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第一章
王宮と兄王子たちの反応 3
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「お前たち__人の心はどこにおいてきた?まさか母の胎内に置き忘れてきたか?」
質問でない質問に答える声はなく、国王は続ける。
「王位を巡って兄弟を蹴落とすこと自体は悪ではない、だが殺し合いは許さん」
「父上、それでは」
話が矛盾しているじゃないかとレインが続ける前に、
「戦うことと殺し合いは違う。戦って勝つ才は為政者に必要だ。だが何もわからぬ乳児に毒を盛って殺すことの何が戦いだ?何の強さの証明にもなるものか、まして血の繋がった弟でまだ何の戦い方も、情報戦のひとつも知らぬ子供に躊躇いなく手をくだせる人間など吐き気がする」
国王の物言いに今度はレインも口を出せない。
「良いか?アルトハーツに限らず、血で血を争うような真似は許さん。そんなことのために多くの子を持ち育てたのではない__儂も、王妃もだ」
ここで国王は王妃に視線を移し、王妃は青褪めた顔で頷いた。
「良いか?もし兄弟たちを死なせる又はそれに準ずるような真似をしたら其奴は王位継承権を剥奪のうえこの王宮から追放とする。このルールは今この時をもって有効とするゆえ何か企む時は心せよ」
「なっ……」
「話はこれまでじゃ。国王とて人の親であり、子であるのだ。ゆめゆめ忘れるでないぞ」
声をあげる王子たちに構わず国王夫妻は退室し、場には呆然とした王子たちだけが残された。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
「そうですか、そのようなことが……」
「ああ。実に父上らしいけど、あの弟たちにどこまで通じるかな?」
愉快そうに笑ったレインを筆頭に、
「まったく父上も母上もアルトハーツに甘い。末っ子だし魔力も脆弱だし見た目も可愛かったから無理もないけど?」
傍らに女性を侍らせて嘯くのはイズミールだ。
「なんであんな出来損ないの意向を汲むんだ?父上も母上も__あんなヤツ、いてもいなくても変わりないじゃないかっ!」
「うーん……まさかこんな展開になるなんて。僕は別に誰が国王になったって今の生活が保証されれば良いんだけどな?アイツ、大丈夫かな?」
「あ~あ、皆あんなに萎れちゃって。アルトハーツはどういうつもりなのかな?」
王子たちはそれぞれ、戻った自室で呟いた。
質問でない質問に答える声はなく、国王は続ける。
「王位を巡って兄弟を蹴落とすこと自体は悪ではない、だが殺し合いは許さん」
「父上、それでは」
話が矛盾しているじゃないかとレインが続ける前に、
「戦うことと殺し合いは違う。戦って勝つ才は為政者に必要だ。だが何もわからぬ乳児に毒を盛って殺すことの何が戦いだ?何の強さの証明にもなるものか、まして血の繋がった弟でまだ何の戦い方も、情報戦のひとつも知らぬ子供に躊躇いなく手をくだせる人間など吐き気がする」
国王の物言いに今度はレインも口を出せない。
「良いか?アルトハーツに限らず、血で血を争うような真似は許さん。そんなことのために多くの子を持ち育てたのではない__儂も、王妃もだ」
ここで国王は王妃に視線を移し、王妃は青褪めた顔で頷いた。
「良いか?もし兄弟たちを死なせる又はそれに準ずるような真似をしたら其奴は王位継承権を剥奪のうえこの王宮から追放とする。このルールは今この時をもって有効とするゆえ何か企む時は心せよ」
「なっ……」
「話はこれまでじゃ。国王とて人の親であり、子であるのだ。ゆめゆめ忘れるでないぞ」
声をあげる王子たちに構わず国王夫妻は退室し、場には呆然とした王子たちだけが残された。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
「そうですか、そのようなことが……」
「ああ。実に父上らしいけど、あの弟たちにどこまで通じるかな?」
愉快そうに笑ったレインを筆頭に、
「まったく父上も母上もアルトハーツに甘い。末っ子だし魔力も脆弱だし見た目も可愛かったから無理もないけど?」
傍らに女性を侍らせて嘯くのはイズミールだ。
「なんであんな出来損ないの意向を汲むんだ?父上も母上も__あんなヤツ、いてもいなくても変わりないじゃないかっ!」
「うーん……まさかこんな展開になるなんて。僕は別に誰が国王になったって今の生活が保証されれば良いんだけどな?アイツ、大丈夫かな?」
「あ~あ、皆あんなに萎れちゃって。アルトハーツはどういうつもりなのかな?」
王子たちはそれぞれ、戻った自室で呟いた。
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