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17 ロード家使用人の憂鬱
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「いいですか?奥様は場末の女じゃないんですよ、夫人は伯爵家で大事に育てられた箱入りのお嬢様ですよ?!」
「……そんなことはわかっている」
式の準備で訪れた伯爵邸でも、彼女が大事にされているのは見てとれた。
「……分かっていてなんであの態度になるんです。一体誰に何を吹き込まれたら、由緒正しい伯爵家から嫁いできた妻があんな扱いになるんです?!」
「いや、誠意は尽くs「尽くしてません!!、」
「全然!全く!!一切!!!貴方から奥様への誠意などひとかけらも見て取れません!!」
「……血管が切れるぞ?」
「わーたしの血管なぞどうでもよろしい!!」
「いや、よくはないだろう。お前に倒れられたら私が困る」
「使用人への気遣いは出来るのに何故奥様への気遣いができないのです?!」
「妻と使用人は違う」
「そりゃあ違いますよ。天使と悪魔、使用人と国王、利き手と切断された手首、芋虫と妖精の女王くらい違います!」
「例えが極端だな。しかも物騒だ」
「……押し問答をしている場合ではありませんよ旦那様。それにただの比喩ではございません。旦那様の脳内でどうなっているのか知りませんが、妻というのは使用人ではございません。特に離婚率の高い騎士の夫人なんてものは、女王様のように頭にいただいて大事にしてちょうど良いのです。それが他家で大事に育てられたお嬢様なら尚更、天使を抱くように丁寧に扱わなければ色々壊れます。わかってますか?奥様にとって今の旦那様は悪魔、ハンナ嬢にとっては芋虫ですよ?セントレイ伯爵家からしたら利き手を切断されてもおかしくない所業です。結婚式の最中に他の女性を守りに駆け付ける、その事に対しまともな詫びのひとつもできないどころか贈り物をする事すら他人に言われないと思いつかない。だ・れ・が!こんな奴に!!娘をくれてやるって言うんです、私だったら絶対御免ですね!!!これが世に知れたら貴方と結婚したいなんて女性絶対!二度と!!現れませんからね?!貴方が王女の愛妾になりたいのなら別ですがっ!」
「あ、愛妾?」
「交代しますわモンドさん。旦那様は未だぴんと来てないご様子。マナーを教える前にそれがどうして必要なのかを教えて差し上げないと」
と言ってマリアが延々語って聞かせたのは、
『浮気をした男が妻にその浮気相手と共に徹底的に破滅させられた話』
『妻に内緒で内縁の妻を囲っていた男の血まみれな末路』
『婚約者を蔑ろにして別の女性を優先した男の絵に描いたような転落話』
マリアはこういった恐ろしい夫婦劇・婚約破棄の顛末(それも結末がめちゃくちゃ悲惨なやつ)を御伽話のように延々と語って聞かせた。
静かに淡々と続くそれは、口調が優しいだけに余計恐ろしい。
最初眉を顰めるだけだったアベルが顔色を青くして俯いた頃、
「では、そうならない為にどう接するべきか勉強致しましょう、坊っちゃま」
__怖い。
思ったのはアベルだけでなくモンドもだったが、止めるつもりはなかった。
奥様__モンドとマリアが知る限り、マリーローズは以前はおっとりした夢見がちな瞳をした少女だった。
それが今は夫に躊躇いなく冷や水を(比喩でなく)浴びせる女性に変わってしまった。
結婚式があまりにも悲惨だったからだろう、すっかりこの主人に愛想を尽かし、性格まで変わってしまった(実際には中の人格がそもそも違うのだが)のだろうことはマリアもモンドも想像に難くない。
そしてこのマリアの授業(修行?)の成果を発揮する場面は意外と早く訪れた。
セントレイ伯爵家当主の名代を携えた騎士が派遣されてきたのに続き、セントレイ伯爵当主夫妻・カイゼル侯爵当主夫妻が揃ってこの邸に急遽訪問するという連絡が来たのは、結婚式から十日目の朝のことだった。
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
⭐︎補足⭐︎
アベルの両親=カイゼル侯爵夫妻
アベルの賜った現姓=ロード伯(騎士伯)
になります。
カイゼル夫妻が“ロード夫妻“になっている箇所があるようです、混乱させて申し訳ありません🙇♀️
本日出先からの更新です。色々直しが足りてなかったら申し訳ありません。
また、本日感想欄から頂いたご指摘に頓珍漢な返信をしてしまい、申し訳ありませんm(_ _)m。
ご指摘頂いた箇所の訂正、返信の書き直しをさせていただきました。ご指摘ありがとうございました!
まだまだ探せばやらかしていそうですが、見捨てず引き続きよろしくお付き合いくださいませ💦
「……そんなことはわかっている」
式の準備で訪れた伯爵邸でも、彼女が大事にされているのは見てとれた。
「……分かっていてなんであの態度になるんです。一体誰に何を吹き込まれたら、由緒正しい伯爵家から嫁いできた妻があんな扱いになるんです?!」
「いや、誠意は尽くs「尽くしてません!!、」
「全然!全く!!一切!!!貴方から奥様への誠意などひとかけらも見て取れません!!」
「……血管が切れるぞ?」
「わーたしの血管なぞどうでもよろしい!!」
「いや、よくはないだろう。お前に倒れられたら私が困る」
「使用人への気遣いは出来るのに何故奥様への気遣いができないのです?!」
「妻と使用人は違う」
「そりゃあ違いますよ。天使と悪魔、使用人と国王、利き手と切断された手首、芋虫と妖精の女王くらい違います!」
「例えが極端だな。しかも物騒だ」
「……押し問答をしている場合ではありませんよ旦那様。それにただの比喩ではございません。旦那様の脳内でどうなっているのか知りませんが、妻というのは使用人ではございません。特に離婚率の高い騎士の夫人なんてものは、女王様のように頭にいただいて大事にしてちょうど良いのです。それが他家で大事に育てられたお嬢様なら尚更、天使を抱くように丁寧に扱わなければ色々壊れます。わかってますか?奥様にとって今の旦那様は悪魔、ハンナ嬢にとっては芋虫ですよ?セントレイ伯爵家からしたら利き手を切断されてもおかしくない所業です。結婚式の最中に他の女性を守りに駆け付ける、その事に対しまともな詫びのひとつもできないどころか贈り物をする事すら他人に言われないと思いつかない。だ・れ・が!こんな奴に!!娘をくれてやるって言うんです、私だったら絶対御免ですね!!!これが世に知れたら貴方と結婚したいなんて女性絶対!二度と!!現れませんからね?!貴方が王女の愛妾になりたいのなら別ですがっ!」
「あ、愛妾?」
「交代しますわモンドさん。旦那様は未だぴんと来てないご様子。マナーを教える前にそれがどうして必要なのかを教えて差し上げないと」
と言ってマリアが延々語って聞かせたのは、
『浮気をした男が妻にその浮気相手と共に徹底的に破滅させられた話』
『妻に内緒で内縁の妻を囲っていた男の血まみれな末路』
『婚約者を蔑ろにして別の女性を優先した男の絵に描いたような転落話』
マリアはこういった恐ろしい夫婦劇・婚約破棄の顛末(それも結末がめちゃくちゃ悲惨なやつ)を御伽話のように延々と語って聞かせた。
静かに淡々と続くそれは、口調が優しいだけに余計恐ろしい。
最初眉を顰めるだけだったアベルが顔色を青くして俯いた頃、
「では、そうならない為にどう接するべきか勉強致しましょう、坊っちゃま」
__怖い。
思ったのはアベルだけでなくモンドもだったが、止めるつもりはなかった。
奥様__モンドとマリアが知る限り、マリーローズは以前はおっとりした夢見がちな瞳をした少女だった。
それが今は夫に躊躇いなく冷や水を(比喩でなく)浴びせる女性に変わってしまった。
結婚式があまりにも悲惨だったからだろう、すっかりこの主人に愛想を尽かし、性格まで変わってしまった(実際には中の人格がそもそも違うのだが)のだろうことはマリアもモンドも想像に難くない。
そしてこのマリアの授業(修行?)の成果を発揮する場面は意外と早く訪れた。
セントレイ伯爵家当主の名代を携えた騎士が派遣されてきたのに続き、セントレイ伯爵当主夫妻・カイゼル侯爵当主夫妻が揃ってこの邸に急遽訪問するという連絡が来たのは、結婚式から十日目の朝のことだった。
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
⭐︎補足⭐︎
アベルの両親=カイゼル侯爵夫妻
アベルの賜った現姓=ロード伯(騎士伯)
になります。
カイゼル夫妻が“ロード夫妻“になっている箇所があるようです、混乱させて申し訳ありません🙇♀️
本日出先からの更新です。色々直しが足りてなかったら申し訳ありません。
また、本日感想欄から頂いたご指摘に頓珍漢な返信をしてしまい、申し訳ありませんm(_ _)m。
ご指摘頂いた箇所の訂正、返信の書き直しをさせていただきました。ご指摘ありがとうございました!
まだまだ探せばやらかしていそうですが、見捨てず引き続きよろしくお付き合いくださいませ💦
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