チートリアル

三十六・石鹸作り・勉強会

石鹸もどきが上手く行って
上機嫌になった俺は外での
訓練を止めさせ
地形操作を使って
テーブル代わりの台や
椅子を作り出し
奴隷達とパーティーメンバーで
昼食をとる。

『無詠唱!?』
『流石は勇者様だ！』

俺の魔法を見て奴隷達が驚くが
気にせずマジックボックスから
食料を取り出し全員で食べる。

初めは俺に遠慮して
おずおずと食べていたが

『このあと働いてもらうから
しっかり食べておけ！』

そう言うとお互いに顔を見合わせて
ガツガツと食事をし、
食事が終わると
しばらく休ませてから
テーブルと椅子もどきを
大地にもどした。

『これから働いてもらうぞ！』
そう宣言し、外で拾って来た
木々を燃やし、それを見守るため
ミウを監視として置き
石鹸工場に残った全員で入る。

プレス機に椿つばきの種を置き
奴隷達にネジ機構に付けられた
長く太い鉄の棒を押して回すと
種が潰れて油ができた。

油を作業用の箱に入れ
『ここまでが油をつくる作業になる』

『今後は街のダンジョンで取れる
菜の花を購入してこの工場に運んでもらい、
種を取って、同じように油を取ってもらう』

油の抽出方法を説明し
今度は灰と水を混ぜしばらく置き
上澄みをシトリースパイダーの糸を
編んだ布に通して濾こした物を
油と混ぜさせ整形用の箱に入れ、
今回は密封せず
蓋だけして乾燥するようにし、

『ここまでが石鹸の作り方だ』
『畑作業がない時に作業するように！』

そう言ったあと
石鹸の乾燥を自然に任せ
俺が居なくても大丈夫な環境にし、
ミウさんに作らせた灰を
雨に濡れないよう
大地魔法で大地を陥没させ
上に石の蓋を作ってかぶせる。

《あとは菜の花が集まってからだな》
そう考えて
シトリーの街に向かう。

冒険者ギルドにて
菜の花とハーブの採集を依頼し、
集まったらフォン村の
石鹸工場に送るよう依頼する。
菜の花もハーブも第10層までなら
どこにでも生えているので
無くなる事はない。

今後は使用する水をハーブティーに変え
良い香りのする石鹸を作っていく、
これで石鹸工場は上手く行くはずだ。

《さて、もう一つの産業だが・・・》
そう考えダンジョンに潜り
お目当ての生物を探し初め
なんとか第3層にて5匹生け捕りにして
今日の探索を終えた。

アンドレ男爵の館の馬小屋の片隅に
捕らえ来た生物を預かってもらってから
夕食を取り、貴族風呂に入って
コルネに勉強を教えてもらう。

とても基本的な事だが
今さら聞きづらい事を学ぶ。

まず、この王国の名前は
グリモワール王国と言い、
北西にゴエティア帝国、
北東にレメゲトン皇国、
帝国はお約束なのか、軍事国家で
他の国へ、たびたび侵攻している。

レメゲトン皇国は
このグリモワール王国と同盟国で
そのさらに東にドワーフ国があり、
ドワーフ国は鉱石を使った産業が得意。

ちなみに、エルフの国が
このグリモワール王国の南にあるが
他の国との国交は無く、
たまに嫌気が差したエルフが国から出て
さらわれて売られたりするので
他の種族を毛嫌いする傾向があるが
エルザはそんなことは無いそうだ。

勉強会が終わり
与えられた部屋に入ると
右隣にアミール、
左隣にエルザをはべらせ今日は眠った。