えっ!? こんなスキルって嘘でしょ!?

鴻上 紫苑

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本編

58話『可愛い生き物』

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康煕の腕の中で大人しくしながらも頬をプク~っと膨らませる千隼は知らない。
彼が、そんな千隼を見つめて甘い顔をしていることに。


「(あぁ、本当に昔から千隼は可愛すぎだろ。まだ約束は思い出してもらえてないが、今度こそ二度と離さない)」

「康煕、どうしたの?」

「ん?」

「難しい顔してるから、心配事かなって思って・・・」


千隼の凄いところは、表情筋が死にかけている俺の顔を見て微妙な変化に気づいてくれるところだろう。
俺の前でだけ、コロコロと表情や感情をみせてくれる。


「いや、お前が心配するようなことでもないさ」

「また、隠し事するの・・・?」

「いや、そういう意味じゃないんだが・・・」


現世じゃ康煕以外も人がいた為、狼狽えたり甘えたり羞恥に耐えるなんてことはなかった。
だが今は、康煕の一言一句に素直に受け答えするようになっていた。
それは、ひとえに遮る物も者もない状況が生み出した結果だろう。


「はぁ~。ほんと参るよな・・・」

「えっ・・・?僕、側に居ないほうがよかった・・・?」


彼のその一言で盛大に勘違いを起こした千隼の口から告げられた言葉に、康煕の腕はより一層きつく抱きしめた。
戸惑いを隠せない千隼は、目を潤ませ今にも泣きだしてしまいそうになっている。


「千隼、お前可愛すぎ・・・俺を煽るなよ・・・」

「康煕の重荷になってるなら、僕いない方がいいよね・・・」

「なんでそうなるんだ?」

「だって・・・。さっき、参るって、言った・・・」


堪えきれなかった雫が千隼の目から零れ落ちたのを康煕は、顔を近づけ舌で舐めとった。
次にキスの嵐をお見舞いし、最後に甘いくちづけを触れるだけから徐々に深く舌を絡めとり互いの唾液を混ぜ、千隼は自然と二人分の唾液をゴクリと飲みこんだ。


「俺は、お前さえ居れば他はどうでもいい」

「僕、役に立たないのに・・・」

「俺の役に立ってるなら、それでいいだろう?」

「役に立ってる・・・?」

「あぁ」

「ほんと・・・?」

「あぁ、本当だ。信じられないか?」

「・・・康煕の側が、いい・・・」


康煕の衣服をキュッと掴んで胸に顔を寄せる千隼を抱きしめながら、今日も彼を愛でながら一緒に寝るのだった。









〔あ、ここで終了させられたか・・・。頑張って悪夢以外のエロ執筆してみるか。出来なかったら、千隼ごめん(;^ω^)〕



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エブリスタにも同じ作品を投稿しています。内容は同じなので読み返しの必要はありません。今後とも、のんびり執筆して投稿していくので応援よろしくお願いします。
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