えっ!? こんなスキルって嘘でしょ!?

鴻上 紫苑

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本編

71話『情事の後は・・・』

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どのくらいの時間貫かれたのか分からないほど、彼は僕を攻め続けやっと解放してくれたのだった。

息を荒くし、忙しなく動く彼の無駄なく引き締まった胸に、全身精液塗れの僕を抱きしめ横になっている。

あんなに毛嫌いしているような風を装っていても、結局は千隼に焦がれた男なのだ。

途中、目隠しをされたり舌を吸われ呼吸が出来ず苦しくなったり 簡単にイけなくする為のリング。所謂、ペニスリングを嵌められ吐精できずドライオーガニズムで苦しめられていた。

何度も何度も彼に縋り付いては懇願しても外してくれなかった。

素面の千隼は、まだまだ初歩的な性教育でさえ真っ赤に染まりカチンコチンに固まってしまうほど初心ウブなのだ。

スキルと勢いだけで開花したものの、落ち着いてしまえば彼がイライラしていた千隼が顔を出す。


「さっきまでの勢いは何処へ消えたんだ?」

「・・・・・・」

「また、だんまりか」

「ぁ・・・」


声を出そうとするも喘ぎ過ぎて掠れた言葉しか発せらず俯いた千隼に、彼は水を口に含み千隼の口に注ぎ飲ませていく。

コクリ、コクリと、喉を鳴らし潤いを満たしてくれる彼に力なく腕を伸ばし抱きついたのだった。


「ぁ、りがと・・・」


潤いを得た喉でも、まだ声を出すには辛すぎた。

そんな千隼の姿を見た彼は満足そうに眼を細め、次の瞬間「無茶させたな、悪かった・・・」と告げた。

そして、素直に少しずつ心情を語り始めた。


「俺は、初めてお前を見た時から惹かれていたんだと思う。でも、認めたくなかった」

「どうして・・・」

「認めてしまえば、お前が大事にしてる物も大切にしてる者も壊して俺だけを見るように仕向けたくなっただろうからな」

「僕の大事な物は康煕に貰ったのばかりだし、大切な人も康煕だけだよ。小父さんも小母さんも優しいけど、一番は康煕だけ。だから、心配しないでよ・・・」

「それでも、俺はお前以外の存在が煩わしかった」


だから、いきなり消えてしまった僕が許せなかったのだと彼は話す。

好きで彼の前から消えたわけじゃないけど、きっかけを作ってしまった僕は罪悪感に苛まれ、目の前の彼の胸に擦寄り小さく「ごめんね・・・」と呟く。






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