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私はきっと愛し方を知らないから

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「そうじゃなくて・・・これからの事を話しておきたかったの」

本当はピクニックの時にでも・・・と思ったんだけどね。

「・・・ステフ、私は親に恵まれなかったわ」
「そう・・・ですね」 
「だから・・・子供への接し方が分からないと思うの」
「・・・うん?」

まあ言ってしまうと。

「不安なの・・・だから、子供はやっぱり産まない方がいいのかもしれない」
「ちょ、ちょっと、ちょっと待ってくれ!」

ステフが慌てたように叫んだ。

「え、エルメ様・・・それ真面目に言ってます?」
「言っているわ・・・私は、親にはなれないと思うの」

そう零せばステフの顔が呆れたようなものになった。

「ッは~・・・良かったぁ、そういう事か・・・びっくりした、まさか今更初夜なしになって悶々とするのかと・・・」
「ちょ、何言ってるのよこの馬鹿!」

真剣そうな声で変なこと言わないでよ!

「いいじゃないすか、別に・・・誰もいねぇし」
「そ、それはそう・・・だけど」
「それから・・・俺は、エルメ様が子供を愛せないなんて思いません」
「・・・え?」

震えた声がこぼれる。

・・・私は、両親の歪さを目の当たりにしてきた。
だから自分が、子供をちゃんと愛せるか分からなかった。

「あなたは、血すら繋がってないアンジュリア姫を、そりゃあもう可愛がってます。みんなそれ見て、いいお母さんになるねって言ってます。皇太子殿下だけじゃない!妃殿下も、皇帝陛下もです!」
「え、ええええ!!!???」

いつの間にそんな話を!?

顔を真っ赤にしていると、いつの間にかベッドに押し倒されていた。

・・・うん?

状況のおかしさに目を白黒させ、何とか足を暴れさせようとした瞬間、「それと・・・」というステフの声が、耳の近くで響いた。
耳朶を震わす音と、かけられた吐息の熱さ、組み敷かれた体に抵抗を思わず辞めたら、悪戯っぽく笑ったステフが言った。

「子供が何人欲しいか、聞いてくれたでしょ?あの時、言ったじゃないすか・・・絶対幸せにするって・・・エルメ」
「~!」

・・・ずるいわ。
なんでこんな時に様付け外すのよ!
これはずるいわ!
こんなの抗えるわけないじゃない!?



狼の前に差し出されて震える子うさぎは、結局その日美味しく頂かれてしまった。

「俺は、世界で一番幸せだよ・・・エルメ」

ああ、わかったからいい加減にしなさい!






「・・・こしがいたいわ」

なんでこんなことになったんだっけ?
そうだわ、私が子供云々の話をしたから絶対子供作るとか言い出した馬鹿が奮闘し始めたんだったわ。

・・・いえ、多分この話をしていなくても・・・ううん、やめときましょう。

「・・・できたかしら?」

薄いお腹に手を当てても、まだ何も分からない。
首を傾げた私の目が、いつから開いていたのか分からない爛々とした紫を捉えた。

「・・・ステフ・・・」
「エルメッ・・・!」

いい加減にしなさいこの馬鹿!
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