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プロローグ

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入学式の前日、前世の記憶とやらを思い出した。
私、男爵令嬢ロザリンダはどうやら乙女ゲームのヒロインに転生したらしい。
「ヒロインって、いわれてもなぁ……?」
私は鏡を睨みつける。

男爵家の庶子として引き取られて一ヶ月、ピンクトルマリンの瞳にピンクブロンドのふわふわ髪はなんだか頭が弱そうでなんとか伸ばしてまとめ髪に出来ないか画策中、おまけに庶子なのに王立学園に入学させてくれるという父の大盤振る舞いで現在必死に詰め込み教育中。
「ピンク色の髪と瞳って珍しいと思ってたら__こういうコトなワケぇ~?!」

(道理で自分以外、見たことないと思ったよ……)
「確かに乙女ゲー、ちょっと齧ったけどさぁ?」
(ヌルすぎて、ヤンなったんだよね……)
鏡の前でピンクの髪をくるくると弄ぶ。

なぜ“無礼“が“天然“と許されるのか。
なぜずっとお妃教育を受けてた悪役令嬢が糾弾される(イジメはダメだとは思うが。)のか。
なぜ素養が全く出来てない娘がいきなり王妃になれるのか?
ぶっちゃけこの国の王家大丈夫?

って、突っ込むのに疲れた。

いやまぁ、シンデレラがそもそもそうであるから古典を踏襲してるといえなくもないんだけど。
シンデレラは生まれこそ良いがお嬢様だったのは母親が亡くなるまでの数年だけで後はメイドとして育ってるわけじゃない?
お妃としての素養が出来てるかって言ったら出来てないと思うんだよね、王子だって名前も素性も知れないのに尋きもせず「美人だからこの子に決めた」ってなるわけだし。
最早美人コンテストと変わらないっつーか……

それでも爆発的に流行ったジャンルだからゲームに限らず小説も漫画も星の数ほど出ていて中でも先駆的な作品の幾つかはアニメ化されてたりもしてたからひと通りチェックもしてたけど、
「殆ど最初の方で投げてたなあ……」

転生したら大体チートで、何の修行もしなくても無尽蔵の魔力持ってて、それも思うだけで使えちゃったりして__、
「あ こっちは召喚モノだっけ?聖女とか勇者とか、いや追放されたモブでもアリだったっけ」
こちらも何故か召喚した側が感じ悪くて偉そうで召喚したくせに放逐されたりしちゃうんだけど大抵“無限収納アイテムボックス“的な(むしろ未来道具な四次元ポケットより便利な)スキル持ちなんだよね。
何でも収納出来てしかも鮮度まで保てるからあったかいご馳走も倒したモンスターも楽々持ち運んで異世界を満喫するっていう……なんつーか、主人公に苦労させないご都合主義?みたいなのが馬鹿みたいに受けてた時期もあったっけ。

「あと、婚約者に必ず幼馴染か義妹が張り付いて邪魔されるパターンもなんかやたら多くなかったっけ?」
あれも何で耐えて一緒に生活してるんだかって思ったんだよね。しかも名前変えただけのコピーみたいなのが毎日投稿されて、内容自体は変わらないのにアクセス数がやたら多いから、ランキングに載ってるのは毎回同じようなのばかりだった。
「載ったら即お気に入りに登録って暗黙の了解でもあるのかな?って勘繰ったくらいあったんだよね~まぁそんなこと出来ない仕組みになってたから気のせいなんだろうけど」
まぁ世知辛い世の中だったから、「二次元世界でくらいラクしたい」て世相の反映だったのだろう___皆さまお気付きでしょうか、この度乙女ゲーム「聖なるロザリオの乙女」のヒロインに転生した私ロザリンダ・ノートンはとことん乙女ゲームのヒロインに向いておりません。
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