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アンサー編 プティ・ロゼ
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本日三話目の投稿です、ご注意下さい。
また、感想欄は最終話投稿時まで閉じさせていただいておりますm(_ _)m
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
金色の髪の小さな女の子が佇んでいる。
泣いていたようだ。
「……が、__…たの」
「そうか。それは悲しいね。好きなだけ泣くといい、ここには僕しかいないから」
「泣いてるところは、人に見せちゃいけないって」
「だったら内緒にしてあげる。これからは君が泣きたい時は、僕が隠す役目をしてあげるよ」
「……ずっと?」
「ずっと」
金色の髪の少女が、輝くような笑みを浮かべて頷いた。
「約束するよ。君が僕のプティ・ロゼだ」
やがて瞳の奥の光景が消えていき、ルイスは目を覚ました。
「全く……すぐ近くのベッドがあるのに何故いつもソファで寝るんですか貴方は?」
「何故だろうな?騎士でいた頃の名残りだろうか」
「んなわけないでしょう、騎士より王子やってる期間の方がずっと長いのに…_何の夢を見ていたのですか?」
「子供の頃の夢だ。寝言でも言ってたか?」
「声じゃなく顔です。ニヤついてました」
「ニヤ?おい、せめて微笑んでいたとか言い様があるだろう」
「わかりやすくやにさがっていました」
「くそ、それは不味いな。マリーローズに見られないようにしないと_…」
そう焦る主君に、カミユは少し反省した。
「嘘です、やに下がってはいませんでしたよ」
「お前なぁ……!」
とても幸せそうに微笑んでいたので、ついからかいたくなってしまった__今も責め立てる主君の顔は決して怒ってはいない。
妃殿下__マリーローズ嬢を迎えてからこっち、彼の主君はとにかく終始幸せそう(たとえ妃殿下からハリセンをくらっても)で、見ているこちらが違う人格にとって変わられたのかと思うくらい恋する男になった。
まあ、相手が親友の妹君でしかも聡明な令嬢だったので臣下一同はホッとした。
「うちの第三王子殿下の選んだ方がマリーローズ嬢で本当に良かった……!」
と。
(もしあの王女が来ていたら、災いの種になりかねなかったろう__カザム王家は最早風前の灯だ。悪意があるにしろないにせよ、あの言動は目に余る)
ペンタスの直系王族が持つ瞳は“幸福を呼ぶ瑠璃“と称され、その伴侶を“幸せの薔薇“と呼ぶ。
直系王族は瑠璃色の髪や瞳、そして“恩寵“を授かって生まれる者が多く、この王族は選んだただひとりの伴侶のために、ペンタスの国花である薔薇(そもそもペンタスにしか咲かない、透明で小振りの薔薇)を伴侶の色に変えることができるという。
ただの伝承だと思われがちだが、これは事実だ。
実際にはクラウン・ブルーを持つ王族が愛する伴侶と幸福を感じることで恩寵は強くも弱くもなるもので、ペンタスはそのお陰で沈まぬ帝国を維持していると言っても過言ではない。
確実に勝てるのに戦争が起こらないのは、現帝国王夫妻が好まないからである。
尤も帝国王が好まなくても、その伴侶が「あの国の領土が欲しい」と言ったらとって来てしまうのがペンタスの王族である。
そして何故かペンタスの王族は争いを好まないくせに戦闘能力が高い。
先祖に獣人族がいたからだとか、初代皇帝妃がエルフだったからとか言われているが、確かなことはわからない。
わかるのはその瑠璃の祝福は確かだということだ。
そしてその祝福は王族が選んだ伴侶が野心家だった場合、災厄の種になり得る。
だからこそ慎重に__否、見合いなど勧めても無駄であるから、外部との出会いを遮断せず、選んだ相手に口出しせず。が暗黙の了解となっている。
なっているが、相手の人格が難ありだった場合、大いに問題である事から出会った相手は徹底的に調査(もちろん当人には内緒で)が必須である。
その必須において、兄弟姉妹の結婚調査に大いに貢献したのがルイスだ。
ルイスの恩寵は“獣人の耳“__つまり異常に発達した聴覚で、かなり遠い場所や防音の密室の音声まで難なく聞きとることが出来る。
ペンタスの王女は国力の一点集中を防ぐためと友好の証として他国に嫁ぎ、王子は国に留まって治世を助けるのがペンタスでは慣例となっている。
その王女の伴侶の見定めと自国の令嬢の裏の顔などを見抜くのに、ルイスの能力は大いに役立った。
そしてペンタスは基本王子が迎えたい妃に高い身分など求めない。
身分より大事なのは中身、要は王子本人が幸せを感じるかが重要で、その王子も伴侶に選んだ相手を全力で幸せにしようとする。
それは過去史にある絶対的な番を求める本能に似ているが、そこまで衝動的ではない。
ルイスの調査により“アレはヤバい“となった場合、「なら仕方ない」と諦める程度の自制は皆働いている。
だが、兄弟姉妹の相手を調査しまくったルイス本人がその間に散々人の嫌な所を見たせいで人間不信に陥り、なかなか相手が見つからなかった。
そんな時に、カザムから招待状が届いたのだ。
結果、
「みつけた、俺のプティ・ロゼ」
とルイスが呟いたのはマリーローズの容赦ない一撃を目の当たりにしてから割とすぐだった。
その後恩寵の力はさらに強まった。
小さな薔薇が一本にたくさんつく国花の薔薇は、王族が自分の外見を変えられるのと同様に、好きな色に変えることができる。
そんな薔薇を王城に連れてきて初めて見せたルイスは、マリーローズの目の前で薔薇の色を変えて見せた。
「僕のはこれだよ、君の瞳。君が僕のプティロゼだ」
また、感想欄は最終話投稿時まで閉じさせていただいておりますm(_ _)m
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
金色の髪の小さな女の子が佇んでいる。
泣いていたようだ。
「……が、__…たの」
「そうか。それは悲しいね。好きなだけ泣くといい、ここには僕しかいないから」
「泣いてるところは、人に見せちゃいけないって」
「だったら内緒にしてあげる。これからは君が泣きたい時は、僕が隠す役目をしてあげるよ」
「……ずっと?」
「ずっと」
金色の髪の少女が、輝くような笑みを浮かべて頷いた。
「約束するよ。君が僕のプティ・ロゼだ」
やがて瞳の奥の光景が消えていき、ルイスは目を覚ました。
「全く……すぐ近くのベッドがあるのに何故いつもソファで寝るんですか貴方は?」
「何故だろうな?騎士でいた頃の名残りだろうか」
「んなわけないでしょう、騎士より王子やってる期間の方がずっと長いのに…_何の夢を見ていたのですか?」
「子供の頃の夢だ。寝言でも言ってたか?」
「声じゃなく顔です。ニヤついてました」
「ニヤ?おい、せめて微笑んでいたとか言い様があるだろう」
「わかりやすくやにさがっていました」
「くそ、それは不味いな。マリーローズに見られないようにしないと_…」
そう焦る主君に、カミユは少し反省した。
「嘘です、やに下がってはいませんでしたよ」
「お前なぁ……!」
とても幸せそうに微笑んでいたので、ついからかいたくなってしまった__今も責め立てる主君の顔は決して怒ってはいない。
妃殿下__マリーローズ嬢を迎えてからこっち、彼の主君はとにかく終始幸せそう(たとえ妃殿下からハリセンをくらっても)で、見ているこちらが違う人格にとって変わられたのかと思うくらい恋する男になった。
まあ、相手が親友の妹君でしかも聡明な令嬢だったので臣下一同はホッとした。
「うちの第三王子殿下の選んだ方がマリーローズ嬢で本当に良かった……!」
と。
(もしあの王女が来ていたら、災いの種になりかねなかったろう__カザム王家は最早風前の灯だ。悪意があるにしろないにせよ、あの言動は目に余る)
ペンタスの直系王族が持つ瞳は“幸福を呼ぶ瑠璃“と称され、その伴侶を“幸せの薔薇“と呼ぶ。
直系王族は瑠璃色の髪や瞳、そして“恩寵“を授かって生まれる者が多く、この王族は選んだただひとりの伴侶のために、ペンタスの国花である薔薇(そもそもペンタスにしか咲かない、透明で小振りの薔薇)を伴侶の色に変えることができるという。
ただの伝承だと思われがちだが、これは事実だ。
実際にはクラウン・ブルーを持つ王族が愛する伴侶と幸福を感じることで恩寵は強くも弱くもなるもので、ペンタスはそのお陰で沈まぬ帝国を維持していると言っても過言ではない。
確実に勝てるのに戦争が起こらないのは、現帝国王夫妻が好まないからである。
尤も帝国王が好まなくても、その伴侶が「あの国の領土が欲しい」と言ったらとって来てしまうのがペンタスの王族である。
そして何故かペンタスの王族は争いを好まないくせに戦闘能力が高い。
先祖に獣人族がいたからだとか、初代皇帝妃がエルフだったからとか言われているが、確かなことはわからない。
わかるのはその瑠璃の祝福は確かだということだ。
そしてその祝福は王族が選んだ伴侶が野心家だった場合、災厄の種になり得る。
だからこそ慎重に__否、見合いなど勧めても無駄であるから、外部との出会いを遮断せず、選んだ相手に口出しせず。が暗黙の了解となっている。
なっているが、相手の人格が難ありだった場合、大いに問題である事から出会った相手は徹底的に調査(もちろん当人には内緒で)が必須である。
その必須において、兄弟姉妹の結婚調査に大いに貢献したのがルイスだ。
ルイスの恩寵は“獣人の耳“__つまり異常に発達した聴覚で、かなり遠い場所や防音の密室の音声まで難なく聞きとることが出来る。
ペンタスの王女は国力の一点集中を防ぐためと友好の証として他国に嫁ぎ、王子は国に留まって治世を助けるのがペンタスでは慣例となっている。
その王女の伴侶の見定めと自国の令嬢の裏の顔などを見抜くのに、ルイスの能力は大いに役立った。
そしてペンタスは基本王子が迎えたい妃に高い身分など求めない。
身分より大事なのは中身、要は王子本人が幸せを感じるかが重要で、その王子も伴侶に選んだ相手を全力で幸せにしようとする。
それは過去史にある絶対的な番を求める本能に似ているが、そこまで衝動的ではない。
ルイスの調査により“アレはヤバい“となった場合、「なら仕方ない」と諦める程度の自制は皆働いている。
だが、兄弟姉妹の相手を調査しまくったルイス本人がその間に散々人の嫌な所を見たせいで人間不信に陥り、なかなか相手が見つからなかった。
そんな時に、カザムから招待状が届いたのだ。
結果、
「みつけた、俺のプティ・ロゼ」
とルイスが呟いたのはマリーローズの容赦ない一撃を目の当たりにしてから割とすぐだった。
その後恩寵の力はさらに強まった。
小さな薔薇が一本にたくさんつく国花の薔薇は、王族が自分の外見を変えられるのと同様に、好きな色に変えることができる。
そんな薔薇を王城に連れてきて初めて見せたルイスは、マリーローズの目の前で薔薇の色を変えて見せた。
「僕のはこれだよ、君の瞳。君が僕のプティロゼだ」
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