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4話 「魔法を消す力」
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「行くよヨウタ! 」
「おっ、おう!」
「アイス・シュート!」
カグヤの手のひらから撃たれた氷の弾丸が、グラスの元へ向かって行く。
俺はとりあえずアイス・シュートの後ろに着き、グラスの元へ走った。
「ウォール・ガード」
だが、グラスの足元の砂の形が変わり、壁に変化した。 その壁によってアイス・シュートは防がれた。
「くらえぇっ!」
俺は、砂の壁を回り込み、グラスに剣を振り下ろした。
だが…グラスは身体を捻っただけで俺の攻撃を回避した。
「このっ…!」
そのままがむしゃらに剣を振り回すが、グラスは少しの体の動きで躱してしまう。
「当たれ…!」
「…動きが分かり易すぎるな。 インパクト!」
俺の腹にグラスが手をつけた瞬間、強い衝撃と痛みがやってきた。
そのまま俺はカグヤの元まで飛ばされてしまった。
「いってぇ…」
「ヨウタ大丈夫~?」
こんな俺に、カグヤはニコニコしながら話しかけてくる。
まったく焦っていないらしい。
「次は私に任せて。 ヨウタはできれば加勢してね!」
そう言って、カグヤは走り出した。
俺もすぐに走り出そうと思ったが、その場で踏みとどまった。
今俺が行っても足手まといになるだけだ。 なら、遠くから観察して、それを活かす方がいい。
「創造魔法・氷の槍!」
カグヤの頭上に氷で出来た鋭い槍が3本出来た。 そして、カグヤが手を振り下ろすと、3本の槍はグラスに向かって行った。
「っ! 創造魔法だと…それはかなり会得が難しいはず…!」
グラスは右に飛んで3本の槍を回避した。
3本の槍はそのまま飛び続ける。
「制御《コントロール》!」
だが、いきなり3本の槍が方向転換し、グラスを追い始めた。
「なにっ!? 創造魔法を制御するだと…!?」
カグヤは集中しているらしく、まったく喋らない。
対してグラスはただただ走り回っている。
…! 今なら当たるかもしれない!
「当たれえええぇっ!!」
俺はグラスの元へ思い切り剣を投げた。
剣はまっすぐグラスの方へ飛んで行く。 そして、グラスは剣に気づいたらしく、剣を避ける為に体制を崩した。
「ナイスだよヨウタ!! ブリザード!」
グラスが体制を崩した隙に、カグヤがグラスの下の地面を凍らせた。 そのせいでグラスは身動きが取れずにいる。
俺はすぐにカグヤの横に行く。
「ナイスアシストだったよ!」
「いや…当たらなかったし…」
実際、俺は何もやっていない。 これは魔法を勉強しないとなぁ……
「お見事だ。 カグヤ・ジュリエル。 君は噂通り本当に天才らしい」
グラスが微笑みながら言う。
あーそう。 俺の事は眼中にないと。 あーそうですか。
…泣くぞこの野郎。
「君の才能をもっと見てみたい。 だから、この技に対処してみろ…! 炎魔・火炎球!!」
突然、俺たちの前にとても巨大な炎の球が迫ってきた。
俺たちの身長を軽く超える大きさだ。
「な、なんだこれ…!?」
「これは…流石にキツイかなぁ…」
どうやらカグヤにもキツイらしい。 ……じゃあどうすんだこれ!?
「なんとかしてみるよ」
そう言って、カグヤが俺の前に立った瞬間、巨大な炎の球の中心が、白く光っているのが見えた。
…なんだろうあれは。 さっきまであんな光なかったはずだが…
俺は、何かに操られるかのように地面に落ちていた小さな石ころを拾い上げ…
「カグヤ! どけ!」
カグヤの前に出て、石ころを思い切り…
「おらあああっ!」
白い光に向かって投げた。 石ころは、白い光に吸い込まれていった。
…そして……
バアアアアアアアンッ!
という音と共に、巨大な炎の球が消えた。
俺の目の前では、グラスが目を見開いて俺を見ている。
「…あ、あれ…?」
え…? 消えちゃったけど…? 魔法って石ころで消せるものなのか?
いや、そんな訳ないよな……なら今のはいったい…
「す、凄いねヨウタ! 今のどうやったの!?」
「いや…俺にも分からなくて…あれ?」
さっきの白い光はなんなんだ? あれを見た瞬間、身体が勝手に動いていた。
「…お見事だ。 ヨガワ・ヨウタ」
グラスが、拍手をしながら俺の前に来た。 そして、俺とカグヤを交互に見る。
「ヨガワ・ヨウタ。 さっきのはどうやったのか知らないが、素晴らしいものを見せてもらった。 君達2人は合格だ。 是非、その力を我が校で強めてくれ」
…合格。 ……合格…?
「や、やったああああっ!」
俺は、嬉し過ぎて大喜びしてしまった。 なんとか合格出来た。 カグヤには感謝しなきゃな。
「君達は合格だ。 これからの試合を見学するも良し、校舎を見て周るのも良しだ」
「じゃあヨウタ! 校舎を見に行こ!」
「えっ、あ、おう!」
カグヤに腕を引っ張られ、俺は落とした剣を拾ってから闘技場を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うわー広いねぇ」
「だな。 これからここで学ぶんだもんな…」
今俺たちは校舎の中を見て回っている。 外見だけじゃなく、中も綺麗だ。 たまにすれ違う生徒達も優しく微笑んでくれるし。
優しい人ばかりだ。
こんな学校だからこそ、未だに実感が湧かない。 俺は決して優秀な人間ではない。 なのに、凡人の俺と天才のカグヤが一緒に歩いている。
おかしくて笑えてくる。
「ニヤニヤしてどうしたの?」
「いや、なんでもない。 これからよろしくな」
「うん!」
「あ、居ました! おーいヨウタさーん!」
俺とカグヤが話していると、後ろからフランに声をかけられた。
フランの横にはアスラも居る。
「合格おめでとうございます!」
「意外すぎてびっくりだったわ」
2人がそう言ってくる。 カグヤは横で首を傾げている。
「紹介するよ。 俺とペアを組んでくれたカグヤ・ジュリエルだ」
「あ、よろしくね!」
カグヤがそう言うと、フラン達も自己紹介をし、仲良く会話を始めた。
どうやらフラン達はカグヤを嫌ってはいないらしい。
「え!? ヨウタってこの世界の人じゃないの!?」
アスラから聞いたらしく、カグヤが質問してくる。
「あぁ。 だから魔法も使えないし文字も読めないんだ」
「なるほどねぇ…別の世界かぁ…」
カグヤが小さく呟く。
だが、その事には触れず、俺たちはフランとアスラの案内で校内を見て回った。
食堂、教室、購買、寮など。 色々な施設があった。
なかでも1番驚いたのが購買だ。
なんとこの購買、服や剣、食品などが売ってるのだ。
だからわざわざ学校を出なくてもいいらしい。
なんと便利な学校だろう。
そして、校内を歩き回って数時間経った頃。
『編入試験の合格者は、試験会場に集まって下さい』
というアナウンスが流れた。
「呼び出しみたいよ。 行って来なさい」
アスラにそう言われ、俺とカグヤは走って試験会場へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
試験会場に着き、扉を開けると…
「お、来たか。 君達で最後だ」
俺たちで最後。 つまり、もう合格者はいないという事だ。
この部屋には、俺たちを合わせて4人しかいなかった。
「今回の編入試験。 合格者は、カグヤ・ジュリエル。 ヨガワ・ヨウタ。 グレイ・ファンネル。 フリル・マーネイド。 君達4人だ。 おめでとう」
110人中。 合格者は4人だけらしい。
「おっ、おう!」
「アイス・シュート!」
カグヤの手のひらから撃たれた氷の弾丸が、グラスの元へ向かって行く。
俺はとりあえずアイス・シュートの後ろに着き、グラスの元へ走った。
「ウォール・ガード」
だが、グラスの足元の砂の形が変わり、壁に変化した。 その壁によってアイス・シュートは防がれた。
「くらえぇっ!」
俺は、砂の壁を回り込み、グラスに剣を振り下ろした。
だが…グラスは身体を捻っただけで俺の攻撃を回避した。
「このっ…!」
そのままがむしゃらに剣を振り回すが、グラスは少しの体の動きで躱してしまう。
「当たれ…!」
「…動きが分かり易すぎるな。 インパクト!」
俺の腹にグラスが手をつけた瞬間、強い衝撃と痛みがやってきた。
そのまま俺はカグヤの元まで飛ばされてしまった。
「いってぇ…」
「ヨウタ大丈夫~?」
こんな俺に、カグヤはニコニコしながら話しかけてくる。
まったく焦っていないらしい。
「次は私に任せて。 ヨウタはできれば加勢してね!」
そう言って、カグヤは走り出した。
俺もすぐに走り出そうと思ったが、その場で踏みとどまった。
今俺が行っても足手まといになるだけだ。 なら、遠くから観察して、それを活かす方がいい。
「創造魔法・氷の槍!」
カグヤの頭上に氷で出来た鋭い槍が3本出来た。 そして、カグヤが手を振り下ろすと、3本の槍はグラスに向かって行った。
「っ! 創造魔法だと…それはかなり会得が難しいはず…!」
グラスは右に飛んで3本の槍を回避した。
3本の槍はそのまま飛び続ける。
「制御《コントロール》!」
だが、いきなり3本の槍が方向転換し、グラスを追い始めた。
「なにっ!? 創造魔法を制御するだと…!?」
カグヤは集中しているらしく、まったく喋らない。
対してグラスはただただ走り回っている。
…! 今なら当たるかもしれない!
「当たれえええぇっ!!」
俺はグラスの元へ思い切り剣を投げた。
剣はまっすぐグラスの方へ飛んで行く。 そして、グラスは剣に気づいたらしく、剣を避ける為に体制を崩した。
「ナイスだよヨウタ!! ブリザード!」
グラスが体制を崩した隙に、カグヤがグラスの下の地面を凍らせた。 そのせいでグラスは身動きが取れずにいる。
俺はすぐにカグヤの横に行く。
「ナイスアシストだったよ!」
「いや…当たらなかったし…」
実際、俺は何もやっていない。 これは魔法を勉強しないとなぁ……
「お見事だ。 カグヤ・ジュリエル。 君は噂通り本当に天才らしい」
グラスが微笑みながら言う。
あーそう。 俺の事は眼中にないと。 あーそうですか。
…泣くぞこの野郎。
「君の才能をもっと見てみたい。 だから、この技に対処してみろ…! 炎魔・火炎球!!」
突然、俺たちの前にとても巨大な炎の球が迫ってきた。
俺たちの身長を軽く超える大きさだ。
「な、なんだこれ…!?」
「これは…流石にキツイかなぁ…」
どうやらカグヤにもキツイらしい。 ……じゃあどうすんだこれ!?
「なんとかしてみるよ」
そう言って、カグヤが俺の前に立った瞬間、巨大な炎の球の中心が、白く光っているのが見えた。
…なんだろうあれは。 さっきまであんな光なかったはずだが…
俺は、何かに操られるかのように地面に落ちていた小さな石ころを拾い上げ…
「カグヤ! どけ!」
カグヤの前に出て、石ころを思い切り…
「おらあああっ!」
白い光に向かって投げた。 石ころは、白い光に吸い込まれていった。
…そして……
バアアアアアアアンッ!
という音と共に、巨大な炎の球が消えた。
俺の目の前では、グラスが目を見開いて俺を見ている。
「…あ、あれ…?」
え…? 消えちゃったけど…? 魔法って石ころで消せるものなのか?
いや、そんな訳ないよな……なら今のはいったい…
「す、凄いねヨウタ! 今のどうやったの!?」
「いや…俺にも分からなくて…あれ?」
さっきの白い光はなんなんだ? あれを見た瞬間、身体が勝手に動いていた。
「…お見事だ。 ヨガワ・ヨウタ」
グラスが、拍手をしながら俺の前に来た。 そして、俺とカグヤを交互に見る。
「ヨガワ・ヨウタ。 さっきのはどうやったのか知らないが、素晴らしいものを見せてもらった。 君達2人は合格だ。 是非、その力を我が校で強めてくれ」
…合格。 ……合格…?
「や、やったああああっ!」
俺は、嬉し過ぎて大喜びしてしまった。 なんとか合格出来た。 カグヤには感謝しなきゃな。
「君達は合格だ。 これからの試合を見学するも良し、校舎を見て周るのも良しだ」
「じゃあヨウタ! 校舎を見に行こ!」
「えっ、あ、おう!」
カグヤに腕を引っ張られ、俺は落とした剣を拾ってから闘技場を後にした。
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「うわー広いねぇ」
「だな。 これからここで学ぶんだもんな…」
今俺たちは校舎の中を見て回っている。 外見だけじゃなく、中も綺麗だ。 たまにすれ違う生徒達も優しく微笑んでくれるし。
優しい人ばかりだ。
こんな学校だからこそ、未だに実感が湧かない。 俺は決して優秀な人間ではない。 なのに、凡人の俺と天才のカグヤが一緒に歩いている。
おかしくて笑えてくる。
「ニヤニヤしてどうしたの?」
「いや、なんでもない。 これからよろしくな」
「うん!」
「あ、居ました! おーいヨウタさーん!」
俺とカグヤが話していると、後ろからフランに声をかけられた。
フランの横にはアスラも居る。
「合格おめでとうございます!」
「意外すぎてびっくりだったわ」
2人がそう言ってくる。 カグヤは横で首を傾げている。
「紹介するよ。 俺とペアを組んでくれたカグヤ・ジュリエルだ」
「あ、よろしくね!」
カグヤがそう言うと、フラン達も自己紹介をし、仲良く会話を始めた。
どうやらフラン達はカグヤを嫌ってはいないらしい。
「え!? ヨウタってこの世界の人じゃないの!?」
アスラから聞いたらしく、カグヤが質問してくる。
「あぁ。 だから魔法も使えないし文字も読めないんだ」
「なるほどねぇ…別の世界かぁ…」
カグヤが小さく呟く。
だが、その事には触れず、俺たちはフランとアスラの案内で校内を見て回った。
食堂、教室、購買、寮など。 色々な施設があった。
なかでも1番驚いたのが購買だ。
なんとこの購買、服や剣、食品などが売ってるのだ。
だからわざわざ学校を出なくてもいいらしい。
なんと便利な学校だろう。
そして、校内を歩き回って数時間経った頃。
『編入試験の合格者は、試験会場に集まって下さい』
というアナウンスが流れた。
「呼び出しみたいよ。 行って来なさい」
アスラにそう言われ、俺とカグヤは走って試験会場へと向かった。
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試験会場に着き、扉を開けると…
「お、来たか。 君達で最後だ」
俺たちで最後。 つまり、もう合格者はいないという事だ。
この部屋には、俺たちを合わせて4人しかいなかった。
「今回の編入試験。 合格者は、カグヤ・ジュリエル。 ヨガワ・ヨウタ。 グレイ・ファンネル。 フリル・マーネイド。 君達4人だ。 おめでとう」
110人中。 合格者は4人だけらしい。
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