16 / 47
北の砦の少年兵アトワ
お祭り
しおりを挟む
(ハイネが)待ちに待った······祭りの日。
俺は可愛くめかしこんだハイネを見て、外に出していいのか深く深く悩んだ。
······母さんに思い切り頭をはたかれ、しぶしぶ外に出たけど。
ハイネは可愛い。
ふんわり揺れるワンピースの裾や、フリルの縫い付けられた袖、髪を結ぶリボン、全てが付属品でしかない。
レベルが違う。
存在が違う。
何もかもが段違い。
愛してる。
キャラキャラ笑うハイネを連れ、出店を回ることにした。
出店と言っても前前世のような本格的な屋台や、前世の誕生祭のような豪華絢爛なものでは無い。
地べたにシートを敷いて小物を売ったり、借りた屋台でこの日限りの特別メニューを出したり、大抵はそんなものだ。
だが最も目立っているのは、通りを歩いているのが家族や恋人、友人であり、独り身のものがいないこと。
先輩たちは今頃涙を飲んで砦からこちらを眺めているだろう。
可愛いハイネと歩くことに優越感を覚えながら、ハイネと久々に過ごす二人きりの時間(通りの人々は数えない)は過ぎていった。
まさかこれが、ハイネと過ごした最後の日だとは思わずに。
その日は、ゆっくりと終わっていった。
俺は可愛くめかしこんだハイネを見て、外に出していいのか深く深く悩んだ。
······母さんに思い切り頭をはたかれ、しぶしぶ外に出たけど。
ハイネは可愛い。
ふんわり揺れるワンピースの裾や、フリルの縫い付けられた袖、髪を結ぶリボン、全てが付属品でしかない。
レベルが違う。
存在が違う。
何もかもが段違い。
愛してる。
キャラキャラ笑うハイネを連れ、出店を回ることにした。
出店と言っても前前世のような本格的な屋台や、前世の誕生祭のような豪華絢爛なものでは無い。
地べたにシートを敷いて小物を売ったり、借りた屋台でこの日限りの特別メニューを出したり、大抵はそんなものだ。
だが最も目立っているのは、通りを歩いているのが家族や恋人、友人であり、独り身のものがいないこと。
先輩たちは今頃涙を飲んで砦からこちらを眺めているだろう。
可愛いハイネと歩くことに優越感を覚えながら、ハイネと久々に過ごす二人きりの時間(通りの人々は数えない)は過ぎていった。
まさかこれが、ハイネと過ごした最後の日だとは思わずに。
その日は、ゆっくりと終わっていった。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
【本編完結】副団長様に愛されすぎてヤンデレられるモブは私です。
白霧雪。
恋愛
王国騎士団副団長直属秘書官――それが、サーシャの肩書きだった。上官で、幼馴染のラインハルトに淡い恋をするサーシャ。だが、ラインハルトに聖女からの釣書が届き、恋を諦めるために辞表を提出する。――が、辞表は目の前で破かれ、ラインハルトの凶悪なまでの愛を知る。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
window
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
子供の親権も放棄しろと言われてイリスは戸惑うことばかりでどうすればいいのか分からなくて混乱した。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
【完結】帰れると聞いたのに……
ウミ
恋愛
聖女の役割が終わり、いざ帰ろうとしていた主人公がまさかの聖獣にパクリと食べられて帰り損ねたお話し。
※登場人物※
・ゆかり:黒目黒髪の和風美人
・ラグ:聖獣。ヒト化すると銀髪金眼の細マッチョ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる