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☆妹姫の考察

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ベロニカは豊かな黒髪に、青緑の瞳を持つ、皇太子殿下そっくりの美少女だ。

物心つかないほど幼い頃病弱だった彼女は、よく遊びに来てくれる兄妹・・・その中でも、ただ一人の姉であるウェングリンが好きだった。

ベッドの上から出れない自分に配慮もなく、楽しそうに話し、ダンスを見せてくれる。
窘められてもぶぅくれて妹であるベロニカに甘えに来る、姉姫ウェングリン。

それはベロニカに初めて芽生えた庇護欲だった。

壊してしまいそうな妹姫たちよりも、ウェングリンに先走って、それは芽生えてしまったのだ。

そうして気力で病弱を治したベロニカは、すっかりどシスコンとなった。

それこそ姉が無意識下で好きなラナーシュのところに、無理やりついて行くくらいには。

だからこそただの風邪でそれが中断された時、ウキウキとかなり早い時間にウェングリンが一人で出かけたと聞くと、ベロニカは歯ぎしりをして主のことをよく理解するメイドたちをも怯えさせた。

そうしてきっかり五時間後、なんだかんだ言ってちゃんとラナーシュと遊んできたウェングリンの心ここに在らずの状態に、ベロニカは驚いて目を剥いた。

一体何をやりやがったのかと思いながら優しく聞き出すと、言われたのは驚きの回答。

「ラナーシュが・・・ベロニカを・・・好き・・・」
「・・・なんて?」
「言ってた・・・ラナーシュ・・・ベロニカ・・・好き・・・」
「・・・なんで?」

その時ベロニカは結構真面目に意味がわからなかった。
けれどもウェングリンより先に混乱から立ち直ると、ニヤリと黒い笑みを浮かべた。

───────上手く行けば、ラナーシュから引き剥せる・・・

それから数年の時が過ぎ、二人の恋路を邪魔しまくったベロニカは祖父である皇帝の命令で嫁ぎ先を探され、いやいや仕方なく、ウェングリンと同じ碧銀色の髪に青緑の瞳を持つという悪評高い貴族に嫁ぐことにした。
もちろんその悪評が嘘であること、髪と目の色がウェングリンに近いことをしっかり確認した上で、だ。

と、言うのがそのお話の真実であり、ウェングリンが拗らせた原因である。






「・・・よく分からん」
「・・・ううっ、ともかく・・・ラナーシュはベロニカが好きで・・・だからきっとついて行きたいと思っていたのじゃ・・・」
「・・・よく分からん」

同じことを繰り返しながらめそめそ泣いてはいないするウェングリンに困り果てる。

だがウェングリンは心が強かった。
あっという間に立ち直ると、語りきって満足気に微笑み、「次はネロの番じゃ」と言った。

「・・・は?俺の・・・?」
「そうじゃなぁ・・・お前の生まれ故郷の話が聞きたいぞ!」
「・・・」

ネロは目を見開いて固まった。

その反応に、ウェングリンはあれ?となる。
そして恐る恐る問いかけた。

「・・・もしかして・・・ダメだったか?」

もしかしてネロの地雷だったか?と不安がりながら。

それに対し、俺は答えた。

「・・・いや、いいぞ、つまんないけど」
「!よい!聞いてみたい!」
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