ヒロインはゲームの開始を回避したい(第一章 完結)レジュール・レジェンディア王国譚 転

詩海猫

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フェアリア王立アカデミー、二週間め

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「今日の授業はここまで」
先生がそう声を掛けると同時に生徒達が一斉に立ち上がって動き出した。


二人も例にもれず、
「今日のランチはどうする?アリス」
「食堂に行ってみない?日替わりメニューが気になるの」
軽食用のお洒落なカフェもあるが、ここの大食堂はとても大きいが採光を大きく取り入れた作りでとても明るくて気持ちが良い。


大食堂と聞いて前世でいうところのホ○ワーツを思い浮かべてしまっていた私は良い意味で期待を裏切られた。
ホグワー○より某ランドのクリスタルパレスレストランの豪華版に近い感じ?
メニューにおいても軽いジャンクちっくなものから高級感溢れるものまで各種取り揃えてあり、季節のおススメや日替わりのおススメランチ(ただし個数限定、毎食売り切りなのだ。)まであることに私は感動した。


なので最近の朝はまず本日の日替わりチェックから始まることが多い。


「(見かけによらず)色気より食い気ね貴女は。まぁ良いけど」
軽く息を吐いて連れ立って食堂に向かい、無事二人分の日替わりランチをゲットして良さげな席を探して周囲を見回すと、
「メイデン嬢、バーネット嬢、こちら空いてますよ」
「お二人ともご一緒しませんこと?」
同時に違う方向から声が掛かった。


先鋒(?)が同級の男子生徒のグループ、次鋒が一、二年生を取り交ぜた(?)ご令嬢のグループだ。
「俺たちが先に声を掛けたんだ!」
「私の方がやや早かったですわ」
「お前らは一昨日もお二人と一緒に座ってただろうがっ!」
「だからなんですの?」
ここに編入してきて二週間、今やこの事象も恒例になりつつある。


あの試験の後、二人揃って一級認定されたからだ。
ジュリアの魔法の威力にしろ、アリスティアの魔法速度にしろ妖精の補助なしで同レベルのものを行使できる生徒はほぼいないと言っていい。
おまけにあれだけの数の妖精に歓迎された二人が妖精の補助を受ければ更に行使できる魔法のレベルはあがる。
既に一級に在籍している生徒を軽く凌ぐ実力のある二人を下の等級にするなどできるわけがなかった。


異例ではあるが編入初日にして一級認定されたうえ、妖精達に歓迎された二人の人気は鰻登りで、ランチタイムもお茶会の誘いもひっきりなしだ。
どんな派閥があるかまだ把握出来ていない中で迂闊にお茶会に出るのは危険なので参加は見送っているが、ランチタイムの同席の申し出には快く応じている。
だが、目の前の騒動に(何も喧嘩しなくても)とアリスティアはやや引き気味だ。
ジュリアも(あ~あ、こう大騒ぎしてちゃまた……)と息を吐いたところに、
「賑やかだね」
と涼やかな声が割って入った。




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