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一章 女神様と同居編
3話 「役割分担」
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「…くん。…如月くん。朝ですよ、いつまで寝てるんですか」
「んん…?」
柊に身体を揺すられ、俺はゆっくり目を覚ます。
まだ若干寝ぼけているらしく、目は半開きだ。
「…だれだ…?」
「柊渚咲です」
「ひいらぎ…?」
「ほら、早く起きる。 今日はやる事多いんですから、お顔洗ってきてください」
柊は無理矢理俺の身体を起こすと、俺はおぼつかない足取りでトボトボと歩き始める。
柊は心配になったのか、俺の背中を押して洗面所へ誘導した。
「…すまん。変な所見せたな」
顔を洗い、完全に意識が覚醒した俺は、顔を赤くする。
「如月くんって朝弱いんですね」
「言わないでくれ…いつもは昼まで寝てるんだ」
時刻は8時。まだ朝は早いが、柊は既にパジャマから着替えている。
「はいはい。これからは休日だろうが早起きに慣れてもらいますからね」
「頑張る」
柊と共にリビングに行くと、テーブルの上に料理が並べられていた。
焼き魚と白米に味噌汁といった朝ご飯らしいメニューだった。
付け合わせにほうれん草のおひたしもあった。
「…朝から手が込んでるな」
「そうですか?このくらい簡単に出来ちゃいますよ」
そう言って、2人で食べ始める。
「やっぱり美味いな。 焼き魚とかめっちゃプリプリしてるし」
「そんな褒めても何も出ませんよ」
「いや、本心だから」
朝だと言うのに、味付けがちゃんとされている。
味噌汁も、インスタントかと思ったが、ちゃんと出汁から取っている手作りのものだった。
「…俺この味噌汁大好きだ」
「あら、それは良かったです」
そう言って、柊は笑った。
そして、当然のようにおひたしが残った。
食べ切らないとダメだと言うのは昨日で分かったので、意を決して食べ始める。
だが、やはり昨日と同じく美味しく食べる事が出来た。
「どうですか?なるべく美味しく食べられるように味付けしてみたのですが…」
不安そうな柊の視線に、俺は笑う。
「わざわざありがとな。めっちゃ美味い」
「そうですか…!それなら、良かったです」
安心したようで、柊は胸を撫で下ろす。
毎日これが食べられるとか最高だなぁ…と俺はしみじみと思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さて、役割分担を決めましょう」
朝ご飯を食べ終えた後、柊が指を立てて言った。
「まず如月くん。 貴方の得意な家事はなんですか?」
「ない」
「え」
ハッキリと言った俺に、柊は目が点になる。
「料理は作れないし、掃除も苦手だな…唯一洗濯だけはなんとか覚えたけども」
アパートに住んでいた時は、家の中は足の踏み場がないくらい散らかっていた。
きっとあれを柊が見たら間違いなく発狂していただろう。
「…ご、ご飯とかはどうしてたんですか…?」
「基本コンビニ弁当かカップ麺。めんどくさい時は栄養ゼリー食べてた」
そんな俺に、柊は自らの額を抑えた。
「考えられません…そんなの栄養不足です」
「まぁ…確かに」
「…分かりました。如月くんには簡単な家事だけ任せます。 そうですね…では、如月くんにはゴミ捨てと、皿洗い、そして買い出しをお願いします」
「分かった」
「買い出しに関してはたまに私も行きますが、女性1人では持ちきれない事が多いので」
確かに、食材の重さはバカにならない。
ゴミ捨てもしかりだ。
「ではとりあえず役割分担の話はこれで終わりにしましょう。 次は、如月くんの生活必需品についてですね」
家は全焼したので、もちろん何も残っていない。
歯ブラシやらバスタオルやら服まで、何もかも燃えてしまったのだ。
「歯ブラシなどの生活必需品については、これから食料の買い出しに行くついでに私が買ってきます。 如月くんはその間に服を買いに行っててください」
「お、おぉ…なんか本当迷惑ばかりかけてるな…」
「私が提案した事ですし、気にしないで下さい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「準備出来ましたか?」
「あぁ」
服はないのでとりあえず制服を着てリビングに来た。
柊も外行きの格好になっている。
「では、16時には私はこの家にいるようにしますので、如月くんはそのくらいを目安に帰ってきて下さい」
この部屋の鍵は柊が持っているので、もちろん柊がいないと部屋に入る事が出来ない。
今の時刻は12時、4時間もあれば服は十分買えるだろう。
「分かった」
そう言って、2人でマンションを出た。
向かう先はバラバラなので、マンションを出てすぐに別れた。
「さて、古着屋古着屋」
マンションから数十分ほど歩くと、よく服を買いにくる古着屋をみつけた。
中に入り、自分に似合いそうな服達を選別していく。
「…これくらいでいいかな」
あれから数時間が経ち、現在の時刻は15時。
買い物かごには、さまざまな古着が入っていた。
全てお会計し、財布が軽くなった後、次は普通の服屋へやってきた。
目的は、下着を買うためだ。
流石に何日も同じ下着を履くわけにはいかないし、柊に引かれても困る。
柊が洗濯する為奇抜な下着は選ばず、オーソドックスな物だけを選んだ。
時刻は16時を少し回った頃。
このまま帰ってもいいのだが…
「…なんか買ってくか」
ちょうど近くに女子高生に大人気のスイーツ店があった為、そこに入りショーケースと睨めっこする。
柊が何を好きなのかは陽太には分からないので、とりあえず無難にショートケーキとシュークリームを1個づつ買っていった。
買い物袋とケーキの袋を持ち、マンションのインターホンを押すと、綺麗な声で、『はい』と言う声が聞こえた。
「俺だ」
『今時オレオレ詐欺ですか? 申し訳ありませんが詐欺なら…』
「違う。如月陽太だ」
そう言うと、インターホン越しから小さく笑う声が聞こえた。
『今開けます』
扉が開き、中に入る。
そしてエレベーターに登り、柊の部屋の前に行く。
もう一度インターホンを押すと、柊が扉を開けた。
「おかえりなさい。随分と買ってきましたね」
「まぁな。これだけあれば困らないだろ」
とりあえず買ってきた服をリビングに起き、洗面所で手洗いうがいをする。
「これ、良かったら食べてくれ」
スイーツ店で買ってきた箱を渡すと、柊は目をパチクリさせている。
「まぁその…お礼みたいなもんだな」
「ふふ…ありがとうございますっ。では食後に食べましょう」
中を開けて確認した柊は、満面の笑顔を見せる。
その笑顔に、俺は目を逸らす。
「あ、私からも渡す物があります。はい」
そう言って、柊は鍵を渡してきた。
「…鍵?」
「合鍵作ってきました。 毎日私が先に帰れる保証はないですし、何かあった時の為にと」
「それはありがたいけど…お前俺の事疑わなすぎじゃないか…?」
「メリットデメリットの話ですよ。 今貴方が私に変な事をすれば、貴方にはデメリットしかないでしょう? 住む家も失い、学校からも、両親からの信頼も失いますからね」
柊は笑いながら言ってくる。
「…考えただけでゾッとするな…」
「でしょう?」
「…ありがたく受け取るよ」
「はい。 それと、歯ブラシなどの生活必需品は既に洗面所に置いてありますので、後で確認をお願いします」
「分かった」
そう言うと、柊はエプロンを着てキッチンに立つ。
「私は夕飯を作るので、如月くんは部屋で服の整理とかしてて下さい。
ハサミはあそこにあるので、値札切るのに使って下さい」
「さんきゅ。夕飯楽しみにしてる」
そう言い残し、自室で服の整理を始めた。
家着兼パジャマとして4着、外に来ていく服を6着。
全てセットで買ってきた。
これで当分は困らないだろう。
全ての服を棚に入れ終え、リビングに向かうと、良い匂い漂ってきた。
「今日はカレーか」
「はい。 中辛にしましたが、大丈夫でしたか?」
「あぁ。辛いのは苦手だし、中辛が丁度いい」
「同意見です」
ゆっくりと鍋の中のカレーをかき混ぜている柊を見ると
なんか、奥さん持ったみたいだな。
と思ってしまうが、すぐに思考を辞めた。
柊は善意で住まわせてくれている。
その善意を踏み躙るわけにはいかない。
「どうかしましたか?」
不審がった柊に、何でもないと返す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「出来ました。運んじゃって下さい」
「はいよ」
盛り付けられたカレーライスをテーブルに運ぶ。
ご丁寧に福神漬け付きだ。
先程からカレーの匂いで腹ペコだったので、やっと食べる事が出来る。
「「いただきます」」
2人で言い、食べ始める。
口に入れた瞬間、今まで食べてきたカレーとは異なるものを感じた。
みじん切りにされた玉ねぎの甘味が存分に溶け出し、カレーに深みを増している。
「美味いなぁ…」
「カレーに入ってる野菜は食べられるんですね」
「あぁ。 なんでかは分からないけどな。 でも、柊の野菜料理は美味いから、野菜嫌いが克服出来そうだ」
「じゃあ今度は野菜炒めにしましょうか」
「…今すっごい後悔してるわ」
柊は口に手を当てて上品に笑う。
まだ出会って2日目だが、出会った当初よりは自然に話せるようになっている事に喜びを感じる。
カレーを平らげ、ケーキも食べ終え、俺は皿洗いをしていた。
「カレーは次の日も食べられるから便利ですよね」
「だな。しかも美味いしアレンジも豊富だ」
「カレードリアに、カレーパン、キーマカレーなんかにも出来ますね」
「…なんかまた腹減ってきたぞ…」
「如月くんは細身なのに意外と食いしん坊さんなんですね」
「いや、普段はあんまり腹減らないんだけどな。 この家に住んでから腹が良く鳴るんだ」
「それは褒め言葉として受け取っておきますね」
嬉しそうな顔をする柊を見ながら、皿洗いを続けた。
「んん…?」
柊に身体を揺すられ、俺はゆっくり目を覚ます。
まだ若干寝ぼけているらしく、目は半開きだ。
「…だれだ…?」
「柊渚咲です」
「ひいらぎ…?」
「ほら、早く起きる。 今日はやる事多いんですから、お顔洗ってきてください」
柊は無理矢理俺の身体を起こすと、俺はおぼつかない足取りでトボトボと歩き始める。
柊は心配になったのか、俺の背中を押して洗面所へ誘導した。
「…すまん。変な所見せたな」
顔を洗い、完全に意識が覚醒した俺は、顔を赤くする。
「如月くんって朝弱いんですね」
「言わないでくれ…いつもは昼まで寝てるんだ」
時刻は8時。まだ朝は早いが、柊は既にパジャマから着替えている。
「はいはい。これからは休日だろうが早起きに慣れてもらいますからね」
「頑張る」
柊と共にリビングに行くと、テーブルの上に料理が並べられていた。
焼き魚と白米に味噌汁といった朝ご飯らしいメニューだった。
付け合わせにほうれん草のおひたしもあった。
「…朝から手が込んでるな」
「そうですか?このくらい簡単に出来ちゃいますよ」
そう言って、2人で食べ始める。
「やっぱり美味いな。 焼き魚とかめっちゃプリプリしてるし」
「そんな褒めても何も出ませんよ」
「いや、本心だから」
朝だと言うのに、味付けがちゃんとされている。
味噌汁も、インスタントかと思ったが、ちゃんと出汁から取っている手作りのものだった。
「…俺この味噌汁大好きだ」
「あら、それは良かったです」
そう言って、柊は笑った。
そして、当然のようにおひたしが残った。
食べ切らないとダメだと言うのは昨日で分かったので、意を決して食べ始める。
だが、やはり昨日と同じく美味しく食べる事が出来た。
「どうですか?なるべく美味しく食べられるように味付けしてみたのですが…」
不安そうな柊の視線に、俺は笑う。
「わざわざありがとな。めっちゃ美味い」
「そうですか…!それなら、良かったです」
安心したようで、柊は胸を撫で下ろす。
毎日これが食べられるとか最高だなぁ…と俺はしみじみと思った。
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「さて、役割分担を決めましょう」
朝ご飯を食べ終えた後、柊が指を立てて言った。
「まず如月くん。 貴方の得意な家事はなんですか?」
「ない」
「え」
ハッキリと言った俺に、柊は目が点になる。
「料理は作れないし、掃除も苦手だな…唯一洗濯だけはなんとか覚えたけども」
アパートに住んでいた時は、家の中は足の踏み場がないくらい散らかっていた。
きっとあれを柊が見たら間違いなく発狂していただろう。
「…ご、ご飯とかはどうしてたんですか…?」
「基本コンビニ弁当かカップ麺。めんどくさい時は栄養ゼリー食べてた」
そんな俺に、柊は自らの額を抑えた。
「考えられません…そんなの栄養不足です」
「まぁ…確かに」
「…分かりました。如月くんには簡単な家事だけ任せます。 そうですね…では、如月くんにはゴミ捨てと、皿洗い、そして買い出しをお願いします」
「分かった」
「買い出しに関してはたまに私も行きますが、女性1人では持ちきれない事が多いので」
確かに、食材の重さはバカにならない。
ゴミ捨てもしかりだ。
「ではとりあえず役割分担の話はこれで終わりにしましょう。 次は、如月くんの生活必需品についてですね」
家は全焼したので、もちろん何も残っていない。
歯ブラシやらバスタオルやら服まで、何もかも燃えてしまったのだ。
「歯ブラシなどの生活必需品については、これから食料の買い出しに行くついでに私が買ってきます。 如月くんはその間に服を買いに行っててください」
「お、おぉ…なんか本当迷惑ばかりかけてるな…」
「私が提案した事ですし、気にしないで下さい」
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「準備出来ましたか?」
「あぁ」
服はないのでとりあえず制服を着てリビングに来た。
柊も外行きの格好になっている。
「では、16時には私はこの家にいるようにしますので、如月くんはそのくらいを目安に帰ってきて下さい」
この部屋の鍵は柊が持っているので、もちろん柊がいないと部屋に入る事が出来ない。
今の時刻は12時、4時間もあれば服は十分買えるだろう。
「分かった」
そう言って、2人でマンションを出た。
向かう先はバラバラなので、マンションを出てすぐに別れた。
「さて、古着屋古着屋」
マンションから数十分ほど歩くと、よく服を買いにくる古着屋をみつけた。
中に入り、自分に似合いそうな服達を選別していく。
「…これくらいでいいかな」
あれから数時間が経ち、現在の時刻は15時。
買い物かごには、さまざまな古着が入っていた。
全てお会計し、財布が軽くなった後、次は普通の服屋へやってきた。
目的は、下着を買うためだ。
流石に何日も同じ下着を履くわけにはいかないし、柊に引かれても困る。
柊が洗濯する為奇抜な下着は選ばず、オーソドックスな物だけを選んだ。
時刻は16時を少し回った頃。
このまま帰ってもいいのだが…
「…なんか買ってくか」
ちょうど近くに女子高生に大人気のスイーツ店があった為、そこに入りショーケースと睨めっこする。
柊が何を好きなのかは陽太には分からないので、とりあえず無難にショートケーキとシュークリームを1個づつ買っていった。
買い物袋とケーキの袋を持ち、マンションのインターホンを押すと、綺麗な声で、『はい』と言う声が聞こえた。
「俺だ」
『今時オレオレ詐欺ですか? 申し訳ありませんが詐欺なら…』
「違う。如月陽太だ」
そう言うと、インターホン越しから小さく笑う声が聞こえた。
『今開けます』
扉が開き、中に入る。
そしてエレベーターに登り、柊の部屋の前に行く。
もう一度インターホンを押すと、柊が扉を開けた。
「おかえりなさい。随分と買ってきましたね」
「まぁな。これだけあれば困らないだろ」
とりあえず買ってきた服をリビングに起き、洗面所で手洗いうがいをする。
「これ、良かったら食べてくれ」
スイーツ店で買ってきた箱を渡すと、柊は目をパチクリさせている。
「まぁその…お礼みたいなもんだな」
「ふふ…ありがとうございますっ。では食後に食べましょう」
中を開けて確認した柊は、満面の笑顔を見せる。
その笑顔に、俺は目を逸らす。
「あ、私からも渡す物があります。はい」
そう言って、柊は鍵を渡してきた。
「…鍵?」
「合鍵作ってきました。 毎日私が先に帰れる保証はないですし、何かあった時の為にと」
「それはありがたいけど…お前俺の事疑わなすぎじゃないか…?」
「メリットデメリットの話ですよ。 今貴方が私に変な事をすれば、貴方にはデメリットしかないでしょう? 住む家も失い、学校からも、両親からの信頼も失いますからね」
柊は笑いながら言ってくる。
「…考えただけでゾッとするな…」
「でしょう?」
「…ありがたく受け取るよ」
「はい。 それと、歯ブラシなどの生活必需品は既に洗面所に置いてありますので、後で確認をお願いします」
「分かった」
そう言うと、柊はエプロンを着てキッチンに立つ。
「私は夕飯を作るので、如月くんは部屋で服の整理とかしてて下さい。
ハサミはあそこにあるので、値札切るのに使って下さい」
「さんきゅ。夕飯楽しみにしてる」
そう言い残し、自室で服の整理を始めた。
家着兼パジャマとして4着、外に来ていく服を6着。
全てセットで買ってきた。
これで当分は困らないだろう。
全ての服を棚に入れ終え、リビングに向かうと、良い匂い漂ってきた。
「今日はカレーか」
「はい。 中辛にしましたが、大丈夫でしたか?」
「あぁ。辛いのは苦手だし、中辛が丁度いい」
「同意見です」
ゆっくりと鍋の中のカレーをかき混ぜている柊を見ると
なんか、奥さん持ったみたいだな。
と思ってしまうが、すぐに思考を辞めた。
柊は善意で住まわせてくれている。
その善意を踏み躙るわけにはいかない。
「どうかしましたか?」
不審がった柊に、何でもないと返す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「出来ました。運んじゃって下さい」
「はいよ」
盛り付けられたカレーライスをテーブルに運ぶ。
ご丁寧に福神漬け付きだ。
先程からカレーの匂いで腹ペコだったので、やっと食べる事が出来る。
「「いただきます」」
2人で言い、食べ始める。
口に入れた瞬間、今まで食べてきたカレーとは異なるものを感じた。
みじん切りにされた玉ねぎの甘味が存分に溶け出し、カレーに深みを増している。
「美味いなぁ…」
「カレーに入ってる野菜は食べられるんですね」
「あぁ。 なんでかは分からないけどな。 でも、柊の野菜料理は美味いから、野菜嫌いが克服出来そうだ」
「じゃあ今度は野菜炒めにしましょうか」
「…今すっごい後悔してるわ」
柊は口に手を当てて上品に笑う。
まだ出会って2日目だが、出会った当初よりは自然に話せるようになっている事に喜びを感じる。
カレーを平らげ、ケーキも食べ終え、俺は皿洗いをしていた。
「カレーは次の日も食べられるから便利ですよね」
「だな。しかも美味いしアレンジも豊富だ」
「カレードリアに、カレーパン、キーマカレーなんかにも出来ますね」
「…なんかまた腹減ってきたぞ…」
「如月くんは細身なのに意外と食いしん坊さんなんですね」
「いや、普段はあんまり腹減らないんだけどな。 この家に住んでから腹が良く鳴るんだ」
「それは褒め言葉として受け取っておきますね」
嬉しそうな顔をする柊を見ながら、皿洗いを続けた。
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