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織羽、戦闘服を試着する
しおりを挟む「織羽殿は覚えが早いです。元々素質のある方なのでしょうね」
織羽と別れた月影は結月に進捗の報告をしていた。
「あいつの場合は“自由に外に出たい“という煩悩が地力になってるようだがな」
「元がこの世界の住人でないのですから元いた世界に馳せるのも当然では?」
「未来から……か」
結月の呟きに月影が答える。
「しかしよもや浮舟どのがあのまま宇治におかれて入水する運命にあったとは……しかも、その天運を変えてしまうとは」
「未来は常に不確定だ。死の淵から無理矢理引き戻したわけでなく、住まいを変えただけであるから罪には当たらんが」
「それは、そうですが……このまま織羽どのが死ぬ運命の者を片端から助けて回っては、変わらぬ運命も変わってくるのでは?」
「あいつがそこまで殊勝な心掛けで修行してるとは思えんがそうだな、あいつが欲しいと言っていた衣装……あれを渡す際には再度釘をさしておこう、あまり派手に動かぬようにな」
修行を始めて二ヶ月、
「織羽どの、ご希望の衣装が出来上がりましたよ」
月影が箱を手にしてやって来た。
「え ほんと?」
私は小姓姿で駆け寄った。
この修行をしている場所は蓮花の住まう邸から離れた山中なのだが、転移魔法陣を敷いてあるので蓮花の部屋から直接行き来が可能なのだ。
さらに結月が結界で覆っているお陰で見られる心配がないので私はもう完全に現代モードだ。
「とりあえず着てみてください」
と言われ、室内に戻って小姓の服を脱ぐ。
蓮花の普段の衣装は女房たちの手伝いなしには着られないがこれなら別、というか着られる仕様にしてもらった。
でないと意味がないからだ。
着てみると上衣の巫女服部分の袖はたっぷりしすぎず、長さもちょうど良い感じだし、下はぱっと見スカートに見えるがキュロットになっているし、腰で結ぶリボン風帯も良い感じだ。
だが__、
「丈がちょっと長い」
着た私がぼそっと呟くと、
「それ以上足を出す気か」
いつの間に来たのか、結月の突っ込みが入る。
「出てないでしょ、ブーツが膝丈なんだから!」
私は編み上げブーツを示しながら言う。
キュロットスカートがブーツの上五センチ程の部分を覆っているのだ。
私は膝上を指定したはずなのに。
「しかしこれ以上短くするのは__」
「流石にはしたないかと」
などと宣う見た目二十代の男性二人に(お父さんか、アンタらはっ!)と心中で突っ込みつつ、
「あのねぇ、私のいた世界では出してるのが当たり前、ていうか十代でましてやこんな可愛い十代なら出すべきなのよ?」
だって蓮花は可愛い。
運動不足の二十九歳OLには無理でも、十六、いや年跨いだから十七か?この時代は誕生日とかなくて年跨いだら一歳年を取るとかだった気がする__が、とにかく十代美少女の蓮花なら出来るのよっ!
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