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少女の始まり
真っ暗になる
しおりを挟むどのくらいすぎたかな、もうおぼえてないや。
でも、ホントはきっとほんの少し。
だってごはんの時間は少ししかきてないの。
ゴトゴトゆれるじめんが痛い。
まだかなぁ、まだかなぁ、アトワ。
早く来てくれないかな。
なんだかだんだん眠くなるの。
ごはんもおいしくないし、たくさんねれないし、おじさんたちはこわい。
おしりはいたいし、お外はうるさくて、たまにつれていかれる子はもう帰ってこない。
その時は、いちばんうるさかった。
お外はだれかが叫んで、じめんがゆれた。
大きくひっくりかえったから、わたしはホントのじめんにころがった。
いたい。
アトワ、アトワ、いたいよ、アトワ。
かおをあげた。
あかい、赤い。
それはなんだろう。
ギザギザの白い、赤くぬれたそれに、かみのような細い糸がまきついて、その先にまぁるいボールがぶら下がっている。
なんだろう、これ。
むかしアトワがとってきて、すぐにどこかへやってしまったそれによく似てる。
これはあれと同じもの?でも、大きい。
あれよりも大きいやつかな。
ぱくんとそれが開いた。
真っ暗で、真っ黒なそれに、目がいった。
なんだかとても、ねむくて。
気がつかないうちに、わたしはねむっちゃったのかもしれない。
ああ、アトワはいつになったらむかえにきてくれるのかな。
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