11 / 49
10 邸の主の呼び方色々。
しおりを挟む
マリアはまさか「一番使い古されたタオル」がこの邸の主人であるアベル用だとは思わなかったが、古くても洗濯はきちんとされているし他になかったので、濡れ鼠になっている主をタオルで拭き、
「一体何をやらかしたのですか?」
「皆さんも見ていたでしょう、この男は帰ってくるなりいきなりお嬢様をベッドに連れ込んであらぬことをしようとしたのです」
「いや、俺は初夜をしようと……」
「同僚の皆さまと盛り上がって一杯引っ掛けてお酒くさい息で帰ってくるなり、ですね。私は買われてきた娼婦か何かですか」
「__は?そんな経緯で?」
ハンナ不在の間にした会話をここで報告すると、ハンナだけでなくモンドにもマリアにも呆れかえった目を向けられた。
「ご主人様、それはあまりにも……、」
「いくらなんでも、、」
と自身に長く仕える使用人にも言われてしまい、
「結婚式は済んでいるのだぞ……?」
と心外そうに言うアベルに、
「結婚式が済んでいるいないの問題ではなく……」
「女性はそのように扱って良いものではありませんよ?」
「披露宴と初夜をすっぽかして他所に行った奴が何を」
「あいにく結婚式で挨拶したのは私だけですわ」
四者四様の返しがされ、モンドの背後に控える使用人は「見てない、聞いてない」を貫こうと必死に空気になろうとしていた__ガタイが良すぎて無理だったが。
「大体、何故お前たちがここに?」
彼らは普段は侍従として働いているが、夜には邸内外の見張りとして門や玄関ホールの外側で目を光らせているはずなのである。
「……ハンナ嬢が奥様の身が危ないのでそうせよと」
「何だと?」
何故邸の主人である自分よりメイドであるハンナの意向が優先されるのだと言い募ろうとしたところで、
「水と白湯、どちらが良いですか?」
「ま、待て……!」
「温かいお茶が飲みたいわ、ハンナ」
「は「かしこまりました」?」
「貴方には訊いてません、お嬢様がお飲みになるものの温度をお訊きしたまでです」
と徐にティーポットからカップに注ぎはじめた。
「下半身けd、いえロード卿は冷たい水と氷、熱湯、煮えたぎった油のどれに致しましょうか?」
「なっ?!私にそんなものを飲めと言うのか!!」
「飲みたかったらご自分でいれてください、いかが致しましょうかお嬢様」
とお茶のカップを手渡しながらマリーローズにだけ問う。
「煮えたぎった油?あなたそんなものまで持ってきたの?」
「たまたま調理場で仕込み中だったそうで」
いや突っ込むとこはそこじゃない、とモンドもマリアも侍従たちも思ったが自分たちの主人が結婚式をブッチした挙句盛大にやらかしたことだけはわかるので何も言えずにいた。
「獣の下半身が暴走した時には荒療治が必要かと」
__邸の主人の呼称がついに獣になった。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
引き続き感想祭りありがとうございます!
ひと言感想、誤字脱字報告何でもOKですよ~
こちらで承認しなくても一定の日数経てば承認されますし、頂いた感想は(本当に稀ですがただの悪口とかでない限りは)消したくないので……σ(^_^;)
まだ未知ですが、明日から更新時間が変わるかもしれませんm(__)m
「一体何をやらかしたのですか?」
「皆さんも見ていたでしょう、この男は帰ってくるなりいきなりお嬢様をベッドに連れ込んであらぬことをしようとしたのです」
「いや、俺は初夜をしようと……」
「同僚の皆さまと盛り上がって一杯引っ掛けてお酒くさい息で帰ってくるなり、ですね。私は買われてきた娼婦か何かですか」
「__は?そんな経緯で?」
ハンナ不在の間にした会話をここで報告すると、ハンナだけでなくモンドにもマリアにも呆れかえった目を向けられた。
「ご主人様、それはあまりにも……、」
「いくらなんでも、、」
と自身に長く仕える使用人にも言われてしまい、
「結婚式は済んでいるのだぞ……?」
と心外そうに言うアベルに、
「結婚式が済んでいるいないの問題ではなく……」
「女性はそのように扱って良いものではありませんよ?」
「披露宴と初夜をすっぽかして他所に行った奴が何を」
「あいにく結婚式で挨拶したのは私だけですわ」
四者四様の返しがされ、モンドの背後に控える使用人は「見てない、聞いてない」を貫こうと必死に空気になろうとしていた__ガタイが良すぎて無理だったが。
「大体、何故お前たちがここに?」
彼らは普段は侍従として働いているが、夜には邸内外の見張りとして門や玄関ホールの外側で目を光らせているはずなのである。
「……ハンナ嬢が奥様の身が危ないのでそうせよと」
「何だと?」
何故邸の主人である自分よりメイドであるハンナの意向が優先されるのだと言い募ろうとしたところで、
「水と白湯、どちらが良いですか?」
「ま、待て……!」
「温かいお茶が飲みたいわ、ハンナ」
「は「かしこまりました」?」
「貴方には訊いてません、お嬢様がお飲みになるものの温度をお訊きしたまでです」
と徐にティーポットからカップに注ぎはじめた。
「下半身けd、いえロード卿は冷たい水と氷、熱湯、煮えたぎった油のどれに致しましょうか?」
「なっ?!私にそんなものを飲めと言うのか!!」
「飲みたかったらご自分でいれてください、いかが致しましょうかお嬢様」
とお茶のカップを手渡しながらマリーローズにだけ問う。
「煮えたぎった油?あなたそんなものまで持ってきたの?」
「たまたま調理場で仕込み中だったそうで」
いや突っ込むとこはそこじゃない、とモンドもマリアも侍従たちも思ったが自分たちの主人が結婚式をブッチした挙句盛大にやらかしたことだけはわかるので何も言えずにいた。
「獣の下半身が暴走した時には荒療治が必要かと」
__邸の主人の呼称がついに獣になった。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
引き続き感想祭りありがとうございます!
ひと言感想、誤字脱字報告何でもOKですよ~
こちらで承認しなくても一定の日数経てば承認されますし、頂いた感想は(本当に稀ですがただの悪口とかでない限りは)消したくないので……σ(^_^;)
まだ未知ですが、明日から更新時間が変わるかもしれませんm(__)m
4,926
お気に入りに追加
6,097
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
わたしはくじ引きで選ばれたにすぎない婚約者だったらしい
よーこ
恋愛
特に美しくもなく、賢くもなく、家柄はそこそこでしかない伯爵令嬢リリアーナは、婚約後六年経ったある日、婚約者である大好きな第二王子に自分が未来の王子妃として選ばれた理由を尋ねてみた。
王子の答えはこうだった。
「くじで引いた紙にリリアーナの名前が書かれていたから」
え、わたし、そんな取るに足らない存在でしかなかったの?!
思い出してみれば、今まで王子に「好きだ」みたいなことを言われたことがない。
ショックを受けたリリアーナは……。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います
下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。
御都合主義のハッピーエンドです。
元鞘に戻ります。
ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。
小説家になろう様でも投稿しています。
「私が愛するのは王妃のみだ、君を愛することはない」私だって会ったばかりの人を愛したりしませんけど。
下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…結構逞しい性格を持ち合わせている。
レティシアは貧乏な男爵家の長女。実家の男爵家に少しでも貢献するために、国王陛下の側妃となる。しかし国王陛下は王妃殿下を溺愛しており、レティシアに失礼な態度をとってきた!レティシアはそれに対して、一言言い返す。それに対する国王陛下の反応は?
小説家になろう様でも投稿しています。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる