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殿上人の脳は恋愛脳(ただし男に限る)
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う、浮舟ちゃん……?
ダメだよ、君みたいな仔羊が女の敵の前に踊り出ちゃったら……!
「何だと……?」
さしもの匂宮もこの展開は頭の中で片付かなかったらしい、珍しく助けを求めるように中君を見るも中君は「頭痛い」の姿勢で目を閉じたままだ。
引き換え立ち上がった浮舟ちゃんは扇で顔を隠すのも忘れて両手を広げて私を庇うように立っている。
震えながら。
その姿は小動物のように可愛い__とか私が思うと同時に野郎も思ったらしく、
「何とも可愛いらしいな……」
と匂宮が浮舟ちゃんの顔に手を伸ばし顎クイかましてきた。
お、女の敵__!空気読め!
社会人ならエアーリーディングくらい身につけておきゃあがれっ!
って、そんな場合じゃない、出番よ蓮花!!
「__高貴な身分に似合わず、見苦しいなさりようですこと」
優雅に扇で口元を隠しながらそう発すると、
「何だと?」
途端、不機嫌を醸した険のある声が返る。
「蓮花です」
私は無視して続ける。
「は?」
あら、柄の悪い。
「先ほど名前を尋ねていらしたでしょう?だからお答えしたのです」
言いながらす、と立ち上がるも匂宮にはまだピンと来ないらしい。
「ええい、今更そなたの名乗りなど求めておらぬ、俺は浮舟を、」
とか言ってる匂宮の顎クイしたままの手に優雅にその手を重ねると、匂宮は面くらったようだ。
「ぶ、無礼だぞ、女、いや蓮花とか言ったか、この私に馴れ馴れしく__」
「断りもなく女性の顔に触れるほうがよっぽど無礼ですわ」
と私は荒っぽくならない程度に浮舟ちゃんからけしからん男の手をひっぺがす。ほんとは扇で引っ叩きたいんだけどね?
「何を……!ん?蓮花、だと?」
「ええ、異母妹の女二の宮、蓮花ですわ__お久しぶりですわね、二の宮の兄上さま?」
匂宮が硬直した。
その隙に、私は合図して浮舟ちゃんを几帳で匂宮の視線から隠させた。
「な、何故女二の宮、いや薫大将の奥方がここにいるのだ」
「異なことを仰せですこと、この浮舟の君も同じく薫大将の君の奥方。浮舟さまが中君さまと気兼ねなくお話にこちらに参られると聞いて私も加えていただきましたの。女性ばかりしかも二条院であれば特段危険なこともないであろうと__なのにまさか兄宮さまが大将の君に添われておられる浮舟さまに手をのばすところに出会すなどとは__…」
「ひ、人聞きの悪いことを言うな!中君がなかなか紹介してくれぬから焦れただけだ、まさかお前がこんなところに忍んで参っているとは__薫は知っているのか?」
「もちろんお忍びですわ。大将殿は昨夜より宿直ですもの、兄宮さまこそ今日は日暮れまでお勤めのはずでは?」
「…!…き今日は日が悪かったのだ、明日改めて参上する予定だ!」
あ やっぱり今日浮舟ちゃんがここに来ていると聞いてサボったな?
「せっかく女性同士で盛り上がっておりましたのにいきなり踏み込んでこられるものだからすっかり興が醒めてしまいましたわ」
「そ そんな集まりとは知らなかったのだ!」
「女の内緒話を喧伝して歩くわけがないではありませんか、殿方だってそうでしょう」
「ぐ……、それは済まなかったな。……後で詫びの品を届けさせる__邪魔者は退散するとしよう、中君、また後で」
「はい」
畏まって返事をする中君だが謝罪したり引き止めたりはしない。
やはりやるな中君!
「いつもあの調子で……全く困ったご気性だこと」
中君の呟きに、離れていた女房たちが集まってくる。
「本当に。女二の宮さまが居合わせて下さってよろしゅうございました」
右近や大輔の君が几帳を浮舟ちゃんの周りから取り覗くと、現れた浮舟ちゃんの顔はまだ青ざめていた。
「怖かったでしょう?ごめんなさいね」
「大丈夫?駄目よあんな無茶をしては」
中君と私が口々に言うと、
「わ、私は大丈夫です!それよりお方さまこそ私の為にあんな無茶を……!」
「私とあの方は宮中で何度か顔を合わせているのだもの平気よ?」
それにしては気付くのに時間かかったけど。
好みの女性以外は覚えない都合の良い記憶中枢をしているのだろう、邪魔者って自覚があって良かったわ。
もう少し話したかったが匂宮が戻った以上、長居は不要なので「また今度お話しましょう」「ええ、是非いらしてね」という感じに挨拶してその日は帰った。
そして数日後、薫大将の君が私の部屋を訪ねて来て、
「女二の宮さま、お忍びで二条院に参ったというのは本当ですかっ?!」
えらい剣幕でまくし立ててきた。
「本当ですが、それが何か?」
「先程匂宮さまから苦情を言われました、“自分の留守中に忍んで遊びに来られた上、挨拶をしに参ったら“無粋”だと罵られたと、お出ましになるならば事前に知らせて下されば邪魔などしなかったしもてなす準備も整えたのに”と……!」
成る程、意趣返しとして脚色して薫に注進したわけか。
器の小さい男だこと。
「それで、大将どのにおかれては私を叱りにいらしたのですか?」
「!い、いえ 叱るなどと……!私はただ女二の宮さまの夫として此度のように私の知らぬところで遊びに行かれるのは__、」
「大将どのは好きに宇治なり二条院なりへ行かれるのに?」
「!、っそれは、」
浮舟に会いに宇治に、中君に懸想して二条院にふらふら出歩いてる身としちゃ言い返せないわよねぇ。
「確認したいのですけれど、私が女性の友人に会いに出掛けるのはそんなに咎め立てされることでしたでしょうか……?」
「い、いえ……」
目が宙を泳いでる。
さっきの勢いどこ行った?
「それに此度の外出は浮舟さまが姉君である中君さまがお会いになりたいと文を寄越されてのもの、私はそれに便乗しただけですわよ?こちらに嫁いでからというもの一度も外出などしたことがなかったのですもの。部屋に籠りきりにも飽いていたところ、久し振りに楽しゅうございました」
「はっ……、そのようにまさか退屈しておられたとは、行き届かず申し訳ありません!」
あ 臣下モードに戻った。
「そうですか、中君さまが……斯様なこととは存じ上げず、失礼を申しました」
「わかって下さればよろしいのです、浮舟さまだけでは心細いご様子でしたし私も年の近い女性とお話してみたかったので同道を申し出た次第ですの、匂宮さまの乱入で場が乱れてしまいましたので後日仕切り直しましょうとなりましたのよ?」
「はっ、そうでしたか……乱入?」
「ええ。兄宮さまはご自分に都合の良い所しか話さなかったのですわね、いきなり女房たち全員に下がるよう命じてから、徐に浮舟さまの顔をまじまじと見ようとなさったから私慌てて止めましたのよ?」
一応いきなり顎クイかましたことは避けて(浮舟ちゃんにとっても恥になることだからね、本人悪くないんだけど!)報告しておく。
匂宮に言い分だけを信じこまれては敵わないし、この人も浮舟ちゃんに関して匂宮は危険人物だと認識してもらわないと。
いくら仲の良い友人同士でも、火遊びは他所でやれ!
「ふん……いくら妹宮であろうと俺を邪険になどするからだ」
今頃薫に責められているだろう。奴は一本気で真面目だから、俺が苦言を呈せば 自分の細君である女二の宮を責めるに決まっている。
「降嫁する前はあれ程生意気ではなかったものを……だが、」
あそこまで、美しいとも思わなかった。
浮舟は可愛らしいが、加えて親王の気品と薫大将の正室という重々しさが加わわった女二の宮は容姿の整い具合もさることながら自分を堂々と諌めた姿も凛として美しかった。
「蓮花、と名乗ったな……」
今まで承香殿の女御が付けた姫宮の名など気にしたことがなかったが__名乗りながら立ち上がる姿がまた美しかった。
邪険に扱われたことを思い返すと腹立たしいが、あの美しさを想うと胸が苦しい。
当人には盛大にディスられてるとも知らず、恋に惑う自分に酔いしれる男・匂宮だった。
ダメだよ、君みたいな仔羊が女の敵の前に踊り出ちゃったら……!
「何だと……?」
さしもの匂宮もこの展開は頭の中で片付かなかったらしい、珍しく助けを求めるように中君を見るも中君は「頭痛い」の姿勢で目を閉じたままだ。
引き換え立ち上がった浮舟ちゃんは扇で顔を隠すのも忘れて両手を広げて私を庇うように立っている。
震えながら。
その姿は小動物のように可愛い__とか私が思うと同時に野郎も思ったらしく、
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と匂宮が浮舟ちゃんの顔に手を伸ばし顎クイかましてきた。
お、女の敵__!空気読め!
社会人ならエアーリーディングくらい身につけておきゃあがれっ!
って、そんな場合じゃない、出番よ蓮花!!
「__高貴な身分に似合わず、見苦しいなさりようですこと」
優雅に扇で口元を隠しながらそう発すると、
「何だと?」
途端、不機嫌を醸した険のある声が返る。
「蓮花です」
私は無視して続ける。
「は?」
あら、柄の悪い。
「先ほど名前を尋ねていらしたでしょう?だからお答えしたのです」
言いながらす、と立ち上がるも匂宮にはまだピンと来ないらしい。
「ええい、今更そなたの名乗りなど求めておらぬ、俺は浮舟を、」
とか言ってる匂宮の顎クイしたままの手に優雅にその手を重ねると、匂宮は面くらったようだ。
「ぶ、無礼だぞ、女、いや蓮花とか言ったか、この私に馴れ馴れしく__」
「断りもなく女性の顔に触れるほうがよっぽど無礼ですわ」
と私は荒っぽくならない程度に浮舟ちゃんからけしからん男の手をひっぺがす。ほんとは扇で引っ叩きたいんだけどね?
「何を……!ん?蓮花、だと?」
「ええ、異母妹の女二の宮、蓮花ですわ__お久しぶりですわね、二の宮の兄上さま?」
匂宮が硬直した。
その隙に、私は合図して浮舟ちゃんを几帳で匂宮の視線から隠させた。
「な、何故女二の宮、いや薫大将の奥方がここにいるのだ」
「異なことを仰せですこと、この浮舟の君も同じく薫大将の君の奥方。浮舟さまが中君さまと気兼ねなくお話にこちらに参られると聞いて私も加えていただきましたの。女性ばかりしかも二条院であれば特段危険なこともないであろうと__なのにまさか兄宮さまが大将の君に添われておられる浮舟さまに手をのばすところに出会すなどとは__…」
「ひ、人聞きの悪いことを言うな!中君がなかなか紹介してくれぬから焦れただけだ、まさかお前がこんなところに忍んで参っているとは__薫は知っているのか?」
「もちろんお忍びですわ。大将殿は昨夜より宿直ですもの、兄宮さまこそ今日は日暮れまでお勤めのはずでは?」
「…!…き今日は日が悪かったのだ、明日改めて参上する予定だ!」
あ やっぱり今日浮舟ちゃんがここに来ていると聞いてサボったな?
「せっかく女性同士で盛り上がっておりましたのにいきなり踏み込んでこられるものだからすっかり興が醒めてしまいましたわ」
「そ そんな集まりとは知らなかったのだ!」
「女の内緒話を喧伝して歩くわけがないではありませんか、殿方だってそうでしょう」
「ぐ……、それは済まなかったな。……後で詫びの品を届けさせる__邪魔者は退散するとしよう、中君、また後で」
「はい」
畏まって返事をする中君だが謝罪したり引き止めたりはしない。
やはりやるな中君!
「いつもあの調子で……全く困ったご気性だこと」
中君の呟きに、離れていた女房たちが集まってくる。
「本当に。女二の宮さまが居合わせて下さってよろしゅうございました」
右近や大輔の君が几帳を浮舟ちゃんの周りから取り覗くと、現れた浮舟ちゃんの顔はまだ青ざめていた。
「怖かったでしょう?ごめんなさいね」
「大丈夫?駄目よあんな無茶をしては」
中君と私が口々に言うと、
「わ、私は大丈夫です!それよりお方さまこそ私の為にあんな無茶を……!」
「私とあの方は宮中で何度か顔を合わせているのだもの平気よ?」
それにしては気付くのに時間かかったけど。
好みの女性以外は覚えない都合の良い記憶中枢をしているのだろう、邪魔者って自覚があって良かったわ。
もう少し話したかったが匂宮が戻った以上、長居は不要なので「また今度お話しましょう」「ええ、是非いらしてね」という感じに挨拶してその日は帰った。
そして数日後、薫大将の君が私の部屋を訪ねて来て、
「女二の宮さま、お忍びで二条院に参ったというのは本当ですかっ?!」
えらい剣幕でまくし立ててきた。
「本当ですが、それが何か?」
「先程匂宮さまから苦情を言われました、“自分の留守中に忍んで遊びに来られた上、挨拶をしに参ったら“無粋”だと罵られたと、お出ましになるならば事前に知らせて下されば邪魔などしなかったしもてなす準備も整えたのに”と……!」
成る程、意趣返しとして脚色して薫に注進したわけか。
器の小さい男だこと。
「それで、大将どのにおかれては私を叱りにいらしたのですか?」
「!い、いえ 叱るなどと……!私はただ女二の宮さまの夫として此度のように私の知らぬところで遊びに行かれるのは__、」
「大将どのは好きに宇治なり二条院なりへ行かれるのに?」
「!、っそれは、」
浮舟に会いに宇治に、中君に懸想して二条院にふらふら出歩いてる身としちゃ言い返せないわよねぇ。
「確認したいのですけれど、私が女性の友人に会いに出掛けるのはそんなに咎め立てされることでしたでしょうか……?」
「い、いえ……」
目が宙を泳いでる。
さっきの勢いどこ行った?
「それに此度の外出は浮舟さまが姉君である中君さまがお会いになりたいと文を寄越されてのもの、私はそれに便乗しただけですわよ?こちらに嫁いでからというもの一度も外出などしたことがなかったのですもの。部屋に籠りきりにも飽いていたところ、久し振りに楽しゅうございました」
「はっ……、そのようにまさか退屈しておられたとは、行き届かず申し訳ありません!」
あ 臣下モードに戻った。
「そうですか、中君さまが……斯様なこととは存じ上げず、失礼を申しました」
「わかって下さればよろしいのです、浮舟さまだけでは心細いご様子でしたし私も年の近い女性とお話してみたかったので同道を申し出た次第ですの、匂宮さまの乱入で場が乱れてしまいましたので後日仕切り直しましょうとなりましたのよ?」
「はっ、そうでしたか……乱入?」
「ええ。兄宮さまはご自分に都合の良い所しか話さなかったのですわね、いきなり女房たち全員に下がるよう命じてから、徐に浮舟さまの顔をまじまじと見ようとなさったから私慌てて止めましたのよ?」
一応いきなり顎クイかましたことは避けて(浮舟ちゃんにとっても恥になることだからね、本人悪くないんだけど!)報告しておく。
匂宮に言い分だけを信じこまれては敵わないし、この人も浮舟ちゃんに関して匂宮は危険人物だと認識してもらわないと。
いくら仲の良い友人同士でも、火遊びは他所でやれ!
「ふん……いくら妹宮であろうと俺を邪険になどするからだ」
今頃薫に責められているだろう。奴は一本気で真面目だから、俺が苦言を呈せば 自分の細君である女二の宮を責めるに決まっている。
「降嫁する前はあれ程生意気ではなかったものを……だが、」
あそこまで、美しいとも思わなかった。
浮舟は可愛らしいが、加えて親王の気品と薫大将の正室という重々しさが加わわった女二の宮は容姿の整い具合もさることながら自分を堂々と諌めた姿も凛として美しかった。
「蓮花、と名乗ったな……」
今まで承香殿の女御が付けた姫宮の名など気にしたことがなかったが__名乗りながら立ち上がる姿がまた美しかった。
邪険に扱われたことを思い返すと腹立たしいが、あの美しさを想うと胸が苦しい。
当人には盛大にディスられてるとも知らず、恋に惑う自分に酔いしれる男・匂宮だった。
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