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コーク商会長アトワ

ハイネの足跡

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「······夢か」

昔の夢を見ていた。
ハイネが消えてすぐの、父さんに保護されて、家で少しも身動き出来ずに熱い熱に魘された。

あの日ハイネは、誰にも何も言わず、森に抜け出したらしい。
俺とよく一緒に行った、秘密の花畑に。

だから、誰も気が付かなかった。

ハイネの居場所に。

ハイネがいなくなったと騒ぎになったのは、俺がベッドに沈んで割とすぐ。
父さんは顔を真っ青に駆け回り、砦の兵たちも多くが出た。

それでも、消えたハイネは見つからなかった。

そしてその日を境に、俺は少年兵を辞めた。

周りには随分と心配をかけたが、ハイネを探すためだと言えば納得した。
死ぬとでも思われていたらしい。
は、まだ子供だぞ。

俺は少年兵としての任務などを全て自分の周りから消し去って、鍛錬とハイネの捜索のみに力を入れた。
ハイネの一番の手がかりはその髪と瞳の色だ。
青みがかった銀髪に、藤色の瞳。
どちらも滅多に現れない色合いだ。

調べると、青みがかった銀髪は高い神聖力の証であり、藤色の瞳はとある少数民族の血筋に現れる色なのだと言う。

どちらも希少な力だ。
滅多に現れないから殆どの者はその価値を知らないが、知ってる者には宝の山、金の成る木に見えることだろう。

北の地からハイネの行方を追うには、俺はあまりにも幼く、物知らずだった。

まずは、権力を持たなければならない。

英雄になるのが手っ取り早いが、前世と同じじゃ意味が無い。
国家に飼われるつもりは毛頭ない。

ならばどうするか。

簡単な事だった。
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