ヒロインはゲームの開始を回避したい(第一章 完結)レジュール・レジェンディア王国譚 転

詩海猫

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フェアリア王立アカデミー 一日目 終了

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『新しいお友だち、きた~!!』
『可愛い!きれい!!一緒に遊ぼー!!』
『良い匂い!髪キラキラ!!エルフの女王さまみたい!』
『こっちの赤い髪のお友達も火の色、きれい!!』
『名前教えて~!』
『名前付けて!!』
__光の正体は夥しい数の妖精だった。


聞けばこの国の魔法使いは妖精からの補助を受けて魔法を行使するのが殆どで、今ここにいる一級生も例に漏れない。
それ故妖精の助けなしにあれだけの魔法を行使するのは“有り得ない”と映るらしい。
だが、妖精が手を貸した魔法とそうでない魔法は見る人が見ればわかるのだそうで、この王子様は“見える”人らしい。
そして先ほどの現象は様子を見ていた妖精たちが“お友達“になろうと一気に集まってきたものでアリスティアとジュリアには一気に“妖精のお友達“が増えた。


なので、周囲の目が驚きから一気に好意的になった。


しかも、
「この国の第二王子、エリアスだ。成る程君たちの留学にあたり一悶着あったと聞いたが今ので納得がいった。よくこれほどの人材が国外に出るのを許したものだ、アリスティア・メイデン嬢並びにジュリア・バーネット嬢、改めて歓迎する。我がフェアリア王国の王立アカデミーにようこそ」
そう言って握手を求めて来る王子様に他意は感じられなかった。


何故なら、
(あの情報が操作されたもので魔力の実力などさほどないと思っていたが、妖精の補助なしにこんな魔法が行使できるとは__しかも、この学園に来るなりあれだけの数の妖精に歓迎されるとは……この国では妖精に認めて貰えなければいくら魔力が強くとも真の友とは認められないが、どうやら彼女達は危険人物ではなさそうだ)
というこの王子の考えがこの国の基準だったからだ。


私達が「よろしくお願いします」と握手を受けると何故か拍手が起こった。


__なんだこのイベント?


そう思いはしたものの、最初に思わぬ時間を食ってしまったので、急いで他の授業を周り、手早くメモも取って私達は帰路に着いた。
私とジュリアは学園の近くに小さな家(おそらく庶民からみたらお館だろうが)を使用人付きで用意してもらっていた。


着替えと夕食と湯浴みを済ませて夜のティータイムの席に着いた私達は、文字通り顔を突き合わせて選択科目の最終選考に入った。
「まず魔法実技と妖精学は決定として、後はどうする?」
「必修課目は決まってるのにそれを週に何時間取るかは自分で決めろって変わってるわよね?」
「基礎が出来てる生徒と出来てない生徒では出だしも違うってことでしょ?どっちみちテストに落ちたら落第なわけだしね」
「成る程……」
__だから前期と後期とで選択し直すシステムになってるのか。
「薬草学と魔法学って微妙よね……」
魔法使いと薬草は切っても切り離せない関係だが、この王立アカデミーにおいて薬草学や魔法学は所謂研究者向けか世界史のような感じだった。
紛らわしいことに魔法薬学というのが必修課目であるのだ。
「興味が沸かないなら、どっちも取らなくて良いんじゃない?その分妖精学や魔法実技に回せばいいわよ」
「それもそうか……」
と答えながらアリスティアはさらさらと書き込み始めた。




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