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経緯 2
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蓮花と薫の間に生まれた子供は二人。
一人めの姫は咲薇、二年後に生まれた男の子は咲夜と名付けられた。
この一件でさらに暴走した匂宮はあろうことか、十二になった薫の姫・咲薇(以前自分の子供に添わせようとしたが断られた)を、攫ってしまったのだ。
育ての母である浮舟の姉にあたる中君に新年の挨拶に参った咲薇をいきなり抱き上げ、自分の局に連れて帰ってしまったのである。
本当に突然の訪れだった。
「やあ。姪ごどののご機嫌は如何かな」
先触れもなしにいきなりひょっこりと几帳から顔を出した匂宮は、
「おお……!其方が咲薇姫か!母君によく似ておられるではないか」
「宮……!」
中君が非難の声をあげるが、
「其方の母との思い出話なぞをとくと語りたいものだ……そうだ私の住んでいる局の花が今それは見事だぞ?かの紫の上も愛した花だ、お前にも見せてやろう」
などと言って抱き上げたまま自分の局に去って行ってしまったのだ。
「姫さま……!」
蓮花第一で現在は咲薇の乳母となっている晶がとるものもとりあえず付いていき、中君は急いで御所に使いを、浮舟は薫を急ぎ呼びに行かせた。
いくら今は重い身分になったとしても女たちばかりの場であり、ここは匂宮が主の邸。
夕霧の養女として薫の女御となっていても浮舟は傍流の姫、匂宮の妻である中君も宮家の姫とはいっても親はなく匂宮に及ばない。
ついでに中君も浮舟も、匂宮がここまで無粋な真似をするとは思わず咄嗟に反応しきれなかった。
元々匂宮の邸に向かう中には早馬を操る供も付けていたので事は直ぐに内裏に知れた。
急ぎ駆けつけた薫の東宮が止める二条院の者たちに「私より何故宮の暴走を止めなかったのだ……!東宮の姫を隠したとなれば其方たちとてただではすまぬぞ?!」と一喝し匂宮の局に案内させて部屋へと押し入った。
部屋の中は庭へ続く戸が開けられているにもかかわらず香の匂いが充満しており、庭の花にほど近い縁に咲薇を膝に乗せた匂宮が涼しい顔で座っていた。
とりあえず何もなさそうで息を吐いた薫だが、匂宮が次に発した言葉で激昂した。
「なんだ薫、お前もここの花を愛でにきたのか?」
「___ふざけないでいただきたい!」
一人めの姫は咲薇、二年後に生まれた男の子は咲夜と名付けられた。
この一件でさらに暴走した匂宮はあろうことか、十二になった薫の姫・咲薇(以前自分の子供に添わせようとしたが断られた)を、攫ってしまったのだ。
育ての母である浮舟の姉にあたる中君に新年の挨拶に参った咲薇をいきなり抱き上げ、自分の局に連れて帰ってしまったのである。
本当に突然の訪れだった。
「やあ。姪ごどののご機嫌は如何かな」
先触れもなしにいきなりひょっこりと几帳から顔を出した匂宮は、
「おお……!其方が咲薇姫か!母君によく似ておられるではないか」
「宮……!」
中君が非難の声をあげるが、
「其方の母との思い出話なぞをとくと語りたいものだ……そうだ私の住んでいる局の花が今それは見事だぞ?かの紫の上も愛した花だ、お前にも見せてやろう」
などと言って抱き上げたまま自分の局に去って行ってしまったのだ。
「姫さま……!」
蓮花第一で現在は咲薇の乳母となっている晶がとるものもとりあえず付いていき、中君は急いで御所に使いを、浮舟は薫を急ぎ呼びに行かせた。
いくら今は重い身分になったとしても女たちばかりの場であり、ここは匂宮が主の邸。
夕霧の養女として薫の女御となっていても浮舟は傍流の姫、匂宮の妻である中君も宮家の姫とはいっても親はなく匂宮に及ばない。
ついでに中君も浮舟も、匂宮がここまで無粋な真似をするとは思わず咄嗟に反応しきれなかった。
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部屋の中は庭へ続く戸が開けられているにもかかわらず香の匂いが充満しており、庭の花にほど近い縁に咲薇を膝に乗せた匂宮が涼しい顔で座っていた。
とりあえず何もなさそうで息を吐いた薫だが、匂宮が次に発した言葉で激昂した。
「なんだ薫、お前もここの花を愛でにきたのか?」
「___ふざけないでいただきたい!」
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