〈完結・12/5補完あとがき追加〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫

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12 言わんこっちゃないと言うべきか、それ見たことかと言うべきか?

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「離婚__だと?」
「はい、離婚です。そんな難しいことは言っておりませんでしょう?」
「私たちは結婚して三日目だぞ?」
「その三日間__というか初日の最初から?ロード伯がはなからまともな夫を表向きですら演じる気がないのはよくわかりましたから、離婚が妥当です。次は最初から契約妻を求めるべきですね、既婚者という肩書きが欲しいのでしたら」
「馬鹿なことを_…、俺の妻は君だけだ!」
「ロード伯は加虐趣味がおありで?ますます嫌ですわ」
「違う!確かに結婚式を途中で抜けたことは悪いと思っている、だがそれだけで離婚などっ、」
ではありません、ロード伯はあの最悪な結婚式以降も一度だって私に対して正妻にふさわしい扱いをしたことがありません。結婚式をすっぽかした当日のフォローどころか連絡ひとつなく、翌朝 顔を合わせた時に“すまなかった“と挨拶ついでのひと言だけで済ませ、さらにはその翌日酔っ払って帰ってきたと思ったら、いきなり人をベッドに連れ込んで事を致そうとする始末。結婚式から初夜まで、平民の夫婦でもここまで酷くありませんわ。結婚式から夫が逃亡した時点で式は中止、結婚は無効です」
「それも莫大な慰謝料つきで離婚請求できる案件ですね、招待客だって怒って帰っててもおかしくないです。今回は王命での結婚式でしたから__まあめちゃくちゃにしたのも王室ですけど、招待客からのクレームがなかったってだけで」
「内心は面白い見せ物だったと思ってる方もいらっしゃるでしょうねぇ」
ハンナの辛辣な補足ににこやかに返すマリーローズに悲壮感はなく、それが余計にアベルには違和感を、モンドとマリアには言いしれない恐怖感を覚えさせた。

どうしたものかとマリアと顔を見合わせるモンドの耳に、ドアの外から声がかけられた。
「モンド様、こちらにおられますか?」
遠慮がちに声がかけられたのは場所のせいだろう、本来なら夫婦二人が篭っているはずの寝室である。
「何だ?用事なら後にしろ」
今はそれどころではない。

何しろ、このままでは迎えたばかりのこの邸の女主人がすぐにでも出て行ってしまうかもしれない事態なのだ。
何とか思い直していただかねば、と思案しているモンドの耳に、
「王宮より至急との使いが来ております。ただ今旦那さまはお出ましになれないと説明したのですが、火急の事態にて速やかに王城までお出まし願いたいと_…」
と今一番聞きたくないワードが耳に入り、
「この期に及んで……!旦那さま!一体何と言って帰ってこられたのですか?!まさか“一旦抜けるが直ぐに戻る“とでも?!」

__実直な家令が爆発した。


*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*



引き続きいただく数にアワアワしてしまう感想祭り、また他の作品への感想もありがとうございます!
まだ承認と誤字対応までしかできず申し訳ありません🙇‍♀️💦
もうちょっと文字数的にも頑張りたいのですが体力切れが早く、返信祭りは今しばらくお待ちをm(_ _)m
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