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結末
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私は目の前でなく背後の原因に問いかけた。
「いや、君にプロポーズしに行くけど断られたらそのまま俺も冒険者として彼女を追いかけるから諦めてねっ言って出てきただけなんだけど~」
結果を見届けようと付いてきちゃった と?
「そ、それで結果は…?」
ぎょろりと国王が目を剥く。
「フラれました」
王子がひと言だけ述べると
「ま、待てっ!コーディリア・バルトア!其方の望みは何だっ!?」
「希望があれば仰って下さい!領地でも国宝でも差し上げます!」
「いっそバルトア家を公爵位に引き上げましょう!」
「そうだ!それが良い!」
何が良いんだよ。
と突っ込みたかったが聞く耳はなさそうだ。
王様の耳はロバの耳。
埒もない事を考えながらここからどうやって遁走するか目を周囲にはしらせるとーーー 信じられないものが目に入った。
ヴェルハルト、いや現ベルンが凄い形相でもって走ってくる。
また面倒な。
キャーともキャッともつかない乙女特有の声が背後にあがった気がするが無視する。
「第一王子と私は婚約どころか何の関係もない」
目の前に立ったベルンにそう告げるとほっと彼は力を抜いた。
が、次の瞬間私の手を取って膝まづいた。
「コーディリア・バルトア。アイリ。金のスカーレット。君がどんな生き方をしても構わない。俺に君と生きる許可をくれ」
は…?
「令嬢でも、冒険者でも。君が好きだ」
………
一瞬静かになった後、またサミット連中が騒ぎ出した。
「なっなーーにを言っているのだ貴様は!」
「ヴェルハルト・シュバルツ!うぬとコーディリア嬢の婚約は正式に破棄されておろう!」
「その通りです!何を今さらー…もう一度婚約を結ぼうなどと…!」
「婚約を申し込んでいるのではありません。共に歩む許可を得ようとしているのです」
「同じ事であろうがっ!」
全然違う。
「これは既に高度に政治的な問題なのだ、引っこんでおれ!」
私は呆れて息をついた。
「付き合ってらんない」
髪飾りに仕込んだ紙片を取り出す。
「政治的な問題は政治に関わって高い給料得てる奴だけで何とかしろ。私を巻き込むな」
言いながら、移動魔法陣を発動させて私はその場から去った。
「あ~あ。皆して勝手に国の都合押し付けるから逃げちゃったじゃないですか…交渉は決裂ですね。俺は彼女を追います。」
第一王子も移動魔法陣を展開すべく詠唱を始めた。
「お待ちを!第一王子殿下!今あなた様に去られては我が国は…!」
取り縋ろうとするサミット(笑)に足元が石になる魔法をかけ
「10分もすれば解けますよ」
と放ったベルンが第一王子の展開する魔法陣に便乗した。
苦笑いした第一王子は追い出すそぶりもみせず
「…お前、いい根性してるな」
「あんたに言われたくはない…お前、ハンクだろ?王族は完璧な姿変えが出来るって本当だったんだな」
「……いつ、気付いた?」
「一昨日の夜会の時だ。指揮の取り方でな」
「…アイリには黙っててくれ」
「あいにく守れない約束はしない事にしてるんだ」
小さな声のやり取りは誰にも聞こえず、二人の姿はそのままかき消えた。
サミット(笑)たちが国をあげて捜索依頼を出すも今回の騒ぎで第一王子、伯爵令嬢、伯爵令息がギルドの冒険者をやっている事その他の事情もほぼほぼ世界中のギルドに知られる事となった。
一部の賞金に釣られた者達を除きその依頼を受ける者はほとんどなく、むしろ積極的に彼等を匿う者の方が多く目撃情報もあちこちに分散して振り回したのでサミットたちが彼等を捕まえる事は出来なかった。
「いや、君にプロポーズしに行くけど断られたらそのまま俺も冒険者として彼女を追いかけるから諦めてねっ言って出てきただけなんだけど~」
結果を見届けようと付いてきちゃった と?
「そ、それで結果は…?」
ぎょろりと国王が目を剥く。
「フラれました」
王子がひと言だけ述べると
「ま、待てっ!コーディリア・バルトア!其方の望みは何だっ!?」
「希望があれば仰って下さい!領地でも国宝でも差し上げます!」
「いっそバルトア家を公爵位に引き上げましょう!」
「そうだ!それが良い!」
何が良いんだよ。
と突っ込みたかったが聞く耳はなさそうだ。
王様の耳はロバの耳。
埒もない事を考えながらここからどうやって遁走するか目を周囲にはしらせるとーーー 信じられないものが目に入った。
ヴェルハルト、いや現ベルンが凄い形相でもって走ってくる。
また面倒な。
キャーともキャッともつかない乙女特有の声が背後にあがった気がするが無視する。
「第一王子と私は婚約どころか何の関係もない」
目の前に立ったベルンにそう告げるとほっと彼は力を抜いた。
が、次の瞬間私の手を取って膝まづいた。
「コーディリア・バルトア。アイリ。金のスカーレット。君がどんな生き方をしても構わない。俺に君と生きる許可をくれ」
は…?
「令嬢でも、冒険者でも。君が好きだ」
………
一瞬静かになった後、またサミット連中が騒ぎ出した。
「なっなーーにを言っているのだ貴様は!」
「ヴェルハルト・シュバルツ!うぬとコーディリア嬢の婚約は正式に破棄されておろう!」
「その通りです!何を今さらー…もう一度婚約を結ぼうなどと…!」
「婚約を申し込んでいるのではありません。共に歩む許可を得ようとしているのです」
「同じ事であろうがっ!」
全然違う。
「これは既に高度に政治的な問題なのだ、引っこんでおれ!」
私は呆れて息をついた。
「付き合ってらんない」
髪飾りに仕込んだ紙片を取り出す。
「政治的な問題は政治に関わって高い給料得てる奴だけで何とかしろ。私を巻き込むな」
言いながら、移動魔法陣を発動させて私はその場から去った。
「あ~あ。皆して勝手に国の都合押し付けるから逃げちゃったじゃないですか…交渉は決裂ですね。俺は彼女を追います。」
第一王子も移動魔法陣を展開すべく詠唱を始めた。
「お待ちを!第一王子殿下!今あなた様に去られては我が国は…!」
取り縋ろうとするサミット(笑)に足元が石になる魔法をかけ
「10分もすれば解けますよ」
と放ったベルンが第一王子の展開する魔法陣に便乗した。
苦笑いした第一王子は追い出すそぶりもみせず
「…お前、いい根性してるな」
「あんたに言われたくはない…お前、ハンクだろ?王族は完璧な姿変えが出来るって本当だったんだな」
「……いつ、気付いた?」
「一昨日の夜会の時だ。指揮の取り方でな」
「…アイリには黙っててくれ」
「あいにく守れない約束はしない事にしてるんだ」
小さな声のやり取りは誰にも聞こえず、二人の姿はそのままかき消えた。
サミット(笑)たちが国をあげて捜索依頼を出すも今回の騒ぎで第一王子、伯爵令嬢、伯爵令息がギルドの冒険者をやっている事その他の事情もほぼほぼ世界中のギルドに知られる事となった。
一部の賞金に釣られた者達を除きその依頼を受ける者はほとんどなく、むしろ積極的に彼等を匿う者の方が多く目撃情報もあちこちに分散して振り回したのでサミットたちが彼等を捕まえる事は出来なかった。
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