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アンサー編 結末
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本日五話目の投稿です、ご注意下さい。
また、感想欄は最終話投稿時まで閉じさせていただいておりますm(_ _)m
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「それで?その身の程知らずの令嬢はどこの国の貴族なの?」
「そ、それが……、」
「なぁに?まさか貴女知らないの?そんなことも調べずに私に報告したの?」
「い、いえ!ですが、その_…申し訳ありません」
そう言って目を逸らすメイドに瞳を吊りあげるさまは、アベルが近くにいる時には見られなかったものだ。
「知らないのでなく、言えないのですよ、王女殿下」
そう割って入ってきたのは騎士団長だ。アベルの上官でもある。
「騎士団長!どうしてここに__あ!アベルが戻ってきたの?!」
喜色が混じる声色に寒気を覚えながら、
「いいえ。アベルは戻りません。ペンタスからも手配犯とされた奴が騎士に戻れることはもうないでしょう」
「手配犯?!どういうことなの?」
「そんなことより王女殿下、先ほどの話は宜しいのですか?」
「あ!そうだわ!あなた何か知っているの?!」
「ええ。ルイスティリス王子殿下の妃となったのは、この国の貴族の令嬢です」
「なんですって?!」
「王女殿下もよくご存知の令嬢ですよ」
「騎士団長!それ以上は__!」
「貴女は黙ってなさい!」
「っ、はい……」
「相変わらずですね、貴女は。申し訳ない、メイドどの。老婆心ながら時には仕える相手を見極めることも考えよ、己が身が大事ならな」
そう小声でメイドに囁くネイトに、
「何をごちゃごちゃ言っているの?!私の質問に答えなさい!この国の騎士が私の命令が聞けないというの?!」
「私はもうこの国の騎士ではありません、先ほど辞表を提出してきましたので。こちらへは、最後のご挨拶に参った次第で、、お話の内容が偶然耳に入ったものですから」
「は?辞めた?なぜ……」
誉れ高い国の騎士団のトップに登り詰めながら、その座を捨てるなんて?とエルローゼの表情が言っているがネイトは意に介さない。
ここに寄ったのは、最後に会った時の王女の様子をルイス王子に報告する為だ。
それによってこれからのカザムの処遇も決まってゆくだろう、ナディアは既にあちらに行っているため、ネイトには既に迷いはない。
「先程のメイドどのは主である貴女を慮って言わなかったのですよ。ルイス王子殿下が妃として連れ帰ったのはマリーローズ様です」
「……は……?」
「貴女を含む王家にさんざん振り回され、人生を台無しにされそうになったセントレイ伯爵家の令嬢、マリーローズ様ですよ」
「馬鹿なことを言わないで!あの方はアベルの奥さんじゃない!それがどうして_…」
「元騎士アベルとマリーローズ様の婚姻は教会によって白い結婚だと証明され、それと同時にペンタスより正式に婚約の打診をされたのですよ。ペンタスからの護衛団や使者もセントレイ伯爵家に滞在し、ルイス王子殿下自らそれは大切そうにペンタスにお連れになりました」
「嘘よ!!」
「どう言っても貴女はそう叫び続けるのでしょうね__これからは、そうもいかないでしょうが。では、私はこれで」
ネイトが去った後も、エルローゼはへたり込んだまま動けなかった。
メイドが他のメイドや医師を呼んできても、他でもない自分に格別甘い父国王がやって来てもしばらく動かなかったが、
「どう、して……?マリーローズさま、私をそんなに恨んでいたの……?」
私はちゃんと祝福したのに。寂しくても我慢したのに。
それなのに、私の王子さまを奪るなんて……、
「なんて人なの?!大して美人でもないくせに!たかだか伯爵家の娘のくせに!!なのにアベルと結婚させてあげたのよ?!なのに、よくも_…!」
「落ち着け、エルローゼ!」
「私は何も悪いことなんてしてないのに!こんな一方的に憎まれるなんてっ!なんて心根の貧しい人なの?!あんな「エルローゼ!」、お父さま!!酷いわ、マリー…」
「皆、出よ!誰もこの部屋に近づけるでない!」
国王はこの出来事に関して緘口令を敷いたが遅かった。
既に騎士アベルの不誠実な行動とそれを助長した王家の話は国中に広まっており、この一件で王女を神聖視していた者の目も覚め、退職者が続出した。
さらにペンタスが自国の妃を罵倒したとしてカザムに激しく抗議し、周辺国もそれに倣ったためカザムは孤立し、衰退していくこととなるが、元凶はそれを知らずにいた。
マリーローズを罵倒し、キーキーと叫ぶことしかしなくなった王女は、間もなくして発狂死したからだ。
ギョロリと目を向き、口からは涎をだらだらと流しながら、いつものように叫んだ口を閉じることができず、舌を出したまま息を止めた姿は“妖精のよう“と称えられた姿とはほど遠く、“老婆のよう“と例えるのさえ失礼な有り様で、とても人目にさらせるものではなく、ただ“病死した“とだけ発表された。
*・
マリーローズは幼い頃にルイスとエルローゼ王女が知り合っていたことなど知らないし、ルイスはもちろん、知っているはずの側近たちも言うことはなかった。
マリーローズは一生、この件について知ることはなく、ルイスの妃として大事にされ、子供たちにも恵まれて幸福な一生を送ることとなる。
また、感想欄は最終話投稿時まで閉じさせていただいておりますm(_ _)m
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「それで?その身の程知らずの令嬢はどこの国の貴族なの?」
「そ、それが……、」
「なぁに?まさか貴女知らないの?そんなことも調べずに私に報告したの?」
「い、いえ!ですが、その_…申し訳ありません」
そう言って目を逸らすメイドに瞳を吊りあげるさまは、アベルが近くにいる時には見られなかったものだ。
「知らないのでなく、言えないのですよ、王女殿下」
そう割って入ってきたのは騎士団長だ。アベルの上官でもある。
「騎士団長!どうしてここに__あ!アベルが戻ってきたの?!」
喜色が混じる声色に寒気を覚えながら、
「いいえ。アベルは戻りません。ペンタスからも手配犯とされた奴が騎士に戻れることはもうないでしょう」
「手配犯?!どういうことなの?」
「そんなことより王女殿下、先ほどの話は宜しいのですか?」
「あ!そうだわ!あなた何か知っているの?!」
「ええ。ルイスティリス王子殿下の妃となったのは、この国の貴族の令嬢です」
「なんですって?!」
「王女殿下もよくご存知の令嬢ですよ」
「騎士団長!それ以上は__!」
「貴女は黙ってなさい!」
「っ、はい……」
「相変わらずですね、貴女は。申し訳ない、メイドどの。老婆心ながら時には仕える相手を見極めることも考えよ、己が身が大事ならな」
そう小声でメイドに囁くネイトに、
「何をごちゃごちゃ言っているの?!私の質問に答えなさい!この国の騎士が私の命令が聞けないというの?!」
「私はもうこの国の騎士ではありません、先ほど辞表を提出してきましたので。こちらへは、最後のご挨拶に参った次第で、、お話の内容が偶然耳に入ったものですから」
「は?辞めた?なぜ……」
誉れ高い国の騎士団のトップに登り詰めながら、その座を捨てるなんて?とエルローゼの表情が言っているがネイトは意に介さない。
ここに寄ったのは、最後に会った時の王女の様子をルイス王子に報告する為だ。
それによってこれからのカザムの処遇も決まってゆくだろう、ナディアは既にあちらに行っているため、ネイトには既に迷いはない。
「先程のメイドどのは主である貴女を慮って言わなかったのですよ。ルイス王子殿下が妃として連れ帰ったのはマリーローズ様です」
「……は……?」
「貴女を含む王家にさんざん振り回され、人生を台無しにされそうになったセントレイ伯爵家の令嬢、マリーローズ様ですよ」
「馬鹿なことを言わないで!あの方はアベルの奥さんじゃない!それがどうして_…」
「元騎士アベルとマリーローズ様の婚姻は教会によって白い結婚だと証明され、それと同時にペンタスより正式に婚約の打診をされたのですよ。ペンタスからの護衛団や使者もセントレイ伯爵家に滞在し、ルイス王子殿下自らそれは大切そうにペンタスにお連れになりました」
「嘘よ!!」
「どう言っても貴女はそう叫び続けるのでしょうね__これからは、そうもいかないでしょうが。では、私はこれで」
ネイトが去った後も、エルローゼはへたり込んだまま動けなかった。
メイドが他のメイドや医師を呼んできても、他でもない自分に格別甘い父国王がやって来てもしばらく動かなかったが、
「どう、して……?マリーローズさま、私をそんなに恨んでいたの……?」
私はちゃんと祝福したのに。寂しくても我慢したのに。
それなのに、私の王子さまを奪るなんて……、
「なんて人なの?!大して美人でもないくせに!たかだか伯爵家の娘のくせに!!なのにアベルと結婚させてあげたのよ?!なのに、よくも_…!」
「落ち着け、エルローゼ!」
「私は何も悪いことなんてしてないのに!こんな一方的に憎まれるなんてっ!なんて心根の貧しい人なの?!あんな「エルローゼ!」、お父さま!!酷いわ、マリー…」
「皆、出よ!誰もこの部屋に近づけるでない!」
国王はこの出来事に関して緘口令を敷いたが遅かった。
既に騎士アベルの不誠実な行動とそれを助長した王家の話は国中に広まっており、この一件で王女を神聖視していた者の目も覚め、退職者が続出した。
さらにペンタスが自国の妃を罵倒したとしてカザムに激しく抗議し、周辺国もそれに倣ったためカザムは孤立し、衰退していくこととなるが、元凶はそれを知らずにいた。
マリーローズを罵倒し、キーキーと叫ぶことしかしなくなった王女は、間もなくして発狂死したからだ。
ギョロリと目を向き、口からは涎をだらだらと流しながら、いつものように叫んだ口を閉じることができず、舌を出したまま息を止めた姿は“妖精のよう“と称えられた姿とはほど遠く、“老婆のよう“と例えるのさえ失礼な有り様で、とても人目にさらせるものではなく、ただ“病死した“とだけ発表された。
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マリーローズは幼い頃にルイスとエルローゼ王女が知り合っていたことなど知らないし、ルイスはもちろん、知っているはずの側近たちも言うことはなかった。
マリーローズは一生、この件について知ることはなく、ルイスの妃として大事にされ、子供たちにも恵まれて幸福な一生を送ることとなる。
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