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遭遇

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部屋で一人になった後、私は夜の京へ向かった。
裾のズルズルしない服で思いきり京の町を駆け抜けるのは爽快だった。
この“身体強化中“状態を長く保つのが目的を兼ねているので私はいつも限界ギリギリまでぶっ飛ばす。
ただ視力も強化されているので、どうしても妙な動きをしている輩は目に入ってしまいどうにも気になるのでついつい見過ごせなくなってしまい退治する羽目になるのだが、この行動の目的は別にある。



「__お前、何者だ?」
いつも通り(?)破落戸を片付けている時、その声はふいに響いて来た。
しっかりひと纏め(?)にした賊から視線を外し、声の方へ振り向くと件の白頭巾青年がいた。
「あ!あなた__」
「質問に答えろ。最近京で噂になっている賊を倒してまわっている白装束とはお前のことか?」
「うん、たぶん」
「多分とはどういうことだ?」
「自分で噂を流したわけじゃないから。夜の京をまわってるのは修行のためだし、あとは貴方を探してた、個人的に」
「俺を?」
「この前、魂の迷子って単語に反応してたよね?貴方は違うの?」
「!お前、この前の?蓮花……、だったか?」
「うん、中身は違うけどね」
「そうか。__“蓮花“は器の名前か」
「好きでなったわけじゃないんだけど。それで貴方は?その服装、どう見てもこの時代のじゃないわよね?」
「っ、あぁ、確かに俺はこの時代の人間じゃないが魂の迷子とは違う。俺の魂と器は一致してるからな」

「じゃあ、体ごとこっちに来ちゃった人?でも、なんでそんなに剣での戦いに慣れてるの?」
「俺は透夜とうや。ここには探しものがあって来ている」
「探し物?」
「質問はここまでだ。お前の側には“監視者“がいるだろう、俺は奴らに関わられたくないんだ」
「待って!自分でここに来たってことは貴方は自由に行き来ができるってっことなの?!なら教えて!どうやったら戻れるの?」
「__残念ながらそれは俺にもわからん」
「っわからないって、じゃあどうやって__」
「俺も迷い子みたいなものだからだ、本来ならとうにこの世界ここを離れているはずだった、いるはずのない存在」
__え__?
声を発する前に、透夜の姿はかき消えた。



「で、不貞腐れてるわけか」
「だって、漸く探し当てたのよ?もう少し質問に答えてくれても良くない?!」
「いや、そいつは俺たち“監視者“から逃げ回っているのだろう?下手に近づかぬ方が
良い」
「そうですよ織羽どの。敵はわかりやすい者ばかりではありません」
「だったらせめてその“わかりやすい敵“ってのの正体教えてよ?」
「「………」」
だんまりか。

やっぱり、何か隠してるのね?







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