〈第一部完・第二部開始〉目覚めたら、源氏物語(の中の人)。

詩海猫

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考察

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「漸く……私と共に居る時にも笑顔を見せてくれるようになりましたね」
夏が終わる頃、薫が言った。
(え……?何でバレてるのかな、薫の姿がきっちり見えなくなるまで笑ったりしなかったはずだけど)
私が僅かに目を見張ったのに気付いたのか、
「貴女のお側近くに仕える女房達がこっそり教えてくれたのですよ、お方様は大将の君の前でこそあんな風ですが殿が帰られた後によく笑みを浮かべておられるのですよ、と。いつも貴女にすげ無くされる私を哀れに思ってくれたようです」
口調は優しげだが明らかに皮肉が込められている。
(蓮花付きの女房たちから薫は受けが悪かったはずだけど、絆されたってことかな?流石絶世の美男は違う)
もしかしたらかの小侍従みたいなのも沸いて出てくるかもしれない、気をつけないと。

小侍従とは薫の生母女三の宮の乳姉妹で、柏木の愛人の一人でもあった。
その情交の際、「何とか女三の宮に引き合わせてくれ」と柏木に頼み込まれた小侍従は柏木を女三の宮の寝室に引き入れてしまうのである。

__これで“裏切った“って源氏に責められる女三の宮も気の毒だよなぁ。
因みに女三の宮は出家してはいるが存命である。
十四かそこらで四十路の源氏に嫁いでいるのだから当然だが、薫は時々会いに行っているようだ。

(仕えてる女房達に既にコイツのお手付きの者がいるとすれば、第二の小侍従にもなりかねない。そこは気をつけないと)
「涼しくなってきたことですし秋はどこぞへ紅葉狩りにでも参りましょうか?それともここで管弦の宴でも催しましょうか」
「宴といえば、夏の蛍を愛でる宴は大層美しゅうございましたわ。集まってくださった皆さまの衣装も夏らしく爽やかで」
「ええ。嫁いで来られてから初めての女二の宮様の宴とあって皆様競うように華を添えてくださいました。中でも中君様や女一の宮様など……」
(やっぱそこに一番注目してんのね、宴もまさかその二人見たさに催したんじゃ?)
胡乱な目をした私に、
「蓮花様?あの宴の際何か不手際でもございましたか」
とこの男目端はきくのだが、
「いいえ?」
そういうとこだよっ!
「何やら眉根を寄せておられましたが」
「いえ、外出か宴かで悩んでおりましたの。どちらも惹かれるものですから」
外出どころか夜毎邸を抜け出しては走りまわっておいて(ついでに悪党退治までやっておいて)どの口が言うのか?

とこっそり覗き見ていた結月の突っ込みは当然織羽には届かない__届いても無視してたろう。
彼らの目的が“魂の迷子の保護“でなく“蓮花の器“の保護であるならそこに織羽の魂は含まれない。
だが、だったら何故入るのが織羽の魂でなければならなかったのか?
某世界的アニメのように「同調シンクロ率が高いから」とか言われればどうしようもないが彼らは道術を使う。
織羽からみたら魔法のような能力だが、この蓮花の体は教われば直ぐに使えてしまうくらい馴染んでいる。
これが理由のひとつなのだとしたら、彼らの目的は一体なんなのだろう。
























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