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9 有能なメイドは始まりの鐘を鳴らす
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部屋をでたハンナがまずしたのは、本来なら緊急時にしか使わない銅鑼を拝借して打ち鳴らし、使用人を集めることだった。
「緊急事態です!皆様手を貸してください!!」
と叫びながら邸内を徘徊すれば一分足らずで多くの使用人たちが集まってきた。
(使用人の教育はちゃんと出来てるみたいなのに、あの騎士様ときたら__はぁ)
と息を吐くと、
「な、何事ですかハンナさん」
「坊ちゃ、、旦那様に何かあったのですか?」
とやって来た家令とメイド頭に、
「モンドさん、こちらのご当主が乱心してこのままでは奥様が危険です。腕に覚えのある者を三名ほど連れて夫婦の寝室へ向かってください」
「ら、乱心……?」
「お酒を過ごしすぎて凶暴化しているのです」
「なんと……!畏まりました、直ちに」
と急ぎ足で動き出した家令を見送って、
「マリアさん、この家の閨教育はどうなさっているのか伺っても?」
「ね、閨教育……?!それは私の担当では、」
「それはわかってます」
普通、閨教育というのはその道のプロのお姉さんの手解きがつくものだから乳母に近いこのメイド頭は関与していないだろう。
__だが、あれはない。
「ほ、本当に坊っちゃまが奥様に無体な真似を?」
「ええ。ですのでもしかしてそのあたりの教育を受けておられないのかと」
言いながら自身の肩を銅鑼を叩く用の棒でポンポンするハンナの姿には大変迫力があり、質問に答える以外、誰も何も言えなかった。
もし下手に物申そうものなら、「貴様の頭をこの棒でかち割って銅鑼のようにいい音させてやろうかあぁん?」とでも言われそうだったからだ。
「そんなはずは……」
とかろうじて発したマリアに、
「どうぞご自分の目で確認なさってください。あと集まってくださった皆さま!!家中にある花瓶や盤やティーポットなど水を入れて運べる物ををできるだけ沢山集めてきてください。あと、それらを載せて運べるワゴンも。あ 中の水は全部いっぱいにして来てくださいねー!」
と告げて、
「私どもは部屋の前で待機を……あ タオルはどこでしょうか?一番上質なものと一番使い古したものをお借りしたいのですが」
とタオルを所望し、部屋の前でワゴンを引いて来た使用人からワゴンを受け取って今に至る。
よって、今ハンナの背後には非常に顔色を悪くした家令とメイド頭が控えていたが、目の前の惨状からあらかた察した。
どこからどう見ても迎えたばかりの新妻にモップで全力拒否されている主人の図に二人はとても残念なものを見る目をしていた。
そして何故かモンドの背後には邸の護衛を兼ねる屈強な使用人が付いて来ている__何故だ?
初めて入ったとはいえ、ここは夫婦の寝室だ。
使用人が軽々しく入って良い場所ではない。
「お前たち_…」
言いかけたアベルの目の端に花瓶を振りかぶるハンナの姿が入り、
「あ いや_…、まず話を聞こう」
「普通、ベッドに連れ込む前にするものです、話というのは」
コト、と静かに花瓶を下ろしたハンナは、
「遅くなりまして申し訳ありませんお嬢様。無事でようございました」
と優しく上質なタオルでマリーローズにかかった水滴を拭い、
「マリアさん、坊っちゃまの方はお任せします。私はお嬢様付きのメイドですので」
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
皆様のお陰でランキング上位&感想祭りを体験させていただき、本当に感謝です!
そろそろ体力が切れそうなので更新時間が遅れたら申し訳ありません&返信祭りはもう少しお待ちくださいm(_ _)m💦
「緊急事態です!皆様手を貸してください!!」
と叫びながら邸内を徘徊すれば一分足らずで多くの使用人たちが集まってきた。
(使用人の教育はちゃんと出来てるみたいなのに、あの騎士様ときたら__はぁ)
と息を吐くと、
「な、何事ですかハンナさん」
「坊ちゃ、、旦那様に何かあったのですか?」
とやって来た家令とメイド頭に、
「モンドさん、こちらのご当主が乱心してこのままでは奥様が危険です。腕に覚えのある者を三名ほど連れて夫婦の寝室へ向かってください」
「ら、乱心……?」
「お酒を過ごしすぎて凶暴化しているのです」
「なんと……!畏まりました、直ちに」
と急ぎ足で動き出した家令を見送って、
「マリアさん、この家の閨教育はどうなさっているのか伺っても?」
「ね、閨教育……?!それは私の担当では、」
「それはわかってます」
普通、閨教育というのはその道のプロのお姉さんの手解きがつくものだから乳母に近いこのメイド頭は関与していないだろう。
__だが、あれはない。
「ほ、本当に坊っちゃまが奥様に無体な真似を?」
「ええ。ですのでもしかしてそのあたりの教育を受けておられないのかと」
言いながら自身の肩を銅鑼を叩く用の棒でポンポンするハンナの姿には大変迫力があり、質問に答える以外、誰も何も言えなかった。
もし下手に物申そうものなら、「貴様の頭をこの棒でかち割って銅鑼のようにいい音させてやろうかあぁん?」とでも言われそうだったからだ。
「そんなはずは……」
とかろうじて発したマリアに、
「どうぞご自分の目で確認なさってください。あと集まってくださった皆さま!!家中にある花瓶や盤やティーポットなど水を入れて運べる物ををできるだけ沢山集めてきてください。あと、それらを載せて運べるワゴンも。あ 中の水は全部いっぱいにして来てくださいねー!」
と告げて、
「私どもは部屋の前で待機を……あ タオルはどこでしょうか?一番上質なものと一番使い古したものをお借りしたいのですが」
とタオルを所望し、部屋の前でワゴンを引いて来た使用人からワゴンを受け取って今に至る。
よって、今ハンナの背後には非常に顔色を悪くした家令とメイド頭が控えていたが、目の前の惨状からあらかた察した。
どこからどう見ても迎えたばかりの新妻にモップで全力拒否されている主人の図に二人はとても残念なものを見る目をしていた。
そして何故かモンドの背後には邸の護衛を兼ねる屈強な使用人が付いて来ている__何故だ?
初めて入ったとはいえ、ここは夫婦の寝室だ。
使用人が軽々しく入って良い場所ではない。
「お前たち_…」
言いかけたアベルの目の端に花瓶を振りかぶるハンナの姿が入り、
「あ いや_…、まず話を聞こう」
「普通、ベッドに連れ込む前にするものです、話というのは」
コト、と静かに花瓶を下ろしたハンナは、
「遅くなりまして申し訳ありませんお嬢様。無事でようございました」
と優しく上質なタオルでマリーローズにかかった水滴を拭い、
「マリアさん、坊っちゃまの方はお任せします。私はお嬢様付きのメイドですので」
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
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そろそろ体力が切れそうなので更新時間が遅れたら申し訳ありません&返信祭りはもう少しお待ちくださいm(_ _)m💦
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