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本編
35話『天然小悪魔』
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怯え泣いていた千隼が落ち着きを取り戻したのは、康煕の匂いに包まれ満足した頃だった。
泣き腫らした目元に濡れタオルを置き恥かし気に「ありがとう・・・」と、か細い声でお礼を口にする。
そして、思い出したように千隼は康煕に言葉を投げ掛けてきた。
「あ・・・、康煕・・・」
「どうした?」
「康煕のバッグから、僕の下着って取り出せたりするの・・・?」
さっきまでの恥じらいはどこへ行ったのか・・・。
千隼は、いきなり爆弾を落とした。
「ブッッ!!!? げほっ、ごほっ・・・」
康煕は口に含んでいた珈琲を噴き出し、咽せて涙目になっている。
千隼は己の言葉に咽る要素がどこにあったのか分からず、きょとんと首を傾げた。
「まさかとは思うが、怖い夢見て漏らしたとか言うんじゃないだろうな・・・!? 」
「もらっ!? 違うから!」
「それじゃ、何だよ?」
「僕、登校中にこっち来ちゃったから着替え持ってないの!」
「なるほど」と、納得した。
康煕のように普段から持ち歩くタイプではない千隼は、その日必要なものしか持ち歩かず今に至る。
実際、刺激が強すぎる夢を見て下着が汚れていることもあり早く取り換えたい気持ちもあった。
「出せないことはないと思うが・・・」
「なにか問題なの?」
「俺が取り出すことに違和感を覚えないのか?」
「違和感?なんで? それって変なことなの? 」
気を許してるにしても、ここまで鈍いのは問題である。
呆れ顔で千隼を見やれば、本人は紅茶を飲んで楽しんでいる。
「はぁ~。ま、いいや。下着だけじゃなく、洋服一式も取り出してやるよ」
「ほんと!嬉しい!」
さっそく、異次元バッグに手を突っ込み千隼が好みそうな服や下着などを数着取り出し手渡した。
「ありがとう!康煕大好き!! 」
満面の顔で感謝の言葉を口にしながら抱きつく千隼だが、そこに艶めいた感情はない。
本人が気づいていない状態では、どんなに『好き』だと口にしていても結ばれることはない。
〔もうね、当分草原でエロ展開しまくってレベル上げてから移動して・・・。千隼の天然暴走にしたろうかな。先進まん〕
泣き腫らした目元に濡れタオルを置き恥かし気に「ありがとう・・・」と、か細い声でお礼を口にする。
そして、思い出したように千隼は康煕に言葉を投げ掛けてきた。
「あ・・・、康煕・・・」
「どうした?」
「康煕のバッグから、僕の下着って取り出せたりするの・・・?」
さっきまでの恥じらいはどこへ行ったのか・・・。
千隼は、いきなり爆弾を落とした。
「ブッッ!!!? げほっ、ごほっ・・・」
康煕は口に含んでいた珈琲を噴き出し、咽せて涙目になっている。
千隼は己の言葉に咽る要素がどこにあったのか分からず、きょとんと首を傾げた。
「まさかとは思うが、怖い夢見て漏らしたとか言うんじゃないだろうな・・・!? 」
「もらっ!? 違うから!」
「それじゃ、何だよ?」
「僕、登校中にこっち来ちゃったから着替え持ってないの!」
「なるほど」と、納得した。
康煕のように普段から持ち歩くタイプではない千隼は、その日必要なものしか持ち歩かず今に至る。
実際、刺激が強すぎる夢を見て下着が汚れていることもあり早く取り換えたい気持ちもあった。
「出せないことはないと思うが・・・」
「なにか問題なの?」
「俺が取り出すことに違和感を覚えないのか?」
「違和感?なんで? それって変なことなの? 」
気を許してるにしても、ここまで鈍いのは問題である。
呆れ顔で千隼を見やれば、本人は紅茶を飲んで楽しんでいる。
「はぁ~。ま、いいや。下着だけじゃなく、洋服一式も取り出してやるよ」
「ほんと!嬉しい!」
さっそく、異次元バッグに手を突っ込み千隼が好みそうな服や下着などを数着取り出し手渡した。
「ありがとう!康煕大好き!! 」
満面の顔で感謝の言葉を口にしながら抱きつく千隼だが、そこに艶めいた感情はない。
本人が気づいていない状態では、どんなに『好き』だと口にしていても結ばれることはない。
〔もうね、当分草原でエロ展開しまくってレベル上げてから移動して・・・。千隼の天然暴走にしたろうかな。先進まん〕
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エブリスタにも同じ作品を投稿しています。内容は同じなので読み返しの必要はありません。今後とも、のんびり執筆して投稿していくので応援よろしくお願いします。
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