〈第一部完・第二部開始〉目覚めたら、源氏物語(の中の人)。

詩海猫

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邂逅

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バサッ……と斬られた妖が塵になると、切っ先の血を振り払い、ちゃきんと腰に差した鞘に収める。
蓮花アイツがいなくなって、この国の澱みもそこにたまるモノも増えたな……」
「“アイツ“って蓮花のこと?」
「っ?!」
周囲に人がいないはずの場所で背後からかけられた声に、透夜は思わず抜刀しそうになったが声の主に目をやった途端、「お前……!」と目を剥いた。

細かい部分こそ違うがその少女の服装は織羽が京を走り回っていた時の格好によく似ている。
髪も見たところそっくりだし何よりその顔は__「お前__れ、いや、違う。アイツはもういない……お前は誰だ?」
「そっちこそ誰よ?」
「俺は__“監視者〟だ。ああいったモノたちを斬る仕事をしている」
「ふぅん?だからそんな物騒なもの持ち歩いてるんだ?」
「お前は__何者なんだ?」
「私は最近この辺りに出るっていう辻斬りの正体探してただけ。言っとくけど後からきたのそっちだからね?」
「__……」
(結界を抜けてきたのか……)以前にも容易く自分の結界を抜けてきた少女がいた__帝の姫だった。

「多少術が使えるからといってむやみに出歩くな。辻切りが一人とは限らないし物怪の類ならまとまった集団のこともある。自分を過信し過ぎるなよ」
「まるで自分は一人でも最強だって言ってるみたいね。初対面の私の何を知ってるわけでもないでしょうに」
(初対面……)
「確かにな。だがお前に良く似た女性ひとを知っていた。お前はその係累だろう?」
「どうしてそう思うの?」
「お前のその装束はこの世界ではあり得ない格好だ。関係ないわけがない」
「貴方はどう関係してるの?」
「何?」
「貴方のそのフードの下の服だってこの時代のものじゃないよね?むしろこの服より織羽の元いた世界のものに近_「悪いが失礼する」、ちょっと!!」

制止の声も聞かず、透夜の姿は闇に溶ける。
「質問してくるくせにこっちの問いには答えない所は変わらないわね、アイツ」
少女の呟きも闇に溶け、辺りにはしんとした静けさだけがとどまった。

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