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今や何番煎じか、ある夜会での出来事。
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そろそろ昔むかしあるところに、で始まるお話の数に追いつくんじゃないかというくらい、よくある夜会でのお話。
よくある身分の高い者同士の婚約、よくある身分の低い令嬢の出世話、よくある断罪劇の舞台は舞踏会の広間。
そこで今まさに
「君との婚約はこの度ーー、」
そう言い始める王子様に婚約者である令嬢は覚悟を決め何も言いませんでした。
そして王子さまは続けました。
「おめでとう!君は我々王室が課した課題をすべて見事にこなした!これで君は晴れて本物の僕の婚約者だ!」
ーーーは?
嬉しそうに破顔しさあおいで、と言わんばかりの王子様の腕に飛び込む事なく婚約者の令嬢は眉を潜めました。
王子の腕にへばりついていた身分低い令嬢もです。
「あぁ君には知らせてなかったね。表面上は君は僕の婚約者って事になってたけど実際にはまだ正式には整ってなかったんだ。君の資質を見極めてからって事で」
なん、だと……?
つまり、あの嫌がらせとかあの嫌がらせとかあの嫌がらせとかエトセトラ×2 、は単にこいつの婚約者だからされてるのかと思ってたらむしろこいつらが仕掛けた試練だったと?
「そうだ。そして君は見事にすべてかわしてみせた。素晴らしかったよ」
フザけんな。
「ーー辞退します」
「え?」
「こんっな卑怯で狡賢くて嫌味で陰険な王家に嫁ぐなんて真っ平です。そんな台詞を誇らしげに語る貴方も気持ち悪いです。ですので、さようなら」
「え?ちょっと待って?!」
誰が待つか。
もう貴様の顔なぞ見たくもないわ。
「待ってーー君は僕が好きだろう?!」
「いえ?今は別に。子供の時はそんな傲慢なとこも可愛いかったから許せたけど、今は可愛いくないし好きじゃない。」
「そ、そんな…」
王子様はへなへなと座り込みました。
隣にいた令嬢はそんな王子様に冷めた目を向けていました。
「あ 慰謝料は請求しますよ?私、貴方達が試練だとかいう数々の暴虐に心身共に長い間傷付けられまくったので。ちゃんと払って下さいね?」
「え?いやだって君は僕の婚約者で、」
「その試練とやらが終わるまで本物ではなかったのでしょう?ーー長い間騙してらしたのね」
「え?いや違、」
「違わないでしょう?本物でもないのになんで私が厳しいお妃教育なんか受けなきゃならなかったんですか馬鹿馬鹿しい」
「バカバカしいって……!」
「貴方はそれをヘラヘラ笑ってみてたんでしょう?悪趣味な。」
「いや 僕のことが好きだから頑張ってくれてたんだよねっ?」
「だから違う、義務だっただけだわ」
婚約者は冷たく言い切り、振り返る事なく広間を去りました。
横にいた王子と良い仲だった筈の身分低い令嬢も、その他の婚約者のいない令嬢もいつの間にかいなくなっていました。
そんな話が広まったので王子の妃になりたい娘が名乗りでる事はなく、王子様は遠い国からお妃を迎えるしかなくなりました。
国内はもちろん周辺諸国にはこの話はもう知れ渡っていたからです。
遠い遠い国からきたお妃は婚約者だった令嬢ほど美しくも頭も良くはありませんでしたが後がない王子様は必死に優しく大事にしました。
辞退した婚約者は遠国に渡り、様々なものを見、知識を深めやがて出会った人と恋に落ちその人と結婚し国に戻る事なく幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
「ーーそんな めでたしめでたしがあってたまるかぁぁっ!」
「あら、ダメでした?でも、私はここで去りますわ。ご機嫌よう、、馬鹿で傲慢な王子さま。」
ーーDone cannot be undone.
↑日本のことわざ風に訳すと
覆水盆に返らず(したことは元には戻らない)。
よくある身分の高い者同士の婚約、よくある身分の低い令嬢の出世話、よくある断罪劇の舞台は舞踏会の広間。
そこで今まさに
「君との婚約はこの度ーー、」
そう言い始める王子様に婚約者である令嬢は覚悟を決め何も言いませんでした。
そして王子さまは続けました。
「おめでとう!君は我々王室が課した課題をすべて見事にこなした!これで君は晴れて本物の僕の婚約者だ!」
ーーーは?
嬉しそうに破顔しさあおいで、と言わんばかりの王子様の腕に飛び込む事なく婚約者の令嬢は眉を潜めました。
王子の腕にへばりついていた身分低い令嬢もです。
「あぁ君には知らせてなかったね。表面上は君は僕の婚約者って事になってたけど実際にはまだ正式には整ってなかったんだ。君の資質を見極めてからって事で」
なん、だと……?
つまり、あの嫌がらせとかあの嫌がらせとかあの嫌がらせとかエトセトラ×2 、は単にこいつの婚約者だからされてるのかと思ってたらむしろこいつらが仕掛けた試練だったと?
「そうだ。そして君は見事にすべてかわしてみせた。素晴らしかったよ」
フザけんな。
「ーー辞退します」
「え?」
「こんっな卑怯で狡賢くて嫌味で陰険な王家に嫁ぐなんて真っ平です。そんな台詞を誇らしげに語る貴方も気持ち悪いです。ですので、さようなら」
「え?ちょっと待って?!」
誰が待つか。
もう貴様の顔なぞ見たくもないわ。
「待ってーー君は僕が好きだろう?!」
「いえ?今は別に。子供の時はそんな傲慢なとこも可愛いかったから許せたけど、今は可愛いくないし好きじゃない。」
「そ、そんな…」
王子様はへなへなと座り込みました。
隣にいた令嬢はそんな王子様に冷めた目を向けていました。
「あ 慰謝料は請求しますよ?私、貴方達が試練だとかいう数々の暴虐に心身共に長い間傷付けられまくったので。ちゃんと払って下さいね?」
「え?いやだって君は僕の婚約者で、」
「その試練とやらが終わるまで本物ではなかったのでしょう?ーー長い間騙してらしたのね」
「え?いや違、」
「違わないでしょう?本物でもないのになんで私が厳しいお妃教育なんか受けなきゃならなかったんですか馬鹿馬鹿しい」
「バカバカしいって……!」
「貴方はそれをヘラヘラ笑ってみてたんでしょう?悪趣味な。」
「いや 僕のことが好きだから頑張ってくれてたんだよねっ?」
「だから違う、義務だっただけだわ」
婚約者は冷たく言い切り、振り返る事なく広間を去りました。
横にいた王子と良い仲だった筈の身分低い令嬢も、その他の婚約者のいない令嬢もいつの間にかいなくなっていました。
そんな話が広まったので王子の妃になりたい娘が名乗りでる事はなく、王子様は遠い国からお妃を迎えるしかなくなりました。
国内はもちろん周辺諸国にはこの話はもう知れ渡っていたからです。
遠い遠い国からきたお妃は婚約者だった令嬢ほど美しくも頭も良くはありませんでしたが後がない王子様は必死に優しく大事にしました。
辞退した婚約者は遠国に渡り、様々なものを見、知識を深めやがて出会った人と恋に落ちその人と結婚し国に戻る事なく幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
「ーーそんな めでたしめでたしがあってたまるかぁぁっ!」
「あら、ダメでした?でも、私はここで去りますわ。ご機嫌よう、、馬鹿で傲慢な王子さま。」
ーーDone cannot be undone.
↑日本のことわざ風に訳すと
覆水盆に返らず(したことは元には戻らない)。
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