28 / 47
少女の始まり
一目惚れ
しおりを挟む
マロンが見えなくなってから次の仕事を済ませるために団長のところに赴く。
アーノルトが見つかれば行く必要ないんだけどなー······めんどくさ。
「あの、すみません」
その時、背中に澄んだ小鳥のような愛らしい声がかかった。
反射的に振り返ると、白の黒のフードを被った二人組。
白の方が背丈が低くて、こっちを向いているから声をかけた方。
「······どなたでしょう」
警戒を強める。
「あっ、申し訳ありません!私たちはコーク商会の者でして」
「コーク······ああ、例の」
そう言えば団長が言ってたなー······。
警戒を弱めて、とりあえず名前でも聞くかね。
「お名前は?」
「失礼しました、私はアリス・バレルと申します」
女性はアリスと名乗るとフードを落とした。
思わず息を飲む。
マロンと同じ、青みがかった銀髪を長く伸ばし、女神のようなかんばせをこちらに向ける。
その瞳は、それはもう美しい黄水晶だった。
つまるところ、絶世の美女がそこにいた。
「そしてこちらが、商会長の······」
隣の男が、フードを落とす。
瞬間、私は男の虜になった。
流れる黒髪が、光を持たないアイオライトの瞳が、表情のない人形じみた美貌が、全てがあまりに美しくて。
「アトワ・コーク様です」
「アトワ······」
アーノルトが見つかれば行く必要ないんだけどなー······めんどくさ。
「あの、すみません」
その時、背中に澄んだ小鳥のような愛らしい声がかかった。
反射的に振り返ると、白の黒のフードを被った二人組。
白の方が背丈が低くて、こっちを向いているから声をかけた方。
「······どなたでしょう」
警戒を強める。
「あっ、申し訳ありません!私たちはコーク商会の者でして」
「コーク······ああ、例の」
そう言えば団長が言ってたなー······。
警戒を弱めて、とりあえず名前でも聞くかね。
「お名前は?」
「失礼しました、私はアリス・バレルと申します」
女性はアリスと名乗るとフードを落とした。
思わず息を飲む。
マロンと同じ、青みがかった銀髪を長く伸ばし、女神のようなかんばせをこちらに向ける。
その瞳は、それはもう美しい黄水晶だった。
つまるところ、絶世の美女がそこにいた。
「そしてこちらが、商会長の······」
隣の男が、フードを落とす。
瞬間、私は男の虜になった。
流れる黒髪が、光を持たないアイオライトの瞳が、表情のない人形じみた美貌が、全てがあまりに美しくて。
「アトワ・コーク様です」
「アトワ······」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

貴方の事を愛していました
ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。
家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。
彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。
毎週のお茶会も
誕生日以外のプレゼントも
成人してからのパーティーのエスコートも
私をとても大切にしてくれている。
ーーけれど。
大切だからといって、愛しているとは限らない。
いつからだろう。
彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。
誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。
このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。
ーーけれど、本当にそれでいいの?
だから私は決めたのだ。
「貴方の事を愛してました」
貴方を忘れる事を。

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる