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フローリア 3−2

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「ほら、今日の分だよ。口を開けて」
終わった後そう言われて、フローリアは困惑した。
王太子が手にしているのはいつもの避妊薬だろうが、エディアルからはその日の役目が済んだら手渡されていた。
「?」
「私は終わった後に口移しで飲ませている。気を失ったら飲ませることができなくて翌日の奉仕の時になってしまうから気をつけてね」
「そんな……!」
(毎回気を失うまで犯すくせに、気を失ったら貰えないなんて……!)
「心配しなくても私はエディアルほど激しくはないよ、私が在学中に妊娠して退学するような女子生徒はいなかったろう?ほら、いらないのか?」
そう言って王太子は自分の舌に避妊薬を乗せた。
「!」
「舌を絡ませてここから取るんだ、早く取らないと溶けてなくなってしまうよ?」
(なんておぞましい……)
フローリアは悔し涙を滲ませながら王太子に舌を絡めた。
できることならこのまま噛み切ってやりたい衝動に駆られながら。
「今度から私のことはキリアンと呼んでくれ、こうして会う時はね」
嫌そうに唇を離したフローリアにキリアンは満足そうに言った。



「疲れた……」
漸く続けてお世話に呼ばれずに済んだ日、寮の自室でフローリアは息を吐いた。
こんな地獄のような日々がいつまで続くのか、いっそ自死してしまおうかと思っていたフローリアを思いとどまらせていたのは「あと二ヶ月」という呪文だった。
あと二ヶ月で、王太子は卒業する。この学園からいなくなる。
世話係は「飽きるか卒業するまで」と言っていたから、王太子が卒業さえすれば自分は自由になれるはずだ。先日は体育の授業中に倒れてしまった。
あんなことを毎日のようにされていれば、体調を崩して当然だった。
(周囲に怪しまれないよう、気をつけなきゃ)
大丈夫、世話係には毎年何人もの女生徒が指名されてると聞いた。
皆、隠し通して卒業して行ったのだから、自分にだってできるはずだ。
自分の卒業までの残り二年は平穏に過ごせる__はずだ。
そう思いを馳せたところに、ノックの音が響いた。
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