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23 修羅場の前
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夜会に着ていくドレスはフォレストグリーンを選んだ。
フォレストグリーンの一枚生地で作られたものだったら大人っぽすぎたろうが、これはスカート部分に薄いオーガンジーを重ね合わせたもので、動くたびにふわりと広がる感じがとても綺麗で即決だった。
デビュタントのようなドレスだがマリーローズだってデビューしてからまだ一年、見た目の少女っぽさもばっちりなのでとてもよく似合っている。
エスコートをかって出たルイスが黒髪黒目なので、トップスには黒のジレ(短くしたチョッキみたいなやつ)を羽織った。
胸元がチューブトップのような肩出しドレスなので露出が抑えられてちょうど良い。
胸元のブローチも黒にして、パートナーとの相性もばっちりだ。
ルイスは騎士の礼装で基本的に黒だが、胸元のチーフやカフス等の差し色にフォレストグリーンを入れてもらい、胸元のブローチもフォレストグリーンだ。
名目上は夫婦(なってないけど)のお披露目ということになっているので、ルイスと入場した後王女の護衛の任から一旦離れたアベルが迎えに来ることになっている。
嫌だけど。
うん、嫌だけど。
ものすごーく嫌だけど仕方ない、国王が“新しい騎士伯夫妻を祝福したい“とかほz、いや宣ってるそうだから(さすがあの王女の製造元!)
どうせ紹介終わったらあの似非騎士は王女の所に戻るのだろうし、このドレスでルイスと並んでいる所を見せれば夫婦仲なんて破綻しているのは一目瞭然だろう。
一方のアベルは、漸く夜会でマリーローズの手が取れると(経緯はどうあれ)喜んでいたが、父親たちから「いいか、決してマリーローズを怒らせるな」としつこく言い聞かされていた。
「わかっていますよ父上。それに今回の夜会ではマリーローズと合流した後護衛の任に戻る事はありません。親しくしている者たちにマリーローズを紹介してまわるつもりです」
「それは_…マリーローズ嬢が良しとしてくれればいいが、難しいだろうな」
「まあ覚悟しておくべきでしょうな」
“あの状態のマリーローズが大人しくアベルの言うままになるはずがない“と父親たちは確信していた。
そして両家の母親たちはそれを全力で援護するだろう。
とりあえず夜会で“離婚“という単語が飛び交う事態だけは避けたい父親たちは、
「いいか?!欲をかくな!とにかく挨拶だけでいい、挨拶だけ済ませたらマリーローズのことは夫人たちに任せろ!」
と諭す父親に、
「何故です?この夜会は」
やはりズレた反応をするアベルだが、マリーローズだけでなく妻も怖い男たちは続けた。
「お前がどう取ってるか知らんが、この夜会は私たち侯爵家とセントレイ伯爵家をも軽視したものだ。こちらが最低限の礼儀ですませても文句は言わせん」
「貴方が王女の婿でも愛妾狙いでも最早構わん、娘の前で王女の名前を出すな、王家を称賛するな!やりたきゃ他でやってくれ。でないと……」
「でないと?」
「「広間のど真ん中で、離婚宣言されるぞ」」
こう滔々と諭した父親たちの言葉がアベルに届いたかというと結果、届いてはいた__表面上は。
実直とはよく言ったもので、この男にその言葉の真意とか裏を読み取るとか、そんな芸当は不可能だったのだ。
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
すみません、この先まで書いてから投稿したかったのですが熱中症なのか風邪なのか、じわじわ発熱してダウン中です。
復活したらスパートかけますので少々お待ちをm(_ _)m
フォレストグリーンの一枚生地で作られたものだったら大人っぽすぎたろうが、これはスカート部分に薄いオーガンジーを重ね合わせたもので、動くたびにふわりと広がる感じがとても綺麗で即決だった。
デビュタントのようなドレスだがマリーローズだってデビューしてからまだ一年、見た目の少女っぽさもばっちりなのでとてもよく似合っている。
エスコートをかって出たルイスが黒髪黒目なので、トップスには黒のジレ(短くしたチョッキみたいなやつ)を羽織った。
胸元がチューブトップのような肩出しドレスなので露出が抑えられてちょうど良い。
胸元のブローチも黒にして、パートナーとの相性もばっちりだ。
ルイスは騎士の礼装で基本的に黒だが、胸元のチーフやカフス等の差し色にフォレストグリーンを入れてもらい、胸元のブローチもフォレストグリーンだ。
名目上は夫婦(なってないけど)のお披露目ということになっているので、ルイスと入場した後王女の護衛の任から一旦離れたアベルが迎えに来ることになっている。
嫌だけど。
うん、嫌だけど。
ものすごーく嫌だけど仕方ない、国王が“新しい騎士伯夫妻を祝福したい“とかほz、いや宣ってるそうだから(さすがあの王女の製造元!)
どうせ紹介終わったらあの似非騎士は王女の所に戻るのだろうし、このドレスでルイスと並んでいる所を見せれば夫婦仲なんて破綻しているのは一目瞭然だろう。
一方のアベルは、漸く夜会でマリーローズの手が取れると(経緯はどうあれ)喜んでいたが、父親たちから「いいか、決してマリーローズを怒らせるな」としつこく言い聞かされていた。
「わかっていますよ父上。それに今回の夜会ではマリーローズと合流した後護衛の任に戻る事はありません。親しくしている者たちにマリーローズを紹介してまわるつもりです」
「それは_…マリーローズ嬢が良しとしてくれればいいが、難しいだろうな」
「まあ覚悟しておくべきでしょうな」
“あの状態のマリーローズが大人しくアベルの言うままになるはずがない“と父親たちは確信していた。
そして両家の母親たちはそれを全力で援護するだろう。
とりあえず夜会で“離婚“という単語が飛び交う事態だけは避けたい父親たちは、
「いいか?!欲をかくな!とにかく挨拶だけでいい、挨拶だけ済ませたらマリーローズのことは夫人たちに任せろ!」
と諭す父親に、
「何故です?この夜会は」
やはりズレた反応をするアベルだが、マリーローズだけでなく妻も怖い男たちは続けた。
「お前がどう取ってるか知らんが、この夜会は私たち侯爵家とセントレイ伯爵家をも軽視したものだ。こちらが最低限の礼儀ですませても文句は言わせん」
「貴方が王女の婿でも愛妾狙いでも最早構わん、娘の前で王女の名前を出すな、王家を称賛するな!やりたきゃ他でやってくれ。でないと……」
「でないと?」
「「広間のど真ん中で、離婚宣言されるぞ」」
こう滔々と諭した父親たちの言葉がアベルに届いたかというと結果、届いてはいた__表面上は。
実直とはよく言ったもので、この男にその言葉の真意とか裏を読み取るとか、そんな芸当は不可能だったのだ。
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
すみません、この先まで書いてから投稿したかったのですが熱中症なのか風邪なのか、じわじわ発熱してダウン中です。
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