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北の砦の少年兵アトワ

十歳

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一年が経った。

四歳になったハイネは可愛らしさを増している。
最近構ってやれなかったからかちょっと大人び始めた感情を露わにしてプンプン怒っているのが可愛い。

両親とハイネの両親の生ぬるい笑みを無視して、ハイネの手を引き名を呼ばせ俺はご満悦だった。

この街には祭りがある。

伴侶や恋人、友人と出かける祭りだ。

少年兵仲間に誘われたが秒で断った。

相手もわかってたのか苦笑い。

それとこの言い草でわかる通り、俺は未だ同期の名を覚えてない。

「なんだっけ······?ダリアン?」
「「「掠ってもねえ!」」」

ルークハリスルイ······覚えにくいな、もっと個性を出せよ。

そう言ったら拳が飛んできた。
ひとつは避けてひとつは叩き落としもうひとつは手のひらでとめた。

「······ここまで差があるとは······」

なんて呆然としていたのを思い出す。

経験値の差であり決してこいつらが弱い訳では無い。

ただの英雄と凡人の差だ。

こいつらは優秀な部類に入る凡人で、俺は神がかった天才だった。

それだけ。

まあこの世界にはそもそも俺とハイネとその他の凡人しか存在しない。

ハイネは神がかった愛らしさを象徴している。

四歳になってますます磨きがかかった。
大好きだ。
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