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フェアリア王立アカデミー 一日目 2 〜様子見なのはお互い様。
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*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「紹介が終わったら実技場に移動しましょう。授業はそこからよ。貴女たちの魔力レベルもそこでみせてもらうわ」
マデラ先生が言い、生徒たちも席を立って移動した先は大きな闘技場のような場所だった。
この王立アカデミーは二年制だが、魔法、妖精学、薬草学など一部の科目については等級制を取っている。
新入生は十級から始め、毎月ある等級試験に臨んで卒業までに一級を目指す。
「じゃあまずは一級生徒のデモンストレーションといこうかしら。一級生!前へ!」
言われて五名の生徒が前へ出る。
中にはエリアスとジュノスもいるのだが、アリスティアとジュリアは「へぇそうなんだ」という顔をしただけだ。
エリアスも他の生徒も大差ないと言うように。
その様子に僅かに苛立ちを覚えたエリアスだったが、実際二人はただ目の前で展開される魔法に興味津々だった。
防御魔法を施したガラス越しに見た五人は自信に満ち溢れた顔をしている。
(妖精の力を借りた魔法ってやっぱりレジェンディアとは違うのかしら?もしかして姿も見えるのかしら?)
(いきなり一級生出して牽制とは、かなり警戒されてるみたいね。このマデラって教師、無害そうな顔して随分挑戦的だこと)
__興味の中身は、大分ベクトルが違ったが。
卒業の初春を待たず現在一級ということは成る程確かに優秀なのだろうが、どの属性魔法もひと通り見たことのあるものばかりで、ジュリアは拍子抜けした。
だが、ひとつだけレジェンディアと決定的に違うところがある。
どの生徒の傍らにも、妖精が飛び回っている。
水魔法で展開されている小さな噴水の中には良く見れば人魚みたいなのが飛び跳ねているし、火魔法の披露では火の輪潜りしてるし。
聞いた通り、この国と妖精との距離は随分と近いらしい。
使われている魔法自体は単純だが、珍しさに目を瞠るジュリアの横で、
「……可愛い」
ぽつりとアリスティアが零した。
二人の純粋な反応に満足したのか、マデラ先生が口を開く。
「本来なら入学して数日から一週間は様子を見てからするものだけれど、あなた達さえよければ今ここで等級試験を受けてみる?もちろんその後今月の試験に挑むのも可能よ?」
等級試験は本来月に一回しか試験を受ける資格はないのだが、ここでの試験は特例扱いにしてくれるということらしい。
挑発されているらしいことはわかったが生憎アリスティアとジュリアはこういったことに慣れていたため、迷わず「「はい」」と頷いた。
が、
「なんでもいい、得意な魔法をやってみてくれ」
と等級試験官の担当教授に言われた時には“学園中から集めたのか?“と突っ込みたくなるレベルで人が集まってきていた。
どうしてこうなった?
途中編入の私達は「毎月行われる進級試験を今まで受けていない」ため、「卒業までに一級に上がれる可能性が減ってしまう」のは望ましくないので、「現在の魔法力を正確に把握」した上で何級から始めるか検討してくれると言うことだったが、
(だからってこれじゃ、公開処刑じゃない)
ジュリアは心中で突っ込みつつ、周囲を観察する。
目の前に居並ぶのは担当教師と助手、それに二年生の一級生徒も加わり、男子生徒が八人、女子生徒が一人。
教師の表情は“純粋に実力を測ってやる”というものだが、見学に集まった生徒達は“レジェンディアの魔法使いがどの程度のものか見極めてやる“といった僅かな敵愾心に似た印象を受ける。
(これが生まれながらに妖精と共に生きてきた者の余所者への洗礼ってわけね)
ついでに言えばキラキラしい金髪に空色の瞳であどけなさを漂わせるアリスティアに対し、赤い髪と切れ長の瞳の自分とでは見た目がキツい私の方がこういった視線をまず向けられやすいが、可愛いアリスティアをロックオンされるよりはいい。
望むところだ。
「編入生のジュリア・バーネットです。私からやらせていただきます」
一歩前に出て、すぅ と息を整えた。
__数分後、実戦場は静まり帰っていた。
ジュリアが披露したのは火魔法だったが、足元から高さ十メートルはある巨大な火柱だったのだ。
円形も二メートルはありそうなそれは確かな攻撃力を感じさせて全員が全員、息を呑んで固まってしまったのだ。
「どうでしょうか、先生?」
「み、見事だ……!火魔法が得意なのだな?じゃあ次は、」
ちら、とアリスティアに目をやる。
その目は「こんな凄い魔法を見せつけるなら後にした方が良かったのでは、二人目の彼女が気の毒なのでは?」と言っていたが全くもって逆である。
ジュリアも負けず嫌いだが、アリスティアもみかけによらずかなりの負けず嫌いだ。
この雰囲気が気にくわなくてジュリアも攻撃的な魔法をぶちかましたが、アリスティアの魔力はその遥か上を行く__というか魔法大国レジェンディアの切り札とさえ言えるレベルなのだ。
(見かけで判断なんてしてたら、後悔するわよ?)
真打ちは、アリスの方なのだから。
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「紹介が終わったら実技場に移動しましょう。授業はそこからよ。貴女たちの魔力レベルもそこでみせてもらうわ」
マデラ先生が言い、生徒たちも席を立って移動した先は大きな闘技場のような場所だった。
この王立アカデミーは二年制だが、魔法、妖精学、薬草学など一部の科目については等級制を取っている。
新入生は十級から始め、毎月ある等級試験に臨んで卒業までに一級を目指す。
「じゃあまずは一級生徒のデモンストレーションといこうかしら。一級生!前へ!」
言われて五名の生徒が前へ出る。
中にはエリアスとジュノスもいるのだが、アリスティアとジュリアは「へぇそうなんだ」という顔をしただけだ。
エリアスも他の生徒も大差ないと言うように。
その様子に僅かに苛立ちを覚えたエリアスだったが、実際二人はただ目の前で展開される魔法に興味津々だった。
防御魔法を施したガラス越しに見た五人は自信に満ち溢れた顔をしている。
(妖精の力を借りた魔法ってやっぱりレジェンディアとは違うのかしら?もしかして姿も見えるのかしら?)
(いきなり一級生出して牽制とは、かなり警戒されてるみたいね。このマデラって教師、無害そうな顔して随分挑戦的だこと)
__興味の中身は、大分ベクトルが違ったが。
卒業の初春を待たず現在一級ということは成る程確かに優秀なのだろうが、どの属性魔法もひと通り見たことのあるものばかりで、ジュリアは拍子抜けした。
だが、ひとつだけレジェンディアと決定的に違うところがある。
どの生徒の傍らにも、妖精が飛び回っている。
水魔法で展開されている小さな噴水の中には良く見れば人魚みたいなのが飛び跳ねているし、火魔法の披露では火の輪潜りしてるし。
聞いた通り、この国と妖精との距離は随分と近いらしい。
使われている魔法自体は単純だが、珍しさに目を瞠るジュリアの横で、
「……可愛い」
ぽつりとアリスティアが零した。
二人の純粋な反応に満足したのか、マデラ先生が口を開く。
「本来なら入学して数日から一週間は様子を見てからするものだけれど、あなた達さえよければ今ここで等級試験を受けてみる?もちろんその後今月の試験に挑むのも可能よ?」
等級試験は本来月に一回しか試験を受ける資格はないのだが、ここでの試験は特例扱いにしてくれるということらしい。
挑発されているらしいことはわかったが生憎アリスティアとジュリアはこういったことに慣れていたため、迷わず「「はい」」と頷いた。
が、
「なんでもいい、得意な魔法をやってみてくれ」
と等級試験官の担当教授に言われた時には“学園中から集めたのか?“と突っ込みたくなるレベルで人が集まってきていた。
どうしてこうなった?
途中編入の私達は「毎月行われる進級試験を今まで受けていない」ため、「卒業までに一級に上がれる可能性が減ってしまう」のは望ましくないので、「現在の魔法力を正確に把握」した上で何級から始めるか検討してくれると言うことだったが、
(だからってこれじゃ、公開処刑じゃない)
ジュリアは心中で突っ込みつつ、周囲を観察する。
目の前に居並ぶのは担当教師と助手、それに二年生の一級生徒も加わり、男子生徒が八人、女子生徒が一人。
教師の表情は“純粋に実力を測ってやる”というものだが、見学に集まった生徒達は“レジェンディアの魔法使いがどの程度のものか見極めてやる“といった僅かな敵愾心に似た印象を受ける。
(これが生まれながらに妖精と共に生きてきた者の余所者への洗礼ってわけね)
ついでに言えばキラキラしい金髪に空色の瞳であどけなさを漂わせるアリスティアに対し、赤い髪と切れ長の瞳の自分とでは見た目がキツい私の方がこういった視線をまず向けられやすいが、可愛いアリスティアをロックオンされるよりはいい。
望むところだ。
「編入生のジュリア・バーネットです。私からやらせていただきます」
一歩前に出て、すぅ と息を整えた。
__数分後、実戦場は静まり帰っていた。
ジュリアが披露したのは火魔法だったが、足元から高さ十メートルはある巨大な火柱だったのだ。
円形も二メートルはありそうなそれは確かな攻撃力を感じさせて全員が全員、息を呑んで固まってしまったのだ。
「どうでしょうか、先生?」
「み、見事だ……!火魔法が得意なのだな?じゃあ次は、」
ちら、とアリスティアに目をやる。
その目は「こんな凄い魔法を見せつけるなら後にした方が良かったのでは、二人目の彼女が気の毒なのでは?」と言っていたが全くもって逆である。
ジュリアも負けず嫌いだが、アリスティアもみかけによらずかなりの負けず嫌いだ。
この雰囲気が気にくわなくてジュリアも攻撃的な魔法をぶちかましたが、アリスティアの魔力はその遥か上を行く__というか魔法大国レジェンディアの切り札とさえ言えるレベルなのだ。
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