三度目の人生でもあなたを探し続けている

ものくろぱんだ

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北の砦の少年兵アトワ

三度目の俺

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アトワは父親譲りのアイオライトの瞳に、母親譲りの綺麗な顔をしていた。

前世と前前世を彷彿とさせる顔の良さだ。

自分の顔がいいことには既に慣れた。

もしかしたら妻は面食いなのかもしれないし、こっちの方がいい。

······いや、一目惚れをするくらいだ。
多分面食いだろう。



アトワはまだ五歳。
それなのに父の家の物置で、ぼろぼろの服を着て、母と二人ひもじい思いをしながら生活している。

配給されているはずの食事なんてメイドがつまみ食いするせいで全く残ってない。

母さんは美貌を妬まれ下女以下の扱いで、俺の扱いも······まあ、良くはない。

典型的な貴族の庶子だ。

ここまで前前世で読んだ小説のようだといっそ笑いが込み上げる。

確かこういうのはのちのち俺が強くなってざまぁというのをするんだったか、家に留まる場合もあれば追放されることもある······うちの場合父からの愛もないので後者だろう。

······いや、追放される前に、出ていけばいいのだ。

「アトワ?」

······母も連れていこう。



神に頼んで、今度こそ気がつけるようにしてもらったから、決して見逃す訳には行かない。



······それと最近、莉緒と呼べなくなった。

ソフィーリア様と被って、どちらを愛しているのか分からないのだ。

どちらも愛しているはずなのに、この思考がおかしいと思ってしまう。

どちらかを選べと迫られているようだった。

もちろん同じ人物では無いのは、二度目で痛感した。

それでもやっぱり、根本は同じだったのだ。
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