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少女の始まり
大好きな赤
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わたしは、赤色がすき。
目がさめて、おもいだせたのはそれだけだった。
こまったような女のひとが、まゆげを下げてなまえをもう一回きいたけど、やっぱりおもいだせないや。
「記憶が······もしかしたら、もう二度と戻らないかもしれません」
「そうか······」
わたしの大好きな色と同じ、赤の髪。
赤いおじさんはわたしをじいっと見てから、にっこり笑った。
「じゃあ、俺が引き取るわ」
「······はい······?」
「よーし、お前は今日から我が傭兵団の一員だ!名前はそうだな······マロンとかどうだ?栗。美味いよなぁ」
「ちょ、あなたまた増やすつもりですか!?子供の面倒を見れるほど懐は潤っていません!」
「いいじゃねぇかイシア、こいつだって知らない奴より知ってる奴のがいいもんな?なぁ、マロン」
あったかいおててが、わたしをなでた。
なんだろう、すごくなつかしい。
うれしくて、かなしい。
これはとっても大切なことだ。
だからわたしはうなづいた。
その日からわたしは『無敗の傭兵団』のみならいのマロンになった。
目がさめて、おもいだせたのはそれだけだった。
こまったような女のひとが、まゆげを下げてなまえをもう一回きいたけど、やっぱりおもいだせないや。
「記憶が······もしかしたら、もう二度と戻らないかもしれません」
「そうか······」
わたしの大好きな色と同じ、赤の髪。
赤いおじさんはわたしをじいっと見てから、にっこり笑った。
「じゃあ、俺が引き取るわ」
「······はい······?」
「よーし、お前は今日から我が傭兵団の一員だ!名前はそうだな······マロンとかどうだ?栗。美味いよなぁ」
「ちょ、あなたまた増やすつもりですか!?子供の面倒を見れるほど懐は潤っていません!」
「いいじゃねぇかイシア、こいつだって知らない奴より知ってる奴のがいいもんな?なぁ、マロン」
あったかいおててが、わたしをなでた。
なんだろう、すごくなつかしい。
うれしくて、かなしい。
これはとっても大切なことだ。
だからわたしはうなづいた。
その日からわたしは『無敗の傭兵団』のみならいのマロンになった。
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