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本編

48話『侵入者』

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康煕に今、気になっていることを聞いた千隼は羞恥で身悶えていた。
そんな時間を過ごしていると、外から何かが近づいてくる気配を察知した康煕の顔が険しくなる。
その張り詰めた空気に、千隼は不安げに康煕の服をキュッと掴む。


『人の気配がする。危険な輩なら討伐するよ』

『オッケー!』


そんな話し声を聞きながらジッと待つ。
千隼は外からの不穏な発言に康煕にしがみ付き小刻みに震えている。

バサッと入口を潜り、他人の敷地に土足で入ってきた二人組に容赦する必要はない。
だが、千隼が怯えている以上穏便に済ませなければいけなかった。


「あ、イケメンだね。なにしてるの?こんな辺鄙なところで」


ニコニコしながら話しかけてきているが無視を決め込む。


「ちょっとちょっと、ミルル。挨拶が先・・・」

「ええええ!! だって、こんないい男いないんだからテンション上がるの仕方ないじゃん!!!! 」

「だめ。勝手に入って来てごめんなさい。ボクはクルル、こっちはミルル。何もない草原に不思議な建物があったから調べるために王都から派遣されてきたの。」


一応、常識があるのはクルルと名乗った人物だった。
ミルルは陽気でお調子者。気に入ったら、どんな手を使っても手に入れる傲慢なタイプ。
クルルは冷静で常識人。ミルルの暴走を止める役目を担っているようだ。


「それで?君たちは、俺達が危険人物なら排除するって?」

「アタシ、このイケメンがいるなら討伐しなくてもいいよ!」

「ミルル、それはだめ。お兄さんたち、2人で一緒なんでしょ?」

「クルル、どういうこと?」

「ミルルのお気に入りのお兄さん。多分、コッチの人を大切に想ってる。引き離すほうがキケン」

「ええ~~~、そんなのやだぁ。コッチの頼りないのはいらないから、イケメンだけ欲しい!! 」


姉妹?いや、兄弟?のような二人は延々と先の進まない話を繰り返している。
それにしても、すごい言われようだ・・・
確かに千隼は頼りないが口は悪いのだ。しかも、天然で悪意が籠ってないぶん相手の心をより正確に抉る。








康煕は、気配で千隼の何気ない一言を察し言葉を紡がせるのだった。







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