、レベッカ王女はどうだ!とばかりに胸を張った。
ほんとにめんどくさいな……。
「王宮にいきなりやってきて挨拶もそこそこに“エドワード様とその夫人にお会いしたい“なんておっしゃるのですもの、私も驚いたわ」
いや、出来ないよね?しかもこれ怒ってるよね?
「わ私、エドワード様に勝利のお祝いを言いたくて!エドワード様達は帰りは我が国にお寄りになる事なく凱旋してしまわれたから……」
「夫人が待ってるのですもの、速やかに帰国するのは当然。祝いを述べたければ使者を送れば済む話でしょう?」
「直にお祝い申し上げたかったのですわ!」
小国の姫がいきなり大国の王妃を訪ねてこれって度胸あるな。
……いや、単に無神経で図々しいだけか?
「そ それに此度の戦では我が国も__ひっ!」
王妃の絶対零度の視線を受けてレベッカ王女が黙る。
あ“ーやっぱり。
ミレスナ王国は“自分たちが味方したからこの国の勝利に貢献した“とでも思ってるみたいだが違う。
ミレスナは単なる通過ポイントに過ぎないから、エドワード達にはどっちでも良かったはずだ。
入国を拒否されれば多少強引に通ったりついでにあれこれ徴用したかもしれないが、黙認されれば黙って通過したろうし、「味方するのでゆっくりしてってくれ」と言われれば野営せずに兵力も備蓄も温存できるが敵が蝙蝠または罠を張っている可能性を考慮して用心しつつ申し出を受けたのだと思う。
その証拠に、
「用もないのに忙しいフェンティ伯を呼び出す訳にはいかないし、そんなお願いをきくような仲でもないから“これから茶会があるので“って遠回しにお断りしたら“ならぜひ自分も参加したい“っておっしゃるものだから私困ってしまって。今日は気のおけない友人数人とだけ気軽に語り合うつもりでしたのに__ねぇ?」
王妃の口調はおっとりとしているが明らかな非難が込められている。
レベッカ王女はばつが悪そうな顔をしてはいるが、とり乱して平伏したりはしない。
王族としては間違っていないのだが、この王妃とレベッカ王女とでは公爵と子爵くらい差がある__残念ながら、平伏するくらいでちょうどいい。
王妃が横にいる公爵夫人たちに目で促し、夫人たちも心得たように頷くと、
「ええ。飛び入り参加と聞いて驚きましたわ。本日は王妃様に新しい仲間であるフェンティ夫人を紹介していただく場だと伺っておりましたのに」
いや、それ初耳ですけど?
仲間ってなんの??
「わ、私もフェンティ夫人にご挨拶申し上げたかったのですわ!エドワード様が我が城にお寄りになった時にはささやかな歓迎の宴を開かせていただきましたし、我が国に迫った戦線を押し戻して勝利してくださった時には祝勝会をさせていただき、その際には王女である私をエスコートしていただいたのですもの!」
わかりやすい宣戦布告に眉根が寄ってしまうが、私よりきりりと柳眉をつり上げた方がいた。
王妃様だ。
「まぁ__戦時中にあって民も大変な苦境を強いられてる最中にそんなに何度も宴を?我が国でも派手な催しは慎んでいたのに__」
「え?い、いえ!そんな派手なものではありませんわっ?」
「けれど正装してエスコートがいるような催しを開いたのでしょう?」
「それは__で、でも!エドワード様は笑顔でエスコートして下さいましたわっ!」
「まっ……!」
そう呟いたのは私以外のこの国の貴婦人がた全員だったが、レベッカ王女はどうだ!とばかりに胸を張った。
ほんとにめんどくさいな……。
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