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学園の有り様は時代によって様々だ。
この学園も風潮や時代の王の方針をもろに受ける。
古参貴族が幅をきかせ平民達を手下扱いするのが当たり前の時代。
成り上がった新興貴族が血統だけの貴族を見下す時代。
どちらもあったが、今は新興貴族と古参貴族が融和を図って行く時代だ。
いくら生徒に王子がいたってそれは変わらない。
そして生徒会はその有り様に従う組織だ。
平等を唱和し逸脱した生徒には身分の貴賎なく注意を行い融和を測る。
生徒ならばそれに従わなければいけない。
その生徒会に真っ向から対立してるのが王子とヒロインとその取り巻きたる“特権派貴族”と呼ばれる連ちゅ、コホン、人達だ。
__別に対立しようと思っていたわけではない。
遅れて入学してきた私は知らなかったのだ。
学園内の派閥が着々と形成されつつある事、そんな中自分の去就が注目されている事にも。
きっかけはささいな事だった。
前を歩いていた男子生徒が一枚の用紙を落としたのだ。
私はそれを拾って、
「あの、落としましたよ?」
と肩越しに差し出すと振り返った男子生徒が固まった。
「!ロ、ローズ伯爵ご令嬢……」
さらには次の瞬間90度頭を下げて、
「も、申し訳ありません!」
ときたので面食らいつつ、
「何がです?」
と訊くと、
「え そのローズ伯爵のご令嬢に落とした物を拾わせてしまうなんて……」
「足元に落ちてきた物を拾って持ち主に渡すくらい、普通だと思うのですけど?」
「えっ?」
なんでそこで驚く?
とツッコみたい所でわかりやすい見本な騒ぎが近くでおきた。
先ほど降りてきた階段の方から、
「貴様っ!平民の分際で僕の肩にぶつかってくるとは!」
と聞こえてきて(どこの殿様だよ?)と突っ込みつつ様子を見に行けばいかにもボンボンな少年と体型はあまり変わらないのに相手の威圧感に可哀想なくらい萎縮してしまっている男子生徒がいた。
どちらも一年生だ。
「も、申し訳ありません……」
「平民のくせに廊下の真ん中を歩くな!お前達は廊下の端っこを邪魔にならないよう歩いていればいいんだ!全くお前のような下賎な者達と同じ制服で過ごさねばならないとは、それだけで虫酸がはしる!良いからそれを拾え!拾って僕に差し出せ!」
一休さんみたいなことを口走っているがなんだろうこの不快感は。
「え?でも、」
言われた生徒が周りに散らばった紙に目を走らせる。
私は最初から見ていたらしい生徒に経緯を尋ねた。
要するに、ぶつかったのは互いに前方不注意らしいのだが、ボンボンのほうがぶつかった相手をひと目みた途端、手にした紙の束をばさっと落としたらしい__まるで相手に投げつけるように。
__なんだそれ。
この学園は制服着用だ。
勿論生地もそれなりに良い物を使ってるので平民には高価だ。
平民には一部負担を学園から受け取れる制度があるほど。
デザインはクラシックな乙女系ゲームのイメージそのもので私は気に入っている。第一この学園は全寮制で”自分の事は自分で”がモットーだ。
寮生の世話をする使用人はいるが個人専用ではない。
必要なら寄付を積んで寮の隣室に使用人を生徒として入学させるしかない。
やってる者は少数だが、有名無実な話だ。
だから制服も1人で着脱簡単なデザインになってるのだ、私はそれに気付いて感心したというのに__取り巻きを大勢従えて、階段の上から見下ろして。
何なのだこいつは?
渋る男子生徒に余計苛立ったらしいボンボンは、
「さっさとやれ!これ以上貴様ごときが僕の貴重な時間を浪費する事は許さん!」
と吐き棄てた。
周りを見回すが辺りに生徒会メンバーの姿はない。
当の男子生徒も周りをみて誰も助けてくれないとわかると渋々紙に手を伸ばすがーー、
「それ、おかしくありません?」
つい言ってしまった。
「なっ!?この僕になん、?!」
指先を突きつけて言い募ろうとした声が止まる。
私が誰だか知ってるらしい。
私は知らないがーーいや見たことはあるな。
誰だっけ?
とりあえず人を指差しちゃいけませんて教わりませんでしたか?
「ロ、ローズ伯爵令嬢……」
「先程から見ておりましたけれど、どこからどうみてもただの言い掛かりにしか見えませんでしたわ。前方不注意で誰かにぶつかるのは誰にでもあり得ること。ですが一方的に片方を叱責し全責任を押し付け、さらに自分の不注意で手から落とした物を拾い集めるよう命令するなんてあり得ませんわ」
「し、しかし!この痴れ者が僕にぶつかったのは事実でーー!」
「誰にぶつかったかは重要ではありません。この場合の責任は双方にあると言っているのです。それとも他でもないあなたにぶつかった場合にはいつどんな状況であってもぶつかった相手が100%悪いと、そう決まっているのですか?そんな規則がこの学園にあったなんて知りませんでしたわ」
睨みつけながら言ってやると、ぐっ、と、ボンボンが言葉に詰まる。
どんな身分でも、生徒である以上規則には従わなければならない。
ボンボンの後ろにはもちろん取り巻きがいたがそちらも特に反論はしてこない。
これで治まるかと思ったが、ボンボンの背後から声がかかる。
「そこまで厳しくおっしゃられなくてもよろしいのではなくて?ローズ伯爵令嬢」
知らない声(まあほとんど知らないかこのアホボンみたいに思い出せてないのがほとんどなのだが。お茶会友達が全員入学してる訳ではないから仕方ない。)だったが姿を見た途端直感する。
ヒロインだ。
金茶色のふわふわした髪と瞳、ピンク色の唇、華やかな雰囲気。
いかにも私ヒロインです!
と言っている、顔とか声とか態度が。
「初めまして、ローズ伯爵令嬢。キャロル・ステインと申します。お目にかかれて光栄ですわ」
階段を降りてくるさまが舞台役者のようだ。
そんな挨拶してる場面でもないはずだが、ヒロインは気にしない。
だってヒロインだから(棒読み)。
ーー私は敢えて無反応を選択。多分、しゃべらせといた方が得策だ。
「その資料は私が運ぶのをお願いしましたの。急いで運んで下さったみたいでーー申し訳ありません」
と慈悲深い笑みをたたえてボンボンに言えばボンボンが赤くなる。
違うだろ。
「謝る相手が違うのではありません?何を運んでいたかは関係ありませんわ、今のところ。問題なのはぶつかった相手に一方的に責任をなすりつけそれを拾えと命令した事。その責任の一部が貴女にもあると言うなら、あなたがたは2人共彼に謝罪すべきです」
「あら、まあそうでしたの?私はてっきりこちらの方の不注意だったのかと。私のお友達であり侯爵家嫡男であらせられるバイル様がそのような事は」
「割って入ってきたタイミングからして最初から全部聞いていたのよね?だったら何故あそこまで険悪になる前に止めに入らなかったの?」
「ーーー」
私が彼女の言い訳に頓着せず言い募ればヒロインが黙る。
だっておかしいだろ、そもそも身分どうこうなら子爵令嬢のあんたが一番下でしょうが ?
「__どうしても私達に謝罪せよと仰る?」
私が引かないとわかったからか、面白くなさそうに言う。
__切り返し早いな。
それにこのヒロイン、私より背が高い。
スタイルもいい。元々階段の上段にあちらが立っている事を踏まえても私より5センチは高い。
いや155センチしかない私がむしろ平均より小さいのだが。
そんな考えが浮かぶくらいには冷静に、(あ、無理だこの人とは仲良くなれない。)と本能的に悟った。
「いいえ?心にもない謝罪をする必要はない。謝罪を強要する権限も私にはない。ですから、すぐにその”大事な資料”を集めてこの公共の場を通れるようにして下さらない?皆さまが困ってますわ。大事なお友達同士ならそのくらいできますわよね?ずっと一緒に行動なさっているのですもの」
ボンボン改めヒロインwithBの取り巻きの皆さんに視線を移して言う。
ヒロインの風景と化してたが最初からずっといたのよね、この方達も。
ヒロインは不快そうに眉を顰めた後 にっこり笑うと、
「ねえ?セイラ様、私達のサロンにいらっしゃらない?」
「この学園でサロンは禁止されていますわよ?」
これは意外だが本当だ。
サロンなんてものは平民には馴染みがないし、第一まだ学生で親の脛齧りでしかない上にほとんどが社交デビューだってまだ。
なのにサロンとか何の意味があるのだ。
単に貴族が貴族らしく振舞う手段でしかない__少なくともこの学園では。
よって生徒同士がサロンをひらくのは禁止されており、友人同士のお茶会なら申請すれば許可される。
だが、そのお茶会を”サロン”と称して選民意識をひけらかす集団も勿論いる。
その仲間になるつもりはない。
「ーーそう。残念ですわ。」
せっかくチャンスをあげたのに、とでも言いたげにヒロインがさがるとバイル以下も付いていく。
犬かお前らは、そのうち尻尾が生えるぞ?
因みに紙束は打ち捨てられたままだ。
「大事な資料をお忘れですわよ?破棄なさると言うならご自分の手でなさって?」
これを勝手に捨てて断罪の口実にでもされたら面倒だ。
もう敵認定されちゃったみたいだし?
結局ヒロインのお願いポーズに負けてバイル以下が拾い集めて行った。
因みにキャロルはさっさとその場を後にした。
その時ちらりと見せた視線はこの上なく冷たい光を帯びていた。
ーーーやっちゃったなあ。
この学園も風潮や時代の王の方針をもろに受ける。
古参貴族が幅をきかせ平民達を手下扱いするのが当たり前の時代。
成り上がった新興貴族が血統だけの貴族を見下す時代。
どちらもあったが、今は新興貴族と古参貴族が融和を図って行く時代だ。
いくら生徒に王子がいたってそれは変わらない。
そして生徒会はその有り様に従う組織だ。
平等を唱和し逸脱した生徒には身分の貴賎なく注意を行い融和を測る。
生徒ならばそれに従わなければいけない。
その生徒会に真っ向から対立してるのが王子とヒロインとその取り巻きたる“特権派貴族”と呼ばれる連ちゅ、コホン、人達だ。
__別に対立しようと思っていたわけではない。
遅れて入学してきた私は知らなかったのだ。
学園内の派閥が着々と形成されつつある事、そんな中自分の去就が注目されている事にも。
きっかけはささいな事だった。
前を歩いていた男子生徒が一枚の用紙を落としたのだ。
私はそれを拾って、
「あの、落としましたよ?」
と肩越しに差し出すと振り返った男子生徒が固まった。
「!ロ、ローズ伯爵ご令嬢……」
さらには次の瞬間90度頭を下げて、
「も、申し訳ありません!」
ときたので面食らいつつ、
「何がです?」
と訊くと、
「え そのローズ伯爵のご令嬢に落とした物を拾わせてしまうなんて……」
「足元に落ちてきた物を拾って持ち主に渡すくらい、普通だと思うのですけど?」
「えっ?」
なんでそこで驚く?
とツッコみたい所でわかりやすい見本な騒ぎが近くでおきた。
先ほど降りてきた階段の方から、
「貴様っ!平民の分際で僕の肩にぶつかってくるとは!」
と聞こえてきて(どこの殿様だよ?)と突っ込みつつ様子を見に行けばいかにもボンボンな少年と体型はあまり変わらないのに相手の威圧感に可哀想なくらい萎縮してしまっている男子生徒がいた。
どちらも一年生だ。
「も、申し訳ありません……」
「平民のくせに廊下の真ん中を歩くな!お前達は廊下の端っこを邪魔にならないよう歩いていればいいんだ!全くお前のような下賎な者達と同じ制服で過ごさねばならないとは、それだけで虫酸がはしる!良いからそれを拾え!拾って僕に差し出せ!」
一休さんみたいなことを口走っているがなんだろうこの不快感は。
「え?でも、」
言われた生徒が周りに散らばった紙に目を走らせる。
私は最初から見ていたらしい生徒に経緯を尋ねた。
要するに、ぶつかったのは互いに前方不注意らしいのだが、ボンボンのほうがぶつかった相手をひと目みた途端、手にした紙の束をばさっと落としたらしい__まるで相手に投げつけるように。
__なんだそれ。
この学園は制服着用だ。
勿論生地もそれなりに良い物を使ってるので平民には高価だ。
平民には一部負担を学園から受け取れる制度があるほど。
デザインはクラシックな乙女系ゲームのイメージそのもので私は気に入っている。第一この学園は全寮制で”自分の事は自分で”がモットーだ。
寮生の世話をする使用人はいるが個人専用ではない。
必要なら寄付を積んで寮の隣室に使用人を生徒として入学させるしかない。
やってる者は少数だが、有名無実な話だ。
だから制服も1人で着脱簡単なデザインになってるのだ、私はそれに気付いて感心したというのに__取り巻きを大勢従えて、階段の上から見下ろして。
何なのだこいつは?
渋る男子生徒に余計苛立ったらしいボンボンは、
「さっさとやれ!これ以上貴様ごときが僕の貴重な時間を浪費する事は許さん!」
と吐き棄てた。
周りを見回すが辺りに生徒会メンバーの姿はない。
当の男子生徒も周りをみて誰も助けてくれないとわかると渋々紙に手を伸ばすがーー、
「それ、おかしくありません?」
つい言ってしまった。
「なっ!?この僕になん、?!」
指先を突きつけて言い募ろうとした声が止まる。
私が誰だか知ってるらしい。
私は知らないがーーいや見たことはあるな。
誰だっけ?
とりあえず人を指差しちゃいけませんて教わりませんでしたか?
「ロ、ローズ伯爵令嬢……」
「先程から見ておりましたけれど、どこからどうみてもただの言い掛かりにしか見えませんでしたわ。前方不注意で誰かにぶつかるのは誰にでもあり得ること。ですが一方的に片方を叱責し全責任を押し付け、さらに自分の不注意で手から落とした物を拾い集めるよう命令するなんてあり得ませんわ」
「し、しかし!この痴れ者が僕にぶつかったのは事実でーー!」
「誰にぶつかったかは重要ではありません。この場合の責任は双方にあると言っているのです。それとも他でもないあなたにぶつかった場合にはいつどんな状況であってもぶつかった相手が100%悪いと、そう決まっているのですか?そんな規則がこの学園にあったなんて知りませんでしたわ」
睨みつけながら言ってやると、ぐっ、と、ボンボンが言葉に詰まる。
どんな身分でも、生徒である以上規則には従わなければならない。
ボンボンの後ろにはもちろん取り巻きがいたがそちらも特に反論はしてこない。
これで治まるかと思ったが、ボンボンの背後から声がかかる。
「そこまで厳しくおっしゃられなくてもよろしいのではなくて?ローズ伯爵令嬢」
知らない声(まあほとんど知らないかこのアホボンみたいに思い出せてないのがほとんどなのだが。お茶会友達が全員入学してる訳ではないから仕方ない。)だったが姿を見た途端直感する。
ヒロインだ。
金茶色のふわふわした髪と瞳、ピンク色の唇、華やかな雰囲気。
いかにも私ヒロインです!
と言っている、顔とか声とか態度が。
「初めまして、ローズ伯爵令嬢。キャロル・ステインと申します。お目にかかれて光栄ですわ」
階段を降りてくるさまが舞台役者のようだ。
そんな挨拶してる場面でもないはずだが、ヒロインは気にしない。
だってヒロインだから(棒読み)。
ーー私は敢えて無反応を選択。多分、しゃべらせといた方が得策だ。
「その資料は私が運ぶのをお願いしましたの。急いで運んで下さったみたいでーー申し訳ありません」
と慈悲深い笑みをたたえてボンボンに言えばボンボンが赤くなる。
違うだろ。
「謝る相手が違うのではありません?何を運んでいたかは関係ありませんわ、今のところ。問題なのはぶつかった相手に一方的に責任をなすりつけそれを拾えと命令した事。その責任の一部が貴女にもあると言うなら、あなたがたは2人共彼に謝罪すべきです」
「あら、まあそうでしたの?私はてっきりこちらの方の不注意だったのかと。私のお友達であり侯爵家嫡男であらせられるバイル様がそのような事は」
「割って入ってきたタイミングからして最初から全部聞いていたのよね?だったら何故あそこまで険悪になる前に止めに入らなかったの?」
「ーーー」
私が彼女の言い訳に頓着せず言い募ればヒロインが黙る。
だっておかしいだろ、そもそも身分どうこうなら子爵令嬢のあんたが一番下でしょうが ?
「__どうしても私達に謝罪せよと仰る?」
私が引かないとわかったからか、面白くなさそうに言う。
__切り返し早いな。
それにこのヒロイン、私より背が高い。
スタイルもいい。元々階段の上段にあちらが立っている事を踏まえても私より5センチは高い。
いや155センチしかない私がむしろ平均より小さいのだが。
そんな考えが浮かぶくらいには冷静に、(あ、無理だこの人とは仲良くなれない。)と本能的に悟った。
「いいえ?心にもない謝罪をする必要はない。謝罪を強要する権限も私にはない。ですから、すぐにその”大事な資料”を集めてこの公共の場を通れるようにして下さらない?皆さまが困ってますわ。大事なお友達同士ならそのくらいできますわよね?ずっと一緒に行動なさっているのですもの」
ボンボン改めヒロインwithBの取り巻きの皆さんに視線を移して言う。
ヒロインの風景と化してたが最初からずっといたのよね、この方達も。
ヒロインは不快そうに眉を顰めた後 にっこり笑うと、
「ねえ?セイラ様、私達のサロンにいらっしゃらない?」
「この学園でサロンは禁止されていますわよ?」
これは意外だが本当だ。
サロンなんてものは平民には馴染みがないし、第一まだ学生で親の脛齧りでしかない上にほとんどが社交デビューだってまだ。
なのにサロンとか何の意味があるのだ。
単に貴族が貴族らしく振舞う手段でしかない__少なくともこの学園では。
よって生徒同士がサロンをひらくのは禁止されており、友人同士のお茶会なら申請すれば許可される。
だが、そのお茶会を”サロン”と称して選民意識をひけらかす集団も勿論いる。
その仲間になるつもりはない。
「ーーそう。残念ですわ。」
せっかくチャンスをあげたのに、とでも言いたげにヒロインがさがるとバイル以下も付いていく。
犬かお前らは、そのうち尻尾が生えるぞ?
因みに紙束は打ち捨てられたままだ。
「大事な資料をお忘れですわよ?破棄なさると言うならご自分の手でなさって?」
これを勝手に捨てて断罪の口実にでもされたら面倒だ。
もう敵認定されちゃったみたいだし?
結局ヒロインのお願いポーズに負けてバイル以下が拾い集めて行った。
因みにキャロルはさっさとその場を後にした。
その時ちらりと見せた視線はこの上なく冷たい光を帯びていた。
ーーーやっちゃったなあ。
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