えっ!? こんなスキルって嘘でしょ!?

鴻上 紫苑

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本編

24話『懐かしい思い出』その②

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康煕は、父親から携帯を渡されていた為、すぐに連絡をし千隼を泊まらせてもいいか確認を取った。


「父さん、仕事中?少しだけ時間取れる?」
『おー、康煕か。どうした?』
「じつは、今お向かいさんの結城君と一緒なんだけど、今日うちに泊めてもいいかな?」
『かまわないが、きちんと結城さんのとこに連絡を入れるんだぞ』
「そのことなんだけど、連絡したら結城君ご両親に連れ戻されると思う。ちょっと事情があって、父さんに聞かないと連れていけない気がするんだよね・・・」
『それは、今すぐじゃないとダメな話か?』
「うん」


そう答えると、谷仲父は少し考えたあと康煕に言った。


『わかった。今迎えに行くから、車の中で話そう』
「うん、わかった。ありがとう、父さん」


電話を切り千隼に向き直った康煕は、不安そうにしてる彼を抱き寄せ安心させるように額にキスを落とした。


「キミが元気になる、おまじない」


そう言って優雅に微笑んだ彼を見て、王子様ってこんな感じなのかなと心の中で呟く。
そうこうしてるうちに、谷仲父が車で迎えに来て近くの駐車場で飲み物を手渡してくれた。


「それで、話というのは何だい?」
「結城君のご両親から受けてる仕打ちについて、なんだよね」
「仕打ちとは、また穏やかじゃないね。千隼君で合ってるかな?」
「はぃ・・・」
「あぁ、そんなに怖がらなくていい。私にも分かるように説明してくれるかな?」


そう聞かれ思わず手をぎゅっと握りしめる千隼に、康煕は空いた手を握り、小さくリズミカルに指先で甲を叩いた。
落ち着くための、おまじないのようなものだ。
そうして、康煕に話したのと同じことを震えながら伝えた。


「それは・・・、また随分と酷いことをするものだね。よし、今日はおじさんのところに泊まりなさい。ご両親には、私から連絡をしておいてあげるからね」
「よかったな」


二人のおかげで家に帰らずに済んだ千隼は、泣きながら頷いたのだった。















〔今回の夢、長いなぁ・・・〕



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