自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

皐月 遊

文字の大きさ
上 下
38 / 63
二章 新学期、新たな出会い編

38話 「女の子怖い」

しおりを挟む
桃井が勝手に追加の注文をし、俺はまだこの場に残る事が確定した。

桃井は、カフェオレと普通のコーヒーを頼んだ。

俺はコーヒーは苦くて飲めないので、桃井が飲むのだろうか?

「…さっきと注文が違うが」

俺が言うと、桃井は口を開いた。

「私甘いのあんまり好きじゃないんですよね~。 さっきは敢えて如月先輩と同じの頼みましたけど、本当はブラックコーヒーの方が好きです」

「お、おぉ…」

「ていうか、よくそんな甘いの飲めますよね…如月先輩カフェオレに更にミルクと砂糖追加してるじゃないですか」

桃井が引いた目で見てくる。
露骨に態度変わるなぁ本当に。

ここまで露骨だと逆に清々しいぞ。

そんな話をしていると店員さんがコーヒーとカフェオレを運んできた。
桃井は笑顔で受け取り、ブラックコーヒーを飲んだ。

「…で、結局協力はしてくれるんですよね?」

「あぁ。だがさっきも言ったが、力になれるかは分からんぞ」

「そこら辺は大丈夫です。 如月先輩がクラスに馴染めてないのも知ってたので、何かと都合が良いんですよね」

おい…さっき「頼りになりそう」とか言ってただろ。
だが、そうなるといよいよなんで俺に協力を依頼して来たのか分からんぞ…?

「如月先輩はよく八神先輩と2人で話してますよね?」

「あぁ」

「私が如月先輩とお友達になれれば、私も自然とその場にはいれるじゃないですか。 如月先輩は自然に会話を繋げてくれればそれでいいです」

「俺みたいな人間が自然に会話を繋げるなんて高等テクニックが出来ると思うか? 100%出来ないぞ」

「なんでそんな事を自信満々に言えるんですか…」

桃井は苦笑いしながら言う。

「…じゃあわかりました。最初は私から如月先輩に話を振るので、如月先輩は普通に受け答えして下さい」

「普通に桃井が八神と2人っきりで話すのはダメなのか?」

「私と2人きりだと八神先輩は気を使うか逃げようとするじゃないですか。
ただそこに如月先輩が居て、"3人で話す流れ"を作れさえすれば、八神先輩は逃げられないんですよ」

こっわ。コイツどこまで考えてんだよ。
ただの日常会話なのにそんな作戦考えてんのか…

「…大体分かったが、なんでお前はそこまで八神に執着するんだ?」

ずっと思っていた事を聞くと、桃井は何言ってんだコイツと言いたげに首を傾げた。

「なんでって、イケメンだからに決まってるじゃないですか」

「清々しいな」

「イケメンで、勉強できる上に運動もできるなんて最高すぎません?
誰でも好きになりますよ」

「そういうもんか」

「はい。 学生の恋愛なんてそんな物です。 先輩にも分かりやすいように例えるなら…カードゲームみたいな」

「カードゲーム…?」

俺が疑問に思っていると、桃井は口を開いた。

「如月先輩には分からないかもですけど、女子は常に自分の持っているカード…つまり、容姿や学力…人間関係などで、お互いにマウントを取り合ってるんですよ」

「…まじ?」

「マジです。 カースト上位になってくるとそれが顕著に現れてきますね。
「昨日〇〇くんとご飯行ったんだー」とか、「私の彼氏医者目指しててー」とか、さりげなく会話に自慢を入れて、優越感に浸ってるんです」

「こっわ…」

柊や七海はそんな事はないと思いたい。

ない…よな?
裏ではマウントを取り合ってるとか考えたくないぞ。

「そのマウント合戦で1番の力を持つカードが、"彼氏のスペック"です。
彼氏自慢は1番相手に嫉妬されますからね。
彼氏のスペック=自分の地位の証明になるわけです」

「な、なるほど」

「つまり、私は"八神天馬と付き合っている"っていう肩書きが欲しいんですよ。
もちろん、付き合ったら本気で恋愛しますし、尽くしますよ?」

別に他人の恋愛に口を出すつもりはないし、否定するつもりもない。
人それぞれ愛の形は違うしな。

性格から入る恋愛もあれば、顔やスペックから入る恋愛もあるだろう。

桃井も桃井で、カースト上位に居続ける為に必要な事なんだろうしな。

「なるほど、理由は分かった。 次に、なんであんなに柊をライバル視してたんだ?」

桃井は露骨に柊をライバル視していた。
別に八神を好きな奴は他にも沢山いたし、なんなら柊は八神を好きだと言っていない。

「柊先輩が1番厄介だからですね」

「厄介…?」

「ほら、私って可愛いじゃないですかぁ?」

いきなりぶりっ子みたいな口調で言ってきた。

「正直、1年生で私以上に可愛い人は居ないですし、これなら余裕かなって思ってたんですよ」

「おぉ…」

清々しい程に正直に話す桃井に苦笑いしか出てこない。

「でも、2年生に…しかも八神先輩と同じクラスにかなりの美少女がいるって噂を聞いて、見に行ったら…正直焦りました。 しかも、柊先輩レベルの人がもう1人居ましたし…」

柊と七海の事だろう。
確かに、あの2人はかなりの美少女だ。
桃井も十分あの2人に並ぶ美少女だが、桃井が欲しいのは圧倒的な美少女という地位なのだろう。

「もし柊先輩が本気で八神先輩にアピールしだしたら、私は不利すぎます。
柊先輩は同い年だし、同じクラスだし」

「だから厄介って訳か」

「はい。 なので、柊先輩とも、八神先輩とも関わりのある如月先輩の協力が必要ってわけです。
…ていうか、あの2人と関わりを持ってるって如月先輩何者なんですか?とても親しそうでしたけど」

「偶然に偶然が重なってああなった」

本当の事だ。
実際偶然だしな。

柊とは雨の中で偶然出会って、その日に家が全焼した事が始まりだし、八神は陸上部の時の事を覚えていたからだしな。

「まぁ深くは聞きませんけど…あ、連絡先交換しましょう?」

そう言って桃井はスマホを取り出した。
桃井は慣れた手つきでスマホを操作する。

断る理由もないので連絡先を交換する。
桃井のチャットアプリのアイコンは、可愛らしいぬいぐるみの写真だった。

「私の連絡先持ってる男子は少ないんですよー?良かったですねっ」

「はいはい」

「むぅ…如月先輩は女の子に興味ない感じですか?」

「はぁ?」

「だって、全然照れないですし。 普通の男子だったら絶対顔赤くするのに」

だって照れないように頑張ってますからね。
照れてバカにされるのは嫌だしな。

うん。コイツは絶対にバカにしてくる。

「まぁ、その方が変に意識しなくて済むから気が楽ですけどねっ」

そう言って桃井はコーヒーを飲み干した。
そのタイミングでちょうど俺もカフェオレを飲み終えた。

桃井はスマホで時間を見ると、カバンを持った。

「時間も時間ですし、そろそろ行きましょうか」

「だな」

桃井は、テーブルに置いてあった伝票を取り、立ち上がろうとした。

「私が払うので、如月先輩は先に外出てて下さい」

「は?いや、なんで」

「だって私のワガママに付き合わせちゃいましたし、これくらいさせて下さい」

そう言って、桃井は俺の言葉を無視してレジに行ってしまった。
俺はため息を吐き、先に外へ出た。

会計を済ませた桃井がトコトコと店から出てきた。

「如月先輩、お待たせしましたっ」

外だからか、いつものあざといモードの桃井に戻っている。

「…いや…というか、お前財布持ち歩いてるんだな。 ああいうのは全部男に出させる主義かと思ってたぞ」

「私の事なんだと思ってるんですか!!」

ぷんぷん!という効果音がつきそうな動きをする桃井に、つい笑ってしまう。

「まったく…それじゃあ、帰りますね。 改めて、今日はありがとうございました」

「…遅いし、送るぞ」

もう夕方になっており、もう少しで暗くなるという時間帯だ。
そんな時間に女子1人は流石に危ないだろう。

ましてや桃井程の容姿ともなると危険だ。

「おぉ…意外と紳士的ですね如月先輩」

「うるせぇ」

そう言うと、桃井は笑う。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

そう言って、桃井は歩き出した。
どうやら、桃井が住んでる家は柊の家から真逆らしい。

帰り迷わないようにちゃんと覚えておかないとな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それで、その時告白してきた男子が本当にしつこくて!」

「おー、苦労してんなお前も」

「本当ですよ! しつこい男子は本当にキツいです!」

帰り道、何故か俺は桃井の愚痴を聞かされていた。

最初は無言で歩いていたのだが、桃井が無言の空間に耐えられなくなったのだろう。

「あ、そういえば如月先輩ってどこら辺に住んでるんですか?」

「今向かってる方向と真逆」

「えっ…!じゃあ帰るのかなり遅くなっちゃいません…? ご家族に心配されたり…」

桃井が慌て出す。意外と人の事を考えられる奴らしい。

「家族とは住んでないから大丈夫だ」

「え、1人暮らしって事ですか?」

「……まぁ、そんな所…だな」

「なんでちょっと吃ったんですか」

柊と住んでるなんて言える訳ないだろ。

…あ、そういえば帰り遅れるって柊に連絡してないな。
あとで連絡するか。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...