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新しい生活が幸せすぎる
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「お嬢様、起きてくださいまし」
「うーん・・・あと五分・・・ステフ、もうちょっとねかして・・・」
「おほほお嬢様ったら、私はトートですわ?」
「うん・・・とーと・・・すてふじゃなくて・・・トート!?」
やだ一気に覚醒したわ。
恥ずかしすぎて顔を覆う。
そんな私をニヨニヨ眺めるんじゃありません。
「お着替えしましょうお嬢様」
「うん・・・」
視界に入るのは見慣れた黒と青ではなく、暖かな光が満ちる白と陽だまりのような優しい黄色の空間。
風が吹き込むカーテンがふわりと揺れ、小鳥の囀りが軽やかに歌われる。
やだ、ここは天国!?
まじまじと再び見つめていると、用意された服がすごかった。
やだ語彙力が消滅しちゃったわ。
明るいミントグリーンのドレスにはピンクの糸で愛らしい薔薇の刺繍が施されている。
レースのリボンは上品だし、何より青と黒が使われていないのが素晴らしいわね。
しかも!
これは凄いのだけれど、なんと朝から髪を結ってもらえるし、髪飾りや首飾りまで選ばせてくれるの!
あっちじゃ何もつけずに髪をといただけが普通だったのに!
もうこれが三週間続いているんだから日常と言っていいわよね?
正直ここまで世話されるのは落ち着かない。
いくらステフでも着替えやお風呂までは着いてこなかったから・・・。
あ、でも髪を結ぶのはあいつ得意よ。
それにしても本当に素敵なドレス・・・妃殿下にお礼を言わないと。
「じゃあ食堂に行きましょう」
「ええ・・・その、ごめんなさいね?・・・ステフだと思って・・・」
「おほほ、よろしいのですよお嬢様、それより未婚の男女が同じ部屋にいることを許す生家の方がおかしいですわ」
刺がある嫌味をあの家につくと、優しげな眼差しで扉を開けてくれた。
「「あ」」
やだばったり。
ステフと顔を見合せた。
ちなみにステフの部屋は一部屋跨いだ向こうの部屋だ。
つまり隣の隣だ。
そんなステフの後ろには明らかに寝癖のある、欠伸をしている男性。
トートそっくりの従者服の男が、ステフの従者のモートだ。
「・・・なんか明らかにモートの方が寝坊してない?」
「そうなんだよ、なかなか起きてくれなくて」
「・・・モート?」
「いや、だってさトート、若様すげえ早起きなんだよ?無理無理起こせないよ、逆に起こされてんもん」
それは従者なのかしら?
まあステフは私の元従者、とんでもなく主を主と思わない態度だけど仕事は優秀だったわ。
遅寝早起きが基本の生活を送っていたステフは多分モートより従者らしい。
トートに怒られるモートを背景に、私たちは食堂へと向かった。
「うーん・・・あと五分・・・ステフ、もうちょっとねかして・・・」
「おほほお嬢様ったら、私はトートですわ?」
「うん・・・とーと・・・すてふじゃなくて・・・トート!?」
やだ一気に覚醒したわ。
恥ずかしすぎて顔を覆う。
そんな私をニヨニヨ眺めるんじゃありません。
「お着替えしましょうお嬢様」
「うん・・・」
視界に入るのは見慣れた黒と青ではなく、暖かな光が満ちる白と陽だまりのような優しい黄色の空間。
風が吹き込むカーテンがふわりと揺れ、小鳥の囀りが軽やかに歌われる。
やだ、ここは天国!?
まじまじと再び見つめていると、用意された服がすごかった。
やだ語彙力が消滅しちゃったわ。
明るいミントグリーンのドレスにはピンクの糸で愛らしい薔薇の刺繍が施されている。
レースのリボンは上品だし、何より青と黒が使われていないのが素晴らしいわね。
しかも!
これは凄いのだけれど、なんと朝から髪を結ってもらえるし、髪飾りや首飾りまで選ばせてくれるの!
あっちじゃ何もつけずに髪をといただけが普通だったのに!
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いくらステフでも着替えやお風呂までは着いてこなかったから・・・。
あ、でも髪を結ぶのはあいつ得意よ。
それにしても本当に素敵なドレス・・・妃殿下にお礼を言わないと。
「じゃあ食堂に行きましょう」
「ええ・・・その、ごめんなさいね?・・・ステフだと思って・・・」
「おほほ、よろしいのですよお嬢様、それより未婚の男女が同じ部屋にいることを許す生家の方がおかしいですわ」
刺がある嫌味をあの家につくと、優しげな眼差しで扉を開けてくれた。
「「あ」」
やだばったり。
ステフと顔を見合せた。
ちなみにステフの部屋は一部屋跨いだ向こうの部屋だ。
つまり隣の隣だ。
そんなステフの後ろには明らかに寝癖のある、欠伸をしている男性。
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「・・・なんか明らかにモートの方が寝坊してない?」
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「・・・モート?」
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それは従者なのかしら?
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遅寝早起きが基本の生活を送っていたステフは多分モートより従者らしい。
トートに怒られるモートを背景に、私たちは食堂へと向かった。
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