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15.神秘のベール
15-1
しおりを挟む「クリス、ハクがシロ兄からはなれた。
今、アイツを浄化できる?」
「……いや、無理だ。
アイツは、シロ兄からエネルギーを吸い取って、
力が満ちている。
なんとかしてアイツを弱らせないと……」
「おれがやる!」
バチッと金色の光がライガの右腕に走る。
そっか、デンジくんの力を借りた、電撃だね!
ぶん、と手を振り、ライガはハクに電撃を放った。
まばゆい光が、ハクへととんでいく。
「ははっ、何それ?
きかねーよ」
ハクはケロッとしていた。
そうか、
クリスみたいに石だから、電気が通らないんだ……!
「さあ、神秘のベールに包まれしものたちよ、
その姿を変えろ!」
ハクが叫ぶと、
氷の床でもがいていた女子たちが光に包まれた。
その姿が、変わっていく。
これは……、真っ白い、オオカミ!?
「ウソ、
顔を変える能力だけじゃなかったの……?」
わたしは思わずつぶやいた。
「あははっ、そんなショボイ能力じゃねーよ。
おれの能力は、【変身】。
神秘のベールに包まれたものたちは、
その姿を自在に変えるのさ!」
オオカミたちは爪を立てて、氷の上で立ち上がった。
ぐるるるっとうなり声をあげている。
まずい!
「さあ、行け!」
ハクの号令で、オオカミたちがいっせいに襲いかかってきた。
「ヒカリちゃん、クリス、危ない!」
バチッと電撃が走る。
ぎゃうんっと声を上げて、
電気に当たったオオカミたちはひるんだ。
でも、すぐに体勢を整えて、
こっちをねらっている。
「ち、ベールが薄くて、
核に電気が通っちまったか」
ぼそりとハクがつぶやく。
さっきから言ってるベールって、なんのこと?
カクに電気が通る……。
書く、じゃないよね。
名詞、……核?
ベールに、核。
……これはきっと、
ハクがなんの宝石かのヒントだ。
「あせるな、オオカミたち。
順番に襲いかかれ」
冷酷に命令するハク。
ライガは雷撃で、
クリスは氷のつぶてでオオカミを攻撃する。
でも、もとはといえば、オオカミはみんな人間だ。
ただの、中学生たち。
本気で攻撃なんて、できるはずがない!
ひるみはするものの、
すぐにオオカミは襲いかかってくる。
「くっ……」
ライガもクリスも、苦しそうだ。
息が上がっている。
わたしは、何もできないの!?
違う。
守ってもらうだけじゃない。
考えるんだ。
ハクがなんの宝石なのか。
きっと、そこに勝利への道はある!
「ベールが薄くて、電気が核に通った……」
小さく声に出して確認する。
なら、ベールが厚ければ、核に電気は通らない?
核を中心にして、ベールが核を包んでいる形の宝石。
他の石も含んでる、石?
必死に頭を働かせる。
「ベールに包まれたものは姿を、自在に変える……」
ハクの言ってたことを、繰り返す。
姿を変えられるくらい、
ベールは柔軟なのか。
それって、
デリケートで傷つきやすいってことだよね。
やわらかい、姿を変えやすい……。
核があって、デリケートなベールに包まれた石……。
……あ!
あるじゃない!
鉱山でとれる硬い石じゃなくて、
海でとれるあの美しい宝石が!
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