19 / 47
北の砦の少年兵アトワ
探し求める
しおりを挟む
「ハイネ······ハイネ、ハイネ······ハイネ、ハイネハイネ······」
うわ言のように呟きながら、俺はひたすらに歩き続けた。
身体中ボロボロで、足なんて靴を履いてないから血まみれで。
でも、そんなことどうでもいいくらい心が悲鳴をあげていた。
三回目。
三度目の正直だった。
ハイネを、今度こそ幸せにしたかった。
自己満足だったのかもしれない。
ハイネは幸せじゃなかったのかもしれない。
もっと側にいればよかった。
少年兵になんかなるんじゃなかった。
気が緩んでいたんだ。
そばにいないと、守れないくせに。
ほんの少し、夢を見たのだ。
友人が、家族が、俺とハイネを囲むような、そんな夢。
欲を出して、手を伸ばして、けれどもハイネが零れ落ちた。
ハイネ、ハイネ、大切な、愛しいハイネ。
可愛い可愛い、俺の、俺だけのハイネ。
ハイネに手を伸ばしたことこそ、間違いだったのかもしれない。
済まないりお。申し訳ございませんそふぃーりあさま。ごめんねはいね。
こんな俺で、本当に。
うわ言のように呟きながら、俺はひたすらに歩き続けた。
身体中ボロボロで、足なんて靴を履いてないから血まみれで。
でも、そんなことどうでもいいくらい心が悲鳴をあげていた。
三回目。
三度目の正直だった。
ハイネを、今度こそ幸せにしたかった。
自己満足だったのかもしれない。
ハイネは幸せじゃなかったのかもしれない。
もっと側にいればよかった。
少年兵になんかなるんじゃなかった。
気が緩んでいたんだ。
そばにいないと、守れないくせに。
ほんの少し、夢を見たのだ。
友人が、家族が、俺とハイネを囲むような、そんな夢。
欲を出して、手を伸ばして、けれどもハイネが零れ落ちた。
ハイネ、ハイネ、大切な、愛しいハイネ。
可愛い可愛い、俺の、俺だけのハイネ。
ハイネに手を伸ばしたことこそ、間違いだったのかもしれない。
済まないりお。申し訳ございませんそふぃーりあさま。ごめんねはいね。
こんな俺で、本当に。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる