えっ!? こんなスキルって嘘でしょ!?

鴻上 紫苑

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本編

63話『立ち向かう決心』

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本当にそうなのかな。

人間には善も悪も存在していて
どちらに転んでも対処できるように思考するのに
僕は、昔から変わらず流されて生きている。

母に拒絶されるのが怖くて女の子の真似事に嫌と言えず
父の言葉を鵜呑みにしてセクハラを許していた。

本当は、はっきりと言えば良かったのに
そうすることで違う道を歩めたはずなのに

心の拠り所を奪われるのが怖くて
声を掛けてくれるまで流されて生きてきた。

その報いが、目の前の彼だというのなら
僕は逃げてはいけないんだと思う。

これは夢の世界
闇があるなら光もあるはず

そう思っているのに
僕は弱いから彼を求めて縋ってしまう。

強くなりたい
彼と対等でいたい

想いは強いのに空回りばかり
あの強い腕の中に閉じ込められると頼ってしまう

努力なんかしなくても
弱くてもいいんだと思ってしまう。

背伸びしなくてもいい
自分らしく生きていけるなら
何も恐れることはないのに

流されて生きてきた年月が長過ぎて
すぐに変えることが出来ない

打たれ弱く泣き虫で
彼と出会うまで一人ぼっちで

大人に助けてと手を差し伸べても
聞き入れてもらえなくて
いつも、あの土手で蹲って泣いてた

初めて声を掛けてもらって
彼の機転で助けてもらえたとき
僕にも光が差し込んできたんだと思えた

彼だけは、抱きしめられても怖くなかった
むしろ、心からホッとした

なるべく負担を掛けたくなくて両親に自分の気持ちを伝えた
だけど、結果は無駄だった

僕という着せ替え人形
僕という性的奴隷(モルモット)
それを拒絶した時点で父母は僕という個体を見ようとしなくなった

どこまでも、どこまでも
従順に従っていた頃の僕に話し掛け着せ替えを強要する

いつまでも、いつまでも
疑問を持たなかった頃の僕の体への悪戯を強要した

その時から、僕は現実から見捨てられた。

康煕だけが、僕だけの光
どこまでも優しく頼もしい人
幼馴染、友達、親友

それだけに留まらなくなった僕の感情

目を覚ましたら康煕がいつものように包みこんでくれる
それなら僕は立ち向かわなければいけない。

このワケの分からないスキルに踊らされるんじゃなく
今までの生活は、もう戻らないけれど
どんな結果になっても、自分の意思で立ち向かわないと先には進めない。














〔ちょっとどころじゃない程の軌道修正なったわ(笑)〕



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