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フィオナとダイアナ 3(回想 2)

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「ああそうそう、余談ですけど宝石箱には予想通りぎっしり宝石が詰まっていたんですが」
「__ぎっしり?」
フローリアの記憶ではそれほどではなかったはずだが。
尤もフローリアは王太子から贈られた物など見向きもしなかったので詳しくは知らないのだが。
「おおかた王子が水増しして渡したんでしょう、明らかに男性ものも混じってましたから」
「そういえばさっき慰謝料って、」
「ええ。宝石箱の底が二重になってまして。そこに手紙が入っていましたわ。“済まなかった、足りないことはわかっているが今後の足しにしてくれ、今自分の自由になるのはこの隠し財産だけだ、今からこの国の経済は荒れるだろうから念のため国を出てから換金するように“と権利証書が。それからもう一枚、“戦場から君の幸せを願う“とだけ書かれた紙が」
「!それって__」
(まさか、エディアルが?)
「不吉なんで証書以外は直ぐに焼き捨てましたけど」
ダイアナはにっこりと笑い、(怖い……)とフィオナは少し引いた。

「あ フローリア様からの手紙はちゃんと胸に抱いて死にましたよ?棺に一緒に入れてねって孫に頼んでおきましたの」
「そ、そう……」
(嬉しいけれど、ちょっと複雑……)
この時フィオナは色々な感覚が麻痺していた。

「そうそう、それで我が家は早々にあの国に見切りをつけて移住の準備に入ったわけですが、一応貴族ですから準備にはそれなりに時間がかかるわけで__その間、毎日フローリア様のお墓に、あ もちろんホワイト伯爵家のですわよ?」
「え、ええ……」
フィオナはもうなんて言ったらいいかわからなかった。
「花を手向けに行ってたんです。フローリア様の墓石はいつも花でいっぱいでしたわ。私の他にも同じように通ってる方がいらしたのでしょうね」
「…………」
前世とはいえ自分の墓の話をされるのは妙な気分である。

「私はフローリア様と二人で話したかったので誰か人影が近付いてくる度に木の影に隠れてたんですが、」
「隠れるって……」
(なにやってんの……?)
「もう他国に渡るまでほんの数日という日、天気が怪しくなってきたのでそろそろ帰ろうかと思っていたところにヤツが来たのですわ」
まるで虫の話をするように嫌そうな顔で言った。
「それって……」
(まさか__)
「ええ。元王太子です。王妃陛下の命令で貴女の墓に近付けるはずはなかったんですが果ての塔に送られる前の最後の慈悲だったんでしょう、貴女の墓に花を供えに来たんです」
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