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「で、何か御用ですか?俺は戦場以外では役に立たないと思いますが」
改めて座り直した椅子の目の前で真顔で言うエドワードに、
「お前という奴は……」
国王は壮年の三十九才、妃が十九で子を産んでいるので既にもう直ぐ二十になる王子の父親でもあるのだが、若い頃は血気盛んな王だった。
エドワードとはひと回り年上のこの国王は不利な戦況をひっくり返し若くして団長の地位に登りつめたこの青年を気に入っていた。
また帰国したエドワードが愛する女性が行方不明だと聞き、酷く同情して大規模な捜索を許可し各部署への口利きをした人でもある。

卒業と同時に戦地で名を馳せた彼には国内での人脈というものが圧倒的に不足していたからだ。
実家であるフェンティ侯爵家も三男である彼の存在を軽視し、彼の妻たる女性に何ら気を配っておらず、また彼女の実家も跡継ぎである嫡男以外は興味がなく既に除籍されていたと聞き酷く同情し憤った。
故に勅令を発し、まず“騎士伯爵“の称号を与え、「以後エドワード・ル・フェンティ伯と名乗るように」とフェンティ侯爵家と明確に区別をつけることで以降、フェンティ侯爵家がエドワードの結婚その他に口出しできないようにした。

騎士伯は一代限りの名誉称号ではあるが授かること自体が稀で、その権限や発言力は辺境伯と同等。まして騎士団長も兼ねている彼に意見できる者は公爵家でも一部に限られるレベルにまで跳ね上がった。
そうしておいてから気兼ねなく想い人捜しに行けるように休暇を与え、書類仕事も極々少数に減らせるよう差配した。
そうした国王の気遣いにいたく感謝したエドワードも国王を父か叔父のように慕い、二人は酒を酌み交わす仲になった。

なったのだが__、
「お前、ほんとに酷いな?」
その“想い人“に“知らない人“扱いされ死にそうな顔で帰って来たエドワードを慰め、
「お前が至急通してくれと言ってきた書類だ、ほれ」
彼の使える副官と情報を共有し、
「!ありがとうございます。しかし、これをわざわざ陛下自らが?」
彼女の勤め先でもある領主家へも一筆書いたり、こうしてちょっと無茶振りがすぎる要求を通したり。
「いつも使いをなされている方に何かあったのですか?」
なのに、この反応。

国王はすぅ~~と息を吸い込み、
「お前の様子を見に来たに決まっているだろうがぁーーっ!!」
と怒鳴った。















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